日本初!土壌環境に配慮したウインチアシスト型林業作業機械「テザー」を発売
「テザー」を活用することで伐採・搬出重機を利用できなかった傾斜地での林業作業が可能です。従来、傾斜地での伐採作業は重機ではなく、作業効率が悪いチェーンソー使用し、作業者の労働負荷や安全性の確保が課題でした。
「テザー」は、伐採・搬出重機をアシストしワイヤーで引っ張ることで重機の安定姿勢を保ち、傾斜地でも伐採・搬出重機を使用して作業が可能です。傾斜地での伐採作業効率と安全性が格段に改善し、生産性の大幅な向上が期待できます。また、伐採機械のスリップを防止できるので、伐採現場の土壌環境を保全し再植林時の苗木の活着や成長に悪影響を与えません。
日本では戦後に植えられた木が伐採期を迎えています。国産材の需要が増え伐採が進められる中、林業をサステイナブルな産業として発展させるためには、伐採後の土地に計画的に苗木を植え再造林する必要があります。伐採・搬出作業の機械化は進んでいるものの、急峻な土地が多い日本では生産性の向上が急務です。林業従事者も減少・高齢化しており住友林業と日本キャタピラーとサナースは、「テザー」の導入で林業の生産性向上と安全性の確保を目指します。住友林業グループは、今後も事業活動を通じて社会的課題に取組み、持続可能で豊かな社会の実現に貢献します。
1.導入による期待される効果
(1)テザーの導入で作業人数の削減が可能。従来、チェーンソーで伐採した樹木はブルドーザーで集材していましたが、伐採・搬出重機を連結することで、伐採と集材を1台で行うことができます。従来、チェーンソー伐採とブルドーザーで2人が必要だった作業が1人でできるので、生産性を高めた効率的な作業が可能です。
(2)従来林業現場では斜面を重機が走行することでスリップし、表面の土壌が流れたり、土壌が押し固められたり悪影響がありました。「テザー」はワイヤーで伐採・搬出重機とつなぐことで重機のスリップが軽減され、土壌への影響が小さくなります。また、安定して走行できるので重機の燃費も向上することが期待できます。
(3)今回の「テザー」は広く流通しているCaterpillar社製※1の油圧ショベルをベースとして開発しているので操作が容易です。油圧ショベルは国内でメンテナンスが可能なため、機械の高い稼働率が期待できます。
※1日本キャタピラー社とは別法人、世界最大の建設機械メーカー。エンジン・発電機などパワーシステムのリーディングサプライヤー。
2.主な機能
(1)牽引ワイヤー
250mの長さの鋼芯ワイヤーを備え、斜面の下の重機を牽引し、安定した作業や、重機が斜面上を昇り降りする動作をサポートします。牽引する力は、2トンから8トンまで変更可能です。
(2)2段折り畳み式タワー
2段折り畳み式タワーを採用し、タワーの高さを確保することで真下へのエネルギーが増し、地面に固定されるので連結時でも安定します。独自に開発した機構と操作方法により容易に倒立させ、また折り畳むことで、輸送時のサイズも小さく抑えています。セルフローダー※2に搭載できるサイズとし、トレーラーを利用しなくても運べるため林道を走行して現場まで搬入することも可能です。
※2セルフローダーは、ボディの前方を油圧シリンダーでジャッキアップさせて車体を後方に傾斜させることができる車。 建設・土木工事で使用されるブルドーザーや油圧ショベル、ホイールローダーなどの重機やフォークリフトなど運搬することに長けています。
(3)牽引ワイヤーの張力調節装置
折り畳み式タワーの先端に、牽引ワイヤーイジェクターを搭載。これによって、ワイヤーの張力が一定に保たれ、「乱巻き」(ワイヤーが規則正しく巻かれない状態)を防止します。
(4)シンクロ(同時応答型)ウインチ
Konrad社製のウインチを搭載し、ワイヤーの繰り出しや巻き上げは斜面の下で動作する機械の動きにシンクロ(同時に応答して動作)します。オペレーターがリモコンで操作し無人で動作します。巻き上げ速度は時速4kmです。
(5)バケット型設置
バケット※3を逆向きにつけた形で、地面に突き刺すだけで簡易に設置できます。バケットにより簡単な整地作業も実施可能です。
※3油圧ショベルカーのアームに装着するアタッチメントの一つで「掘る」作業や「すくう」作業に用いる部分。
(6)拡張性
拡張ウインチ搭載スペースがあり、将来の多様なニーズに備えた拡張性があります。
プレスリリースに関する動画及び画像はこちら
https://sfc.kumoud.jp/index.php/s/RvNqK5ozGhlXSWW