アストラゼネカの呼吸器領域生物学的製剤ファセンラ、 米国で新しいプレフィルドオートインジェクター 「ファセンラペン」による自己投与の承認を取得
ファセンラは、自宅またはクリニックでの投与選択肢を提供する
唯一の8 週間隔の維持投与が可能な呼吸器領域生物学的製剤に
本資料はアストラゼネカ英国本社が2019 年10月4日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2019年10月4日、米国食品医薬品局 (以下、FDA) が、ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ (遺伝子組み換え)、以下、ファセンラ)の一回使い切りのプレフィルドオートインジェクター (ファセンラペン) による自己投与を承認したことを発表しました。
本承認は第Ⅲ相GRECO試験と第Ⅰ相AMES試験のデータに基づくものです。これらの試験におけるファセンラの安全性と忍容性は、既知のプロファイルと一致していました。
バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは次のように述べています。「ファセンラは初めの負荷投与期間の後は、8週間隔での投与が可能な、唯一の呼吸器疾患領域における生物学的製剤ですが、本日の発表は、私達がファセンラをこれまでより更に便利な方法で提供することが可能になったことを意味します。米国の医療従事者および患者さんに、ファセンラを患者さんの自宅あるいは主治医のクリニックで投与する選択肢を提供すると共に、重症喘息患者さんの本剤へのアクセスを改善します」。
ファセンラの自己投与およびファセンラペンは欧州連合 (EU) においても承認されています。ファセンラは現在、重症喘息治療の追加療法として、米国、EU、日本、その他数カ国において承認されています。
なお、ファセンラの自己投与およびファセンラペンは本邦未承認です。
GRECO試験およびAMES試験について
GRECO試験は28週間の第Ⅲ相多施設共同非盲検試験です。コントロール不良の成人重症喘息患者さん120例を対象に、クリニックおよび自宅でプレフィルドオートインジェクターを用いてファセンラを投与(30mgを4週毎に皮下投与)したときの、患者さんまたは介護者の報告によるデバイスの機能性、性能および信頼性を評価しました。112週および16週時点で、患者さんまたは介護者による在宅投与の大多数 (97%) は問題なく実施することができたと評価し、また、在宅投与で使用後に返却されたプレフィルドオートインジェクターデバイスのほぼ全て (96%) が機能したと評価されました。
AMES試験は、第Ⅰ相の多施設共同、無作為化、非盲検、並行群間比較試験です。健常人を対象に、プレフィルドシリンジまたはプレフィルドオートインジェクターデバイスによるファセンラ30mgの単回皮下投与後の薬物動態的暴露量を比較しました。2 プレフィルドシリンジまたはプレフィルドオートインジェクターデバイスによるファセンラ皮下投与の薬物動態的暴露量は、同程度でした。どちらのデバイスを用いた患者さんにおいても好酸球は速やかに除去されました。
両方の試験において安全性プロファイルは過去の試験と同様であり、安全性に関する新たなもしくは予想外の結果は認められませんでした。各試験で最もよく見られた有害事象は次の通りです:
- GRECO試験:ウイルス性上気道感染、喘息、上気道感染、頭痛1
- AMES試験:鼻咽頭炎、頭痛、口腔咽頭痛2
ファセンラペンの米国承認は、主治医が適切であると判断した場合、医療従事者および患者さんに、患者さんあるいは介護者が実臨床の現場以外でオートインジェクターによってファセンラを投与する選択肢を提供します。ファセンラのプレフィルドシリンジは医療従事者による投与が可能です。
ファセンラペンは、患者さんおよび介護者が簡単な2段階のプロセスで投与することが可能です。また、本デバイスは薬液確認窓および注射の開始時と終了時にカチッという音が聞こえる仕組みを有しており、患者さんの投与を支援します。
ファセンラについて
ファセンラは、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性により、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が、血中、気道の好酸球を直接的かつ速やかに除去するモノクローナル抗体です3,4。
ファセンラは、アストラゼネカの呼吸器疾患領域における最初の生物学的製剤で、現在、米国、EU、日本、その他数カ国において、重症喘息治療の追加療法として承認されており、更に数カ国で承認申請中です。ファセンラの自己投与が承認された地域では、固定用量である30mgがあらかじめ充填された一回使い切りのプレフィルドシリンジの皮下注射用製剤、または、ファセンラペンの使用が可能となります。両製剤ともに29ゲージ針が装填されており、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射します。
ファセンラは現在、重症の鼻ポリープ、その他の好酸球性疾患および慢性閉塞性肺疾患 (COPD) に対する治療薬としても開発中です。FDAはファセンラに対し、2018年11月には好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療薬として、2019年2月には好酸球増加症候群 (HES) の治療薬として、さらに2019年8月には好酸球性食道炎 (EoE) の治療薬としての希少疾病用医薬品指定を付与しました。
ファセンラは、日本の協和キリン株式会社の完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカが開発しました。
アストラゼネカの呼吸器疾患領域について
呼吸器疾患はアストラゼネカ3つの疾患領域のひとつで、2018年には世界中の1,800万人以上の患者さんに維持療法として当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにエアロスフィア・デリバリー・テクノロジーなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、ファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)および重症喘息の第III相試験を実施中で、米国食品医薬品局から画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy designation)を受けている tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれ、ポートフォリオを拡大しています。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫、肺再生および神経機能に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究に注力しています。
References
- Barker P, Ferguson GT, Cole J, et al. Single-use autoinjector functionality and reliability for at-home benralizumab administration: GRECO trial results. J Allergy Clin Immunol. 2019;143 (2) Supplement, page AB96.
- Martin U, Fuhr R, Forte P, et al. Comparison of accessorized pre-filled syringe with autoinjector for benralizumab pharmacokinetic exposure in healthy volunteers following administration of a single subcutaneous dose: AMES trial results. J Allergy Clin Immunol. 2019;143 (2) Supplement, page AB95.
- Kolbeck R, Kozhich A, Koike M, et al. MEDI-563, a humanized anti–IL-5 receptor a mAb with enhanced antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity function. J Allergy Clin Immunol. 2010 Jun;125(6):1344-135e2.
- Pham TH, Damera G, Newbold P, Ranade K. Reductions in eosinophil biomarkers by benralizumab in patients with asthma. Respir Med. 2016; 111:21-29.
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはastrazeneca.com または、ツイッター@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。