【2026年4月法改正 実態調査】治療と仕事の両立支援、定着の壁は「プライバシー保護」と「周囲の理解」の両立~理由不明の「特別扱い」に周囲が誤解、人事の約3割が職場の雰囲気悪化を経験~

株式会社Works Human Intelligence

  株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役最高経営責任者(CEO):安斎富太郎)は、統合人事システム「COMPANY®」を利用する大手法人を対象に、2026年4月に努力義務化された「治療と仕事の両立支援」に関する現場の運用実態調査を実施いたしました。39法人41名の人事実務担当者から得られた生の声をもとに、その結果をお知らせします(調査期間:2026年2月12日〜4月17日)。

 
●調査結果のポイント
  1. 疾病や健康上の不安を抱える従業員に対して、7割以上の企業が産業医連携などの個別対応に尽力するも、半数以上が「全社的なルール化」に着手できていない
  2. 支援における最大の壁は、「必要な配慮・対応の判断」と「代替要員の不足」
  3. 配慮に関する情報共有、約3割で「周囲の誤解」が発生し、プライバシー保護との両立が課題
  4. 人事担当者の約4割が「サポートする側(周囲の従業員)の潜在的な疲弊」を懸念


●本調査実施の背景
 2026年4月、「治療と仕事の両立支援」が企業の努力義務となりました。企業では支援体制の整備が進む一方で、実務現場では、治療に伴う突発的な休暇や業務調整への対応、代替要員の確保、プライバシーに配慮した情報共有など、制度を現場に定着させる上での課題が明らかになっています。
 特に、両立支援そのものへの理解は進む一方で、「現場負担をどう軽減するか」「周囲の従業員の理解や協力をどのように得るか」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
そこで本調査では、企業における治療と仕事の両立支援の実態や、制度定着に向けた課題を明らかにしました。

●調査結果
1.疾病や健康上の不安を抱える従業員に対して、7割以上の企業が産業医連携などの個別対応に尽力するも、半数以上が「全社的なルール化」に着手できていない
 現在の両立支援として、7割以上が「産業医・保健スタッフとの連携(75.6%)」を実施し、6割以上が「業務内容等の個別調整(65.9%)」を行うなど、企業は対応に尽力しています。

 しかしその一方で、現在のフェーズについては全体の半数以上が「全社的なルール作りはこれから・検討中」などと、発展途上にあると回答しています。
 さらに、法改正直前に「新たに取り組む予定の施策」を聞いたところ、「特になし」と回答した企業担当者が最も多く、全体の約7割(68.3%)を占めました。
 

 多くの企業が、目の前で発生している個別のケース対応には尽力しつつも、現場の課題に直面し、全社的なルール化などの「次の一手」をすぐには打ち出せずにいる実態がうかがえます。

2.支援における最大の壁は、「必要な配慮・対応の判断」と「代替要員の不足」
 支援を進める上での課題として「必要な配慮や対応内容の判断が難しい(65.9%)」に次いで、半数以上の企業担当者が「代替要員の確保が難しい(56.1%)」を挙げました。
 

 
 制度はあっても人員に余裕のない現場での調整において、人事担当者が難しさを感じている状況がうかがえます。

3.配慮に関する情報共有、約3割で「周囲の誤解」が発生し、プライバシー保護との両立が課題
 配慮に関する情報共有において、本人のプライバシーを守るため病名などの詳細を伏せ、「残業不可」といった制限事項のみを現場に伝えた結果、約3割(26.8%)の企業担当者が「理由不明で特別扱いと誤解され雰囲気が悪化」したと回答しています。
 

 
 配慮の背景を十分に共有できないことで、周囲に不公平感を感じさせてしまうという、繊細な情報連携の難しさが浮き彫りになりました。

4.人事担当者の約4割が懸念する、サポートする側(周囲の従業員)の潜在的な疲弊
 人事担当者が現場マネジメントにおいて不安に感じている点として、約4割(41.5%)が「現場の負担が限界に達し、支える従業員が疲弊(サイレント離職)していないか」を挙げ、「現場が『どこまで踏み込んで聞いて良いか』迷い、コミュニケーションが滞っていないか」と同率で最多の懸念事項となりました。
 

 
 両立支援の定着に向けては、支援対象者だけでなく、実務をカバーする周囲の従業員も含めた、組織全体の負担を軽減するサポートが求められています。

●総括(解説:WHI総研/眞柴 亮)
制度整備から「現場運用」へ‐両立支援定着に向けて求められる視点とは‐ 

 今回の調査では、大手企業において既存の福利厚生制度や産業医・保健スタッフとの連携など一定の支援体制は整備されている一方で、「治療と仕事の両立支援」という観点から見ると多くの企業が現場運用における課題を抱えている実態が明らかになりました。

 特に、「代替要員の不足」「支援と公平性のバランス」「情報の取り扱い」といった課題は、多くの企業に共通しています。現場マネジメントや業務運用への負荷が、両立支援を進める上でのボトルネックとなっていることがうかがえます。
一方で今回の調査では、企業が抱える課題だけでなく、「現在実施している支援内容」、「導入して効果があった工夫」、「今後取り組み予定の施策」についても自由記述形式で回答を得ました。寄せられたコメントからは、各社が現場レベルで試行錯誤を重ねながら、支援の定着に取り組む姿勢が見えてきます。

① 柔軟な働き方による「時間」のサポート
 最も多く挙がったのは、勤務時間の柔軟性を活用した支援です。具体的には、コアタイムのないフレックス制度を活用し、中抜けや早退を認めることで、半休を取得せずに通院できる環境を整備している企業が見られました。
 また、時間調整がしやすい部署への配置転換によって、治療と仕事の両立を実現しているケースも確認されています。

② 経済的・心理的な不安を軽減する「制度」のサポート
 制度面では、従業員の不安軽減を目的とした独自施策も見られました。
 LTD(長期障害所得補償)保険制度への団体加入や、有給休暇を使い切った従業員への追加有給休暇の付与など、治療中の経済的・心理的負担を軽減する取り組みが進められています。

③ システムを活用した「情報共有」の工夫
 課題として多く挙がった「情報の取り扱い」に対しては、ITを活用した運用整備も進みつつあります。
 例えば、人事情報管理システム上で、関係者が閲覧できる情報を業務上必要な範囲に限定するなど、アクセス権限を適切に設定しながら、必要な対応につなげる取り組みが行われています。

 「治療と仕事の両立支援」を現場に定着させることは容易ではありません。しかし、柔軟な働き方や制度面での支援、さらにITを活用した適切な情報共有を組み合わせることで、「誰もが無理なく働き続けられる職場」づくりは着実に進みつつあります。

 自社に合った具体的な工夫を積み重ね、現場運用をアップデートしていくことが、両立支援定着への重要な一歩となるでしょう。

●解説者プロフィール 
WHI 総研※ 眞柴 亮(ましば りょう)
WHI入社後、通勤手当や寮社宅等福利厚生を専門に大手法人の制度コンサルや
システム導入を担当。子会社の人事給与BPOベンダーにて、複数顧客に対し人事関連業務のBPRを実施。
顧客教育部門であるWorks Business Collegeを経て現職。

※WHI総研:当社製品「COMPANY®」の約1,200法人グループの利用実績を通して、 大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織

<調査概要>
調査名 :健康に不安を抱える従業員への個別配慮の現場運用実態調査
期間 :2026年2月12日〜4月17日
調査機関 :自社調べ
対象 :当社製品「COMPANY®」ユーザーである国内大手法人39法人41名
調査方法 :インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:当社製品「COMPANY®」ユーザーである国内大手法人39法人41名

<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、「Works Human Intelligence 調べ」という表記をご利用ください。本記事のグラフの内訳は、小数点第一位まで表示しています。そのため、端数処理の関係で内訳の和が100%にならない場合があります。

本調査の詳細レポートをご要望の方は、当社公式サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://www.works-hi.co.jp/contact

WHIでは引き続き、大手法人の人事トレンドや業務実態について調査をしてまいります。

●WHIについて
 WHIは大手企業および公共・公益法人向け統合人事システム「COMPANY®」の開発・販売・サポートの他、HR関連サービスの提供を行っています。「COMPANY®」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等、人的資本マネジメントにまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場 人事・給与業務分野 シェアNo.1※の製品です。
 私たちは、「人に真価を。」というコーポレートブランドのもと、経営者と従業員の両者の価値を最大化するソリューションを提供することで、すべての人が「真価」を発揮し、情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。
※2024年度 ERP市場 - 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア
 出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2026」
株式会社Works Human Intelligence Webサイト https://www.works-hi.co.jp/

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