アストラゼネカのフォシーガ、米国において 2型糖尿病患者さんの心不全による入院リスク低減の承認を取得
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2019年10月21日、米国食品医薬品局 (FDA )より、フォシーガ (一般名:ダパグリフロジン)の心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を有する成人2型糖尿病患者さんの心不全による入院リスク低減の承認を取得したことを発表しました。
本承認は、DECLARE-TIMI58試験(以下、DECLARE試験)の結果に基づいています。DECLARE試験は、複数の心血管リスク因子または心血管疾患の既往歴を有する2型糖尿病患者さんを対象としたSGLT2阻害剤の心血管アウトカム試験(CVOT)で、これまでで最も規模の大きいものです。
バイオ医薬品事業部門担当、エグゼクティブバイスプレジデントであるRuud Dobberは次のように述べました。「フォシーガは、複数の心血管リスク因子または心血管疾患の既往歴を有する2型糖尿病患者さんの心不全による入院リスクの低減を適応として、米国で承認された最初のSGLT2阻害剤です。心不全は心臓発作や脳卒中に先んじて発現する最も早期の心血管合併症の一つであるため、本発表は、米国の約3,000万人に上る2型糖尿病患者さんにとって明るいニュースになります。本承認取得によりフォシーガは、医師がより早期に対応し、心不全による入院リスクを低減する機会を提供します」。
本試験の共同治験統括医およびThrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)試験グループの主任研究員を務める、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院およびハーバード大学医学部のDr. Stephen Wiviottは、次のように述べています。「DECLARE試験は、ダパグリフロジンが複数の心血管リスク因子または心血管疾患の既往歴を有する2型糖尿病患者さんの心不全リスクを低減することが可能であることをはっきりと証明した重要な試験です。これらのデータは、多様な患者集団の心不全リスクに対応するために、私達の糖尿病管理を、血糖コントロールを第一としたものから血糖コントロールを超えたものへと変える可能性があります」。
本承認は2019年8月に発表したEUにおける販売承認内容への追加に続くものです。また、同適応の追加は中国においても承認審査中であり、規制当局の判断は2020年の上半期に得られる予定です。
FDAは、フォシーガの第III相DAPA-HF試験およびDELIVER試験に基づき、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)または左室駆出率が保持された心不全 (HFpEF)の成人患者さんにおける心血管死または心不全悪化のリスク低減を目的とした開発に対し、ファストトラック指定を付与しました。また、第III相DAPA-CKD試験に基づき、慢性腎臓病 (CKD)患者さんにおける腎不全の進行遅延、心血管死ならびに腎死の予防を目的とした開発に対し、ファストトラック指定を付与しました。
なお、2型糖尿病患者さんの心不全による入院リスク低減の適応は本邦未承認です。
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フォシーガについて
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法で用いる薬剤として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。本邦では2019年3月、1型糖尿病の適応を取得しました。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガは、現在までに250万患者年以上に処方されました。
DECLARE-TIMI58試験について:
DECLARE(Dapagliflozin Effect on Cardiovascular Events[心血管系イベントに及ぼすダパグリフロジンの作用])-TIMI58試験は、広範な患者集団を対象とした、選択的SGLT2阻害剤において過去最大規模の心血管アウトカム試験です。本試験は、アストラゼネカが実施する第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験で、複数の心血管リスク因子、あるいは、心血管疾患の既往歴を有する患者さんを含む、心血管イベントリスクが高い成人2型糖尿病患者さんを対象に、フォシーガの有効性と安全性をプラセボと比較評価します。DECLARE試験には、日本を含む世界33カ国882施設から17,000例超の患者さんが登録され、TIMI試験グループ(米・マサチューセッツ州ボストン)がHadassah Hebrew大学メディカルセンター(イスラエル・エルサレム)と協力し、独立して実施されました。
DECLARE-TIMI 58試験では、フォシーガがプラセボと比較して、心不全による入院または心血管死の主要な複合評価項目のリスクを有意に17%低下させました (4.9% vs. 5.8% ハザード比 0.83 [95% 信頼性区間0.73-0.95] p=0.005) 。この結果は心不全による入院における27%の有意なリスク減少(2.5% vs. 3.3% ハザード比 0.73 [95% 信頼性区間0.61-0.88])に基づいています 。治療ベネフィットはすべての患者サブグループにおいて一貫していました。本試験によりフォシーガの確立された安全性プロファイルが確認されました。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝疾患 (CVRM) について
循環器・腎・代謝領域は、アストラゼネカの3つの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。