夏休み、子どもとデジタルゲームの“上手な付き合い方”を紹介するセミナーを開催【イベント開催報告リリース】

NPO法人CANVAS

きちんと付き合えば子どもの成長にも!適切な遊び方のコツを紹介

こどもたちの想像・表現力をテーマにしたワークショップ・イベント、セミナーを手掛けるNPO法人CANVASは、株式会社ポケモンの協力のもと、2019年8月2日(金)にセミナー「夏休み、子どもとデジタルゲームの上手な付き合い方」を開催しました。



当日はまず第一部として、ゲーム学習に関する研究の第一人者である東京大学 大学総合教育研究センターの藤本徹先生、自身も幼い頃からゲームに親しみ、現役東大生で謎解きクリエイターとしても活躍する松丸亮吾さんのお二人をゲストに迎えたパネルディスカッションを実施。立場の違うお二人から、それぞれ異なる観点で、子どもが家で過ごす時間が増える夏休みに悩ましい「子どもとゲームとの付き合い方」を紹介いただき、小学生の子を持つ保護者が熱心に耳を傾けました。

<第一部 パネルディスカッション> ※内容を一部抜粋して紹介
◆ゲームと学校の共通点
 藤本先生は、「ゲームには、『ゴール(目標の達成)』『ルール(条件)』『フィードバックのシステム(結果の判定)』『自発的な参加(自分がやりたいから参加)』といった要素から成り立っている。そういう意味では、例えば『テストで満点を取る』といったゴール、成績表といったフィードバックシステムなど、学校にもゲーム的な要素があり、ニューヨーク市の公立学校ではゲームデザイナーと教育専門家が協力してカリキュラム開発をしている事例もある。」と解説。


藤本先生のお話を受けて松丸さんは、「自分の場合は将来やりたいことがあり、勉強する意味がわかっていたので自発的に勉強することができた。学校ではテストの点数をあげることが良しとされているが、多くの生徒は勉強した先に何があるのかを理解できずにいる。ある親子の例で、子どもは『昆虫博士になりたい』、親は『子どもを大学に行かせたい』と考えているケースがあった。この場合、親は『昆虫博士になりたいなら、勉強して大学に行く必要がある』というように、勉強そのものを目的にするのではなく、夢を実現させるために勉強が必要なんだというストーリー立てをすることで、子どもが自発的に勉強できるように導くのが良い。こうしたことはゲームからも学べる要素だと思う。」と語りました。

◆家庭での子どもとゲームとの付き合い方                                                                 
 松丸さんは、「子どものときは1日に勉強3時間がノルマで、達成しないとゲームには触らせてもらえなかった。親もゲームを自分から完全に取り上げると勉強しなくなることはよくわかっていたので、ゲームは与えつつもある種強制的に勉強する環境になっていた。ただ、こうして勉強する環境があったことで『強制的に3時間勉強』→『だんだん勉強がわかるように』→『勉強が楽しくなる』→『楽しいから勉強する』という好循環がうまれた。」とご自身の経験をもとに説明しました。


松丸さんのお話を受けて藤本先生は、「これは松丸さんにあったルール。家庭においては、各家庭の状況や子どもの興味関心に応じたルールづくりが大事。夏休みで子どものゲームのやりすぎが心配という家庭も多いと思うが、そこまで心配しなくてもいい。ゲームの中では探索や試行錯誤など、ゲームならではの体験できることがある。『ゲームは危ない』といったように他の遊びと明確に区別するというよりは、親としてもゲームの体験を面白がりながら、子どもと一緒に成長していくのが良いと思う。」とまとめました。

<第ニ部 松丸さんによる『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』の楽しみ方>
第一部のお話を踏まえ、第二部では「実際に親子が一緒にゲームで遊んでみる」パートとして、協力元であるポケモン社発売のNintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』を親子9組がプレイしました。お手本として行った松丸さんのデモンストレーションプレイでは、「子どもたちが何を考えながらゲームを進める必要があるのか」をわかりやすく解説いただきながら、各親子のプレイもサポート。協力し合うことや一緒に考えたりして進めることなど、テレビゲームのポジティブな側面に驚く保護者も見受けられました。



<第三部 ワークショップ>
  第三部では、子どもの想像力を育むCANVASならではのワークショップとして、ポケモンが住む世界を想像し、さまざまな素材を用いて実際に工作しました。子どもならではの自由な発想で各々の作品づくりに取り組み、会場は活気に包まれました。
ワークショップの企画を担当したNPO法人CANVAS ディレクターの飯塚靖治は、「ゲームの魅力って、ゲームをしている時間ももちろん楽しいですが、ゲームをしていない時間にもたくさんの楽しみ方があるところではないかなと感じています。あのポケモンは、どんな環境で生活をしているのだろう。ゲーム中に出てくる限られた情報をヒントにして、頭の中で色々と想像して、実際に手を動かして何かを作ってみる体験ってついつい夢中になりますよね。」と述べています。




終了後、イベントに参加した保護者からは、「参加した子どもがすごく楽しめていたのでよかった。これからの子どもたちは学校でもプログラミングなど、デジタルツールを使って自分を表現したり、外部と接したりすることが増えていくと思う。人とのコミュニケーションツールとしてテレビゲームもなくてはならないものだと思うので、ポケモンのような安心感があり親しみやすいコンテンツで、年齢にあったゲームをすることを学びのひとつとして取り入れていきたい。」といった感想をいただきました。


■登壇者
東京大学 大学総合教育研究センター 藤本徹 先生
1973年大分県別府市生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経て  ペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D. in Instructional Systems)。専門はゲーム学習論、教授システム学、オンライン教育。著書に「シリアスゲーム」、「ゲームと教育・学習」、訳書に「幸せな未来は「ゲーム」が創る」、「テレビゲーム教育論」など。

東大生 謎解きクリエイター 松丸亮吾 さん
1995年12月19日千葉県生まれ。東京大学謎解き制作集団AnotherVisionの2代目代表を務め、数多くの脱出ゲームや問題制作に携わる。「今夜はナゾトレ」や「おはスタ」にてレギュラー出演中。2019年には自身が代表を務める「RIDDLER株式会社」を設立。『東大ナゾトレ AnotherVision からの挑戦状』(扶桑社)シリーズの問題作成をはじめ、初の単行本である『数字ナゾトキ』(ワニブックス)を出版。趣味は謎解き、音楽ゲーム、ボードゲーム、ランニング、温泉、猫カフェ。


プレイしたゲームのご紹介:
Nintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』>
『ポケットモンスター』シリーズ初のNintendo Switch用ソフト。1998年にゲームボーイソフトとして発売した『ポケットモンスター ピカチュウ』をベースに、遊び方やシナリオを再構築した作品。
Nintendo Switchと『Pokémon GO』の特徴を掛け合わせることで、まったく新しい体験ができる『ポケットモンスター』となっています。
https://www.pokemon.co.jp/ex/pika_vee/

<イベントのオフィシャル画像素材ダウンロードはこちらから>
URL:https://prap.gigapod.jp/fedbda126b066928a64a4c0416b8530d82bc8c89d

CANVASとは…
2002年11月に設立したNPO法人CANVASは、創造的な学びの場を産官学連携で提供しています。ワークショップを中心に、プロダクト開発・まちづくり・教材制作・ミュージアムプロデュース等、「こどもたちの活動の場」の提供とその活動の普及に努めています。2019年に株式会社CANVASも創設。のべ3000回のワークショップを開催し、50万人のこどもたちにワークショップを届けています。

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