【大阪工業大学】3Dプリント時のポロプロピレン変形を8割削減 2種の添加物で相乗効果、オンデマンド製造への応用に期待

大阪工業大学

 大阪工業大学(学長:井上晋)機械工学科の上辻靖智教授と静岡大学の青木憲治准教授、東洋レヂン、日東電工の研究グループは、ポリプロピレン(PP)※1に2種類の添加物を組み合わせることで3Dプリント時の変形を8割削減することに成功しました。PP は軽くて優れた強度や耐熱性を持ち、自動車部品や家庭用品など身の回りに広く使われています。しかし、3Dプリントでは冷えて固まる際に大きく変形することが課題でした。本成果により、自動車部品の試作や小ロット生産など、オンデマンド製造への応用が期待できます。 【本件のポイント】  ● PPに2種類の添加物を加えることで3Dプリント時の変形を8割削減  ● 製造業で熱望される最終製品と同じPPでの試作や小ロット生産への応用に期待  ● リサイクルが比較的容易なPPの用途の広がりにより、循環型社会の構築を後押し  PPは性能を向上させるため、さまざまな材料を添加することがあります。上辻教授らの研究グループは、安価な鉱物「タルク」※2と高性能な植物由来の超微細繊維「セルロースナノファイバー(CNF)」※3を同量混ぜることで、3Dプリント時の最大の課題「材料の反り(変形)」を81.8%減らすことに成功しました。タルクのみを混ぜた時の変形は31.5%減、CNFのみでは48.5%の減だったので、両者の組み合わせにより相乗効果を生み出しました。  CNFは植物由来のため環境負荷が低く、鋼鉄の5分の1の軽さでありながら5倍の強度を持つという特長があります。PPと組み合わせることで自動車であれば軽量化を可能にし、走行時のCO2排出量削減や燃費向上にも貢献します。その一方、高価であることから、安価なタルクを組み合わせてコストを抑えました。   3Dプリントでは一般的に植物由来の代替樹脂(PLAなど)が使われていますが、自動車産業や製造業の開発現場では最終製品と同じPPを使った試作や小ロット生産が熱望されていました。しかし、PPは結晶性プラスチックのため熱収縮が大きく、造形中の反りやはがれが実用化の最大の障壁となっていました。従来のPP部品は大量のエネルギーと高価な金型を必要とする「射出成形」が主流でしたが、3Dプリント(FFF方式)での精密造形が可能になれば、必要な時に必要な場所で必要な分だけ作る「オンデマンド製造」が実現します。また、試作や修理部品(補修部品)を現地で3Dプリントできるようになれば、余剰在庫の廃棄や長距離輸送に伴う環境負荷・サプライチェーンのリスクを大幅に減らすこともできます。  更にPPは材料として再利用することが比較的容易な熱可塑性樹脂であることから、本研究によりPPベースの複合材料の性能向上が実現すれば、「作って使って何度も再資源化する」循環型社会の構築の後押しにもつながります。 用語説明: ※1 ポリプロピレン(PP) 世界で最も広く普及している軽量で頑丈なプラスチックの一種です。耐熱性や耐薬品性に優れ、リサイクルもしやすいため、自動車のバンパーや食品容器、不織布マスクなどに多用されています。一方で、冷え固まる際に大きく縮む性質(結晶化収縮)があり、3Dプリントの際に製品が「反りやすい」という製造上の大きな弱点を持っています。 ※2 タルク マグネシウムを含む天然の鉱物を粉砕した、滑石(かっせき)と呼ばれる微細な粉末です。安価でプラスチックの耐熱性や剛性を高める効果があるため、自動車部品などの補強材として工業界で広く一般に用いられています。3Dプリントにおいては、材料全体の形を安定させ、熱を伝わりやすくする役割を果たします。本実験では、高価なCNFと併用することで、コストを抑えつつ反りを防ぐ相乗効果を発揮しました。 ※3 セルロースナノファイバー(CNF) 木材などの植物繊維をナノサイズまで細かく解きほぐした次世代のバイオマス素材です。熱による変形(熱膨張)が極めて小さいという優れた特長があります。環境負荷が低く、自動車の軽量化や脱炭素化を支える新素材として注目されており、本実験では3Dプリント時の樹脂の縮みを強力に抑え込む主役として活躍しています。 論文情報 論文名  The effect of filler hybridization on reducing warpage in fused filament fabrication of     polypropylene composites     (和訳:ポリプロピレン複合材料の溶融フィラメント成形における反り低減に対する充填材のハ     イブリッド化の効果) 著者名 Tatsuto Yamamoto 1、Hiroaki Eda 2、Kouta Ide 3、Kenji Aoki 4、Makoto Fujihara 5、     Yasutomo Uetsuji 2 所 属    1 大阪工業大学大学院 工学研究科 電気電子・機械工学専攻    2 大阪工業大学 工学部 機械工学科    3 東洋レヂン株式会社    4 静岡大学 グローバル共創科学部    5 日東電工株式会社 雑誌名 Composites Science and Technology (Elsevier) DOI 10.1016/j.compscitech.2026.111809 URL https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0266353826002940?via%3Dihub 公表日 2026年8月7日(オンライン公開) ▼本件に関する問い合わせ先 学校法人常翔学園 広報企画課 石村、長谷川 住所:大阪市旭区大宮5丁目16番1号 TEL:06-6954-4026 メール:Koho[at]josho.ac.jp  ※メールアドレスの[at]は@に変換してください。 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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