応募企画を再編した新企画、展覧会『Co-Program Reframed: 飛光、飛光』開催
創作の芽を、新たなかたちへ ― 展示・パフォーマンス・公開リハーサルで身体表現の可能性を探る
京都芸術センターが実施する共同事業プログラム『Co-program』は、アーティストや芸術団体とセンターが共同主催者となり、創作から発表までをともに進めるプログラムです。
本展は、その2025年度公募で採択には至らなかった企画を「Reframed(再構成)」という視点で紹介する新企画です。選考の結果だけでは測れない企画の可能性や問いに着目し、創作の過程や実験性を広く社会へひらくことを目指します。
展覧会タイトル「飛光、飛光」は、瞬く間に過ぎ去る時を飛ぶ光になぞらえ、人間の肉体の儚さを詠んだ唐代の詩人・李賀の詩に由来しています。展覧会では、人と人との関係性、新たな身体像、社会との距離をテーマにした3つのプロジェクトを紹介します。展示作品に加え、義肢を装着するリハビリテーションの公開や、作品制作の過程を見せる公開リハーサル、アーティストトークなども実施。完成した作品だけでなく、試行錯誤や対話を含む創作のプロセスを公開することで、創作の価値を多角的に捉え直します。京都芸術センターは、本展を通して選考の枠組みにとどまらない創作支援の可能性を探り、アーティストの挑戦や実験を社会へ届ける新たな場づくりに取り組みます。
詩と現代美術の領域で活動する今宿未悠は、日本初の人権宣言と言われる水平社宣言(1922)末尾の「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という言葉を、人と人とのあいだに生じる両義性をはらんだエネルギーの授受として捉えました。本企画では、この考えを起点に親密な関係にある二人のための実践を制作し、新作《BURN PLAY》として発表します。
パフォーマンスアーティストの花形槙、アニメーション技法を用いるアーティスト中澤ふくみ、義肢装具士・義肢デザイナーの安田伸裕は、《Extra Limb Circuit /余剰肢回路》と題した共同実験を展開します。花形の身体をもとに中澤が新しい身体イメージをアニメーションとして制作し、そこから安田が実際に機能する「余剰肢」を作り、花形がその「余剰肢」を装着し、動かす訓練を実施。三人の創造性の循環を通じて「新しい身体像」を立ち上げることを試みます。
ダンサー・振付家である藤田一樹は、「社会との切断と接続を同時に求める身体」をモチーフとしたパフォーマンス《暫定的に分身》を発表します。藤田自身の不登校の経験をもとにパリと東京での制作・上演を経た本作を、京都では3週間という期間の中でリクリエーションし、その過程そのものを開いていくことを試みます。
生きている限り、私たちは、自らの肉体から逃れることはできません。
「飛光飛光」と、瞬く間に過ぎ去る時を飛んでいく光に譬え、人間の肉体の儚さをうたった唐代の詩人・李賀の詩にも似て、肉体からの「逃れられなさ」に真っ向から向き合いながら、まだ見ぬはるか彼方を眼差すアーティストたち。それぞれの表現を通じて、欠如や過剰を抱え、決して必要十分にはならない「私」という存在を起点に、社会や世界とのつながりを模索し続ける手立てについて思いを馳せる機会となれば幸いです。
展覧会概要
展 覧 会 名: 『Co-Program Reframed: 飛光、飛光』
会 期: 2026年8月1日(土)~8月23日(日)
会 場: 京都芸術センター ギャラリー北・南、ミーティングルーム2
※ミーティングルーム2は、公開リハーサル、パフォーマンス実施時のみ入場できます。
料 金: 無料
※⼀部有料のものがございます。/オンライン/チケット販売(事前決済)/無料/要予約
主 催: 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
WEBページ: https://www.kac.or.jp/events/260625/
■藤田一樹パフォーマンス
藤田一樹《暫定的に分身》パフォーマンス
京都芸術センターでリクリエーションする作品を発表します。
日時:2026年8月15日(土)、16日(日)、21日(金)、22日(土)各日16:00~
会場:京都芸術センター・ミーティングルーム2
料金:1,000円
チケット発売開始:7月1日 10:00~
チケットページ:https://teket.jp/15894/72024
※上記期間以外にも公開リハーサルを実施します。詳細は京都芸術センターウェブサイトをご参照ください。
※8/16(日)、8/21(金)は、上演後、ゲストを迎えたアフタートークを実施します。
8/16(日):児玉北斗(振付家/ダンサー)
8/21(金):小倉笑(パフォーマー/振付家/京都国際ダンスワークショップフェスティバル共同プログラムディレクター)
■Extra Limb Circuit / 余剰肢回路パフォーマンス
8/1(土) 14:00-17:00
「余剰肢の初装着・リハビリテーション」
中澤のアニメーションに基づいて安田が制作した「余剰肢」を花形が初めて身体に装着する。安田の立ち会いのもと、新たな肢を身体に馴染ませ、動かすための初期リハビリテーションのプロセスを公開する。
8/22 (土)14:00-17:00
「余剰肢の最終リハビリテーション」(終了後、アフタートークあり)
余剰肢を装着した花形が、今周回で最後のリハビリテーションに臨む。その際、初めて中澤のアニメーションと対峙し、これまで開発してきた花形の動きとその元となった中澤のアニメーションの中の肉体の動きの差分を目の当たりにする。
会場:いずれも京都芸術センター・ギャラリー南
入場無料、事前申込不要、途中入退場可
■今宿未悠《BURN PLAY》オンライントーク
「傷つきを伴う PLAY について」
出展作家の今宿未悠が、SM 思想史研究者の河原梓水とアーティストの百瀬文をゲストに迎え、作品についてお話しします。
8/15(土) 13:00‐15:00
登壇者:今宿未悠、河原梓水、百瀬文
料金:無料
参加方法:こちらのフォームよりお申し込みください(https://teket.jp/15894/72097)
■アーティストトーク
本展出展作家にそれぞれの作品についてお話いただきます。
日時:2026年8月23日(日)13:00~15:00
登壇者:今宿未悠、中澤ふくみ+花形槙+安田伸裕、藤田一樹
会場:京都芸術センター大広間(西館2階)
料金:無料
参加方法:こちらのフォームよりお申し込みください(https://teket.jp/15894/72096)
出展者プロフィール
■今宿未悠
2000年生まれ、東京都拠点。 詩と現代美術の領域において、親密さと暴力を再定義するために活動する。自他の境界を揺さぶる装置や状況を構築し、自身や他者を巻き込む実践を通して、 親密な二者関係、あるいは公共空間における、新たな共在のあり方を提示する。主な発表歴に、グループ展「開館30周年記念展 日常のコレオ」(東京都現代美術館、2025年)。主な受賞に第1回西脇順三郎賞新人賞、第59回造本装幀コンクール東京都知事賞。
■Extra Limb Circuit / 余剰肢回路(中澤ふくみ+花形槙+安田伸裕)
「Extra Limb Circuit / 余剰肢回路」は、身体変容に関心をもつ義肢装具士・安田伸裕、アニメーション技法を用いるアーティスト・中澤ふくみ、パフォーマンスアーティスト・花形槙の3名による共同実験である。2025年7月に始動した本実験では、アニメーション、義肢製作、パフォーマンスという三つの分野を横断しながら共同制作を行う。異なる専門性をもつ三者が、それぞれの手法によって身体像を受け渡し、一人の作家性へと収まることを避けながら、周回的に制作を展開していく。
・中澤ふくみ
1996年高知県生まれ。2019年、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)油画コース卒業。
2020年エストニア芸術アカデミー修士課程アニメーションコース入学。
<人間の身体と道具>の関係性に着目し、その境界を探るようなアニメーションやドローイング作品を制作。主な作品では、アニメーションで描いた原画を糊で貼り合わせた塊を「物質的な身体」として、投影される映像は「身体的記憶」として存在させる。
・花形槙
1995年東京都生まれ。パフォーマンス、メディアアート、現代美術などの領域で活動。テクノロジカルに加速する資本主義社会において「私」や「人間」であることが揺らぐリアリティのもと、通信システム、ウェアラブルデバイス、義肢装具といった身体と世界とを関係づけるテクノロジーに着目し、現代における〈人間性の捻転〉を試みる。主な発表に、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」(東京芸術劇場)、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館)など。
・安田伸裕
義肢装具士として義肢装具の製作に従事しながら「義肢装具×デザイン」の拡張をコンセプトに、これまで「藍染義足」「藍葉装衣(あいのはそうえ)」や 花形槙作品 「A Garden of Prosthesis」の製作などを行う。普段の義肢装具のものづくりから得たものをベースに身体と日常/衣服と身体の境界を行き来出来るような作品「装衣交々」を製作し、これまでの製作活動から領域の拡張を目指している。
■藤田一樹
ダンサー、振付家。フランスと日本を拠点に活動。2015年に渡仏し、パリ地方音楽院(CRR)とアンジェ国立現代舞踊センター(CNDC)を経て、パリ第8大学舞踊学科で修士号を取得。フランス政府給費留学生として、国際振付研究所 モンペリエ国立振付センター(ICI-CCN、芸術監督:クリスチャン・リゾー)のMaster exerceで振付研究を行う。言葉を身振りに、身振りを言葉に翻訳するプロセスに関心をもち、誤解が創造と変容の源となる振付実践を探求する。キム・キド、高田冬彦、花岡美緒、森栄喜とコラボレーションを行うほか、アナ・リタ・テオドーロ、リヴァー・リン、保良雄の作品に出演。
Co-program(コープログラム)について
Co-program(コープログラム)は、京都芸術センターが2017年度から実施する共同事業プログラムです。伝統芸能から現代美術まで、多様な芸術分野が交わることで生まれる新たな表現や価値の創造を目指し、アーティストや芸術団体と京都芸術センターが対等なパートナーとして企画を育て、実現しています。
本プログラムでは、採択された企画に対して資金や会場を提供するだけでなく、企画立案から制作、広報、発表までを京都芸術センターと申請者が共同で進めます。公演を対象とする「共同制作」、展覧会を対象とする「共同開催」、リサーチやレクチャー、ワークショップなどを対象とする「共同実験」の3つのカテゴリーを設け、挑戦的な芸術活動を継続的に支えています。
2017年度の開始以来、演劇、ダンス、音楽、美術、伝統芸能など幅広い分野で約70件のプロジェクトを採択。やなぎみわ、ホンマタカシ×コンタクトゴンゾ、岡崎藝術座、スペースノットブランク、額田大志×山下恵実をはじめ、新たな表現に挑戦するアーティストとの協働を重ね、京都から国内外へ向けた創造的な活動を発信しています。
WEBページ:https://www.kac.or.jp/program/34630/
京都芸術センター
京都芸術センターは、芸術文化の振興を目的に2000年4月に開設されました。若い世代を含む多様な芸術家の制作支援を軸に、芸術文化に関する情報発信や、芸術家と市民の交流促進に取り組んでいます。芸術家が創作活動を行い、その成果を発表するための制作室の提供をはじめ、展覧会、演劇、ダンス、音楽、伝統芸能などの公演やワークショップを実施。芸術家の発掘・育成や伝統芸能の継承、国内外の芸術家を受け入れるアーティスト・イン・レジデンス事業にも力を注いでいます。これらの活動を通じ、京都における都市文化創造の拠点として、芸術の新たな価値を社会に開く場づくりを進めています。
