約7割の糖尿病患者は合併症、約5割は低血糖、約4割は血糖変動に不安感

サノフィ株式会社

- 糖尿病患者と医療従事者のインスリン治療に対する認識の相違に着目した「インスリン-ライフ・バランス調査2」実施 -

サノフィ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ジャック・ナトン、以下「サノフィ」)は、このたび「インスリン-ライフ・バランス調査2」を実施しました。本調査は、インスリン-ライフ・バランス(インスリン治療と日常生活の調和)の実現へ向けて医療ニーズを探る2回目のインターネット調査です。 今回は、「患者と医療従事者(医師・看護師)の間でインスリン治療に対する認識や考え方にどのような違いがあるのか」と「患者の血糖コントロール状況に影響を与える医療従事者側の要因は何か」の2点に着目しました。本調査はインスリン使用中の糖尿病患者712名、インスリン治療にかかわる医師221名および看護師110名を対象に行いました。 本調査の指揮を執られた横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫先生は、「今回の調査では、血糖コントロール(HbA1c)の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求めている一方、低血糖や血糖変動への不安を抱えている患者が多いことがわかりました。医療従事者が考えている以上に患者は『新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報』を強く求めていると考えられます。患者が新しい治療法について医師に尋ねたくても尋ねられないなど、コミュニケーションギャップが生じている可能性もあり、医療従事者が患者のニーズを把握し、それに沿った適切な情報提供をすることによって、より良い治療へつながると期待します」と述べられました。 主な調査結果は以下の通りです。 1) 患者は血糖コントロール状況に関わらず、合併症・低血糖・血糖変動に不安を抱えている ・患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位3項目は、「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、「低血糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0%であり、いずれも血糖コントロール状況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:HbA1c≧7.0)での大きな違いは認められなかった ・過去3カ月以内に低血糖を経験した患者は38.6%で、良好群37.2%、不良群41.4%であった 2) 患者は血糖コントロール状況に関わらず、医師・看護師が思うよりも血糖コントロール改善に意欲的である ・血糖値を改善したい患者は93.2%であるのに対し、医療従事者が考える「血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は、医師73.3%、看護師64.9%であった ・患者は年齢や現在の血糖コントロール状況によらず血糖値の改善意欲が高い ・年齢別解析:65歳未満93.2%、65歳以上93.7% ・血糖コントロール状況別解析:良好群92.1%、不良群94.6% 3) 患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている ・患者が医師から説明して欲しいこととして、「新しい治療方法について」42.3%、「新しいインスリン製剤について」32.6%と高い回答を示し、実際に説明を受けた患者はそれぞれ20.4%、19.0%であった ・「新しい治療方法」、「新しいインスリン製剤」の説明の必要性が高いと考える医師はそれぞれ10.9%、11.3%と患者調査の結果と比較して低かった 本調査では、インスリン治療を行っている患者はより良好な血糖コントロールを目指して、「新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報」を積極的に求めていることが明らかになりました。より良い糖尿病治療に向けて患者と医療従事者間における治療や認識のギャップを解消すべく、サノフィは糖尿病領域において、患者が「インスリン治療と日常生活の調和」のとれた生活が送れるよう、革新的かつ総合的なソリューションを提供してまいります。 以上 ■インスリン-ライフ・バランス調査とは サノフィでは、インスリン治療のアンメットニーズを探索するため、2015年、糖尿病患者さんのインスリン治療と日常生活における生活の質に着目した「インスリン-ライフ・バランス」(インスリン治療と日常生活の調和)調査結果を発表しています。 http://www.sanofi.co.jp/l/jp/ja/layout.jsp?scat=17E347EE-564A-46A2-86DC-63B6CCA247AD 2016年は、インスリン治療患者のみならず、治療に携わる医師・看護師の認識等を明らかにすることでアンメットニーズを把握することを目的として、2回目のインスリン‐ライフ・バランス調査を実施しました。インスリン-ライフ・バランス調査1の結果同様、本年度の調査結果も糖尿病情報ウェブサイト「糖尿病がよくわかるDM TOWN」( http://www.dm-town.com/insulin/goodbalance/index.html )に公開する予定です。 ■サノフィについて サノフィは、グローバルヘルスケアリーダーとして、患者さんのニーズにフォーカスした医療ソリューションの創出・研究開発・販売を行っています。5つのグローバルビジネスユニット(糖尿病および循環器、ジェネラルメディスンと新興市場、サノフィジェンザイム、サノフィパスツール、メリアル)で組織され、パリ(EURONEXT: SAN) およびニューヨーク(NYSE: SNY) に上場しています。日本においては、「日本の健康と笑顔に貢献し、最も信頼されるヘルスケアリーダーになる」というビジョンの実現に向けて、患者中心志向に基づき、医薬品等の開発・製造・販売を行っています。詳細は http://www.sanofi.co.jp をご参照ください。 ■インスリン-ライフ・バランス調査2結果 抜粋  ○調査概要 実施時期: 2016年3月25日~4月18日 調査手法: インターネットリサーチ 調査地域: 全国 調査対象 患者調査: インスリン投与患者712名 内訳:1型糖尿病81名、2型糖尿病631名(現在、基礎インスリン製剤を使用中の20歳以上の男女) 調査対象 医師調査: 221名(糖尿病患者に対して基礎インスリン製剤を使用して治療している医師) 調査対象 看護師調査: 110名(インスリン治療にかかわる内科・糖尿病科に勤務する看護師) 調査監修: 横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授 寺内 康夫 先生 ○調査結果 1. 糖尿病に対する気持ち・不安 患者は血糖コントロール状況に関わらず、合併症・低血糖・血糖変動に不安を抱えている ・患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位3項目は、「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、「低血糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0% ・いずれも血糖コントロール状況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:HbA1c≧7.0)での違いはなかった 患者が抱える糖尿病に対する気持ちの上位3項目は「糖尿病による合併症は怖い」72.5%、「低血糖は起こしたくない」48.9%、「血糖値の変動が気になる」43.0%であった。いずれも血糖コントロール状況(良好群:HbA1c<7.0/不良群:HbA1c≧7.0)での違いはなく、「糖尿病による合併症は怖い」は良好群72.1%、不良群75.7%、「低血糖は起こしたくない」は良好群48.8%、不良群50.4%、「血糖値の変動が気になる」は良好群44.2%、不良群45.5%であった。 【グラフ1】患者調査:糖尿病に対する気持ち また、実際に過去3カ月で低血糖を経験した基礎インスリン患者は38.6%で、良好群37.2%、不良群41.4%であった。 【グラフ2】患者調査:過去3カ月での低血糖経験 2. 血糖値改善意欲 患者は血糖コントロール状況に関わらず、医師・看護師が思うよりも血糖コントロール改善に意欲的 ・血糖値を改善したい患者は93.2% ・「血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は、医師73.3%、看護師64.9% 血糖改善を望む患者は93.2%であった。この値は血糖コントロール状況別にみてもほとんど差がなく、コントロール良好な患者であっても9割以上が改善したいと回答している。これに対して、医療従事者が「自身が管理・指導している患者のうち、血糖値を改善したいと考えている患者の割合」は、医師73.3%、看護師64.9%であった。 【グラフ3】患者、医師、看護師調査:患者の血糖値改善意欲ならびに医師と看護師の認識 また、血糖コントロール状況別の血糖改善意欲は良好(HbA1c<7.0%)92.1%、不良(HbA1c≧7.0%)94.6%で、血糖コントロールが良い患者も血糖コントロール不良の患者同様にさらなる血糖改善を望んでいた。さらに、患者の血糖改善意欲を年齢でみると65歳未満93.2%、65歳以上93.7%で、年齢に関わらず改善意欲が高いことも示された。 【グラフ4】患者調査:血糖コントロール、年齢別血糖改善意欲 3. 診察時に説明して欲しいこと/説明する必要性が高いと思っていること 患者は、医師が思うよりも、新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている ・患者が医師から説明して欲しいこととして、「新しい治療方法について」42.3%、「新しいインスリン製剤について」32.6%と高い回答を示し、実際に説明を受けた患者はそれぞれ20.4%、19.0%であった ・「新しい治療方法」、「新しいインスリン製剤」の説明の必要性が高いと考える医師はそれぞれ10.9%、11.3%と患者調査の結果と比較して低かった 患者が医師から今までに説明を受けたこととして、回答した人の割合が高かった項目は「糖尿病の合併症」85.1%、「食事療法・運動療法の重要性」72.2%、「基礎インスリン製剤の効果」67.4%であった。患者の回答の全体的な傾向としては、医師が「患者への説明の必要性が高い」として選んだ回答の傾向に近く、医師の説明の内容は医師の考えどおりに患者に認識されていることがうかがわれた。 【グラフ5】患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている 一方、患者が医師から説明して欲しいこととして、回答の割合が高かった項目は「新しい治療方法について」42.3%と「新しい基礎インスリン製剤について」32.6%であったが、この2項目に関して説明を受けたと回答した人の割合はそれぞれ20.4%、19.0%にとどまった。また、この2項目に関して、患者への説明の必要性が高いと答えた医師の割合はそれぞれ10.9%と11.3%と低く、患者と医師の考え方の間に大きなギャップがあることが明らかとなった。 【グラフ5】患者は医師が思うよりも新しい治療法やインスリン製剤に関心を持っている ■調査を振り返って より良い糖尿病治療のために患者の治療に関する考えや要望を把握しその情報を医療従事者間で共有を 横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫 2回にわたるインスリン-ライフ・バランス調査を通じて、有効性や安全性の高いインスリン製剤が相次いで登場し糖尿病治療も進歩しているにも関わらず、まだまだアンメットニーズは多く存在することが明確になりました。 インスリン-ライフ・バランス調査2からはインスリン治療患者は血糖コントロール(HbA1c)状況に関わらず将来の合併症に不安を抱えていることがわかりました。だからこそ血糖コントロール(HbA1c)が良い患者であっても血糖改善意欲が高いことが示唆されます。また、高齢者であっても改善意欲が高いという結果は注目すべきであり、医療従事者には「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」*を意識しながらも、患者の高い意欲を損なうことなく治療を進めることが求められているといえます。 血糖コントロール(HbA1c)の良・不良、年齢に関わらず、さらなる血糖改善を求めている一方、低血糖や血糖変動への不安を抱えている患者が多いことがわかりました。だからこそ医療従事者が考えている以上に患者は『新しい治療法や基礎インスリン製剤の情報』を強く求めていると考えられます。患者が新しい治療法について医師に尋ねたくても尋ねられないなど、コミュニケーションギャップが生じている可能性もあり、医療従事者が患者のニーズを把握し、それに沿った適切な情報提供をすることによって、より良い治療へつながると期待します。 医師が思うより「患者の血糖改善意欲は高い」「患者は新しい治療方法やインスリン製剤について知りたいと思っている」など、患者の「今」の気持ちや考えと医療従事者が思うそれにはズレが生じていることから「患者本人が目指したい状態」と、医師・看護師が考える「患者が目指したい状態」の間に大きなギャップが生じていると考えられます。 近年、患者が望む低血糖のリスクが少なくさらなる血糖改善が期待できる基礎インスリンが登場しています。また、問診シートなどを活用することで限られた診療時間の中でコミュニケーションギャップを解消することも期待できると考えます。これらのギャップ解消はインスリン-ライフ・バランスの実現に向けた課題のひとつであり、医師・看護師には、患者の糖尿病管理に対する考えや気持ち、治療に対する要望などを把握し、それらの情報を十分に共有することが求められます。 *高齢者糖尿病の血糖コントロール目標:2016年5月に「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」が発表した基準で認知機能やADL、使用薬剤や年齢によって設定目標が異なり、従来よりも緩やかな目標設定となっている。 寺内 康夫 (てらうち やすお) 先生 横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学教授 1988年(昭和63)年 東京大学医学部医学科卒業 日本内科学会(評議員・雑誌「Internal Medicine」編集委員)、日本糖尿病学会(評議員・ 神奈川県糖尿病 対策地域担当・Public Relations委員・定款細則検討委員・利益相反検討委員) 日本糖尿病協会(理事・学術評議員・将来計画検討委員・運営委員会委員・企画委員会委員) 日本糖尿病療養指導士認定機構(理事長)

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