【農研機構】イネ遺伝子情報のデータベースをリニューアル-イネ品種開発に必要な遺伝子情報を一元化し、研究開発を加速-

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

 

◆ポイント
 農研機構は、約5,000報の論文にもとづいたイネの遺伝子情報をまとめて調べられるデータベース「RAP-DB」(イネアノテーションプロジェクトデータベース)をリニューアルしました。これにより、研究者はイネの遺伝子の働きに加え、「いつ、どこで働くのか」や、品種間のDNA配列の違い、農業上重要な遺伝子に関する情報を一つのデータベースで確認できるようになりました。また、AIを活用し、今後も重要な遺伝子情報を継続的に更新できる仕組みを整えました。
 本成果により、高温に強い品種や病虫害に強い品種などの開発に必要な遺伝子を効率よく見つけられるようになります。スマート育種研究での活用が広がることで、気候変動に対応した品種開発を加速し、安定的なコメの生産と食料供給への貢献が期待されます。

◆概要
 イネは主要農作物であり、気候変動に対応した安定生産の実現に向けて、ゲノム配列や遺伝子情報基盤の重要性がますます高まっています。20年以上にわたり運用されているイネアノテーションプロジェクトデータベース「RAP-DB」(https://rapdb.dna.naro.go.jp/)は、モデル農作物であるイネのゲノム配列や遺伝子の機能情報を提供するデータベースとして、世界中のイネ・植物研究者に広く利用されています。
 農研機構は今回、RAP-DBをリニューアルし、学術論文にもとづいて継続的に更新してきた遺伝子機能情報に加え、世界中で公開されている大規模配列データの再解析や学術論文の精査によって新たに整備した、いつ、どこで働くのかを示す遺伝子発現情報、品種間のDNA配列の違いを示すゲノム多型情報、さらに農業上重要な遺伝子や機能アレルの情報を統合しました。これにより、研究者はこれらの情報を一つのデータベースで横断的に調べられるようになり、高温耐性、病虫害抵抗性、収量、品質などに関わる有用遺伝子をどのように組み合わせると良いかを検討しながら、品種改良を進めることができるようになります。
 2004年のイネゲノム解読以降、イネの遺伝子機能解析は大きく進展し、収量、品質、病虫害抵抗性、環境ストレス応答などに関わる遺伝子が数多く論文として報告されてきました。しかし近年は、関連論文が急増し、人手だけで最新の知見を追い続けることが難しくなっていました。そこで今回、重要な論文を優先的に見つけるAIによる文献選別支援システムを開発し、キュレータによる確認と組み合わせることで、RAP-DBから提供するデータの信頼性を保ちながら、継続的に最新の遺伝子情報を提供する新たな仕組みを整えました。
 今回のリニューアルにより、イネ育種を支える研究基盤が強化され、高温耐性や病虫害抵抗性をはじめとする有用形質の改良に向けたスマート育種研究や新品種開発のさらなる加速化が期待されます。農研機構は、RAP-DBを気候変動に対応した新品種開発や食料安定生産を支える基盤として、さらに強化していきます。

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