アストラゼネカの抗血小板剤ブリリンタ(R)錠 2型糖尿病合併の安定した冠動脈疾患患者さんを対象とした 第III相THEMIS試験で主要評価項目を達成
心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない患者さんの心血管イベントを低減
本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年2月25 日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は2019年2月25日、ブリリンタ®錠 (一般名:チカグレロル、以下、ブリリンタ)とアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤治療との比較で、主要心血管イベント(MACE; 心血管死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベント)を統計学的に有意に低減し、主要評価項目を達成したことを発表しました。
THEMIS試験は、冠動脈疾患(CAD)および2型糖尿病(T2D)と診断された、心筋梗塞および脳卒中の既往歴がない1万9,000例超の患者さんを対象として実施されました。現時点での安全性の結果は既知の安全性プロファイルと一貫していました。THEMIS試験の全結果は今後学会において発表されます。
研究開発バイオ医薬品部門後期循環器・腎・代謝領域責任者であるシニアバイスプレジデントElisabeth Björkは次のように述べました。「2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんの循環器疾患罹患率をさらに低下させるアプローチが早急に必要とされています。今回のTHEMIS試験の良好な結果は、ハイリスクな患者集団に利益をもたらす可能性が示唆されたものと考えられます」。
THEMIS試験の共同治験責任医師である、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院International Cardiovascular Programのエグゼクティブディレクターおよびハーバード大学医学部教授のDeepak L. Bhatt, MD, MPHは次のように述べました。「THEMIS試験は、これまでに実施された2型糖尿病を合併した患者さんを対象とする試験の中で最大の無作為化試験で、より強力な抗血小板療法が有効であるかを評価する目的で実施されました。この結果によって、アテローム血栓症患者さん全体における抗血小板剤2剤併用療法が果たす役割について、理解が深まることでしょう」。
THEMIS試験の共同治験責任医師である、パリ・ディドロ大学教授およびインペリアル・カレッジの英国国立心臓肺研究所教授Gabriel Steg, MDは次のように述べました。「安定した冠動脈疾患と糖尿病の両方を有する患者さんは、主要な心イベントのリスクが特に高い大規模集団です。この患者集団に対する最適な長期抗血小板療法は完全には確立されていません。本年後半にTHEMIS試験の全結果を発表できることを楽しみにしています」。
なお、本邦においてブリリンタに心筋梗塞および脳梗塞の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患に対する治療薬としての適応はありません。
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THEMIS試験について
THEMIS(Effect of Ticagrelor on Health Outcomes in DiabEtes Mellitus Patients Intervention Study:糖尿病患者さんの健康アウトカムに対するチカグレロルの効果に関する介入試験) は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんを対象とする、アストラゼネカ主導の国際無作為化二重盲検試験です。THEMIS試験は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんにおいて、ブリリンタとアスピリンの併用療法が、アスピリン単剤治療と比較して、心血管死、心筋梗塞または脳卒中の複合からなる主要心血管イベント(MACE)を低減するという仮説を検証する目的で実施されました。冠動脈疾患の定義は、経皮的冠動脈形成術(PCI)、冠動脈バイパス術の既往歴あるいは50%以上の冠動脈狭窄とされました。
2014年の初めに開始された本試験は、世界42か国にわたるイベントドリブン型の試験で、 1万9,000例超の患者さんが無作為的に登録され、独立委員により判定された1,385例の主要評価項目イベントが収集されました。
ブリリンタ(一般名:チカグレロル)について
ブリリンタは、血小板活性を阻害することで効果を発揮する、経口P2Y12受容体阻害剤です。P2Y12受容体に直接かつ可逆的に結合します。ブリリンタはアスピリンとの併用で、急性冠症候群(ACS)患者さん、もしくは心筋梗塞(MI)の既往歴を有する患者さんの、主要心血管イベント(心血管死、心筋梗塞または脳梗塞)のリスクを有意に低減することが示されています。
ブリリンタは、アスピリンとの併用で、急性冠症候群の患者さん、もしくはアテローム血栓性心血管イベント発症リスクの高い心筋梗塞の既往歴のある患者さんにおける、アテローム血栓性イベント再発抑制を適応症としています。
日本におけるブリリンタの適応は、以下のとおりです。
・ブリリンタ®錠90mg:経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)
・ブリリンタ®錠60mg:以下のリスク因子を1つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合
65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2回以上の心筋梗塞の既往、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能障害
アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域(CVRM)について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、未来の成長基盤です。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、CVRM 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器の再生およびその機能の修復の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症および ニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器、呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。