◆ポイント
水稲の再生二期作において、一期作目の田植えの時期やコンバインの種類に応じて高収量を実現する有望品種を選定するとともに、その特性を解明しました。さらに、福岡県豊前市において、極早生多収品種「つきあかり」を4月植えした現地実証試験に取り組み、一期作目で約700kg/10a、二期作目で約300kg/10aの合計約1t/10aの多収と良食味の画期的な両立を実現しました。本成果は、地球温暖化時代の米の生産性向上への貢献が期待されます。
◆概要
一度の田植えから二度収穫する水稲の再生二期作は、基本技術の確立(2020年9月8日プレスリリース、2023年10月4日プレスリリース、特許第7504505号)以降、近年の高温傾向や、生産性向上への期待から、関東以西の暖地や温暖地で普及が拡大しています。本技術では、一期作目において苗を通常より早い時期に移植し、収穫時に地際から高い位置で刈り取ることが多収を実現する鍵となります。しかし、移植の早限は、気温のほか、用水を確保できる時期の影響を受けるので、地域によって異なります。また、どの品種でも、二期作目の稈長は一期作目より短くなります。特に、近年再生二期作での取り組みも増えている品種「にじのきらめき」は、遺伝的に稈長が短く、二期作目の稈長はより一層短くなります。このため、このような短稈品種の二期作目は、米や麦の生産現場で一般的に用いられる自脱型コンバインで収穫すると脱穀部のこぎ残しによるロスが生じることから、大豆等の生産現場で用いられる普通型コンバインで収穫する必要があります。
そこで農研機構では、所内試験ほ場(福岡県筑後市)において、2022年と2023年に、一期作目の移植時期(4月植えと5月植えの2時期)と品種(多収の8品種)の違いが二期作目の収量や稈長に及ぼす影響を調べました。その結果、二期作目の収量は、2か年の平均で、4月植えの全ての品種と5月植えの暖地において極早生に相当する(以降、極早生)品種「ちほみのり」「つきあかり」「にじのきらめき」「ゆみあずさ」及び「とよめき」では250 kg/10aを超える多収となった一方、5月植えの暖地において早生~中生に相当する(以降、早生~中生)品種「あきだわら」、「ほしじるし」及び「やまだわら」では150 kg/10aを下回りました。また、両移植時期とも「ちほみのり」「つきあかり」「ゆみあずさ」及び「とよめき」は、二期作目の稈長が55 cmを超え、自脱型コンバインでも脱穀部のこぎ残しによるロスを抑えて収穫できると考えられました。さらに、株式会社ユーアスと共に、現地ほ場(福岡県豊前市)において、「つきあかり」を4月植えした現地実証試験に取り組み、一期作目で約700kg/10a、二期作目で約300kg/10aの合計約1t/10aの多収と良食味の画期的な両立を実現しました。「つきあかり」等を活用した再生二期作は、地球温暖化時代の米の生産性向上への貢献が期待されます。