PwC Japan、「持続可能な成長と企業価値の向上に向けたCFO意識調査」の最新結果を公開
PwC Japanグループ
PwC Japan、「持続可能な成長と企業価値の向上に向けた
CFO意識調査」の最新結果を公開
インフレ環境下におけるCFOとCEOの役割意識・AI活用の範囲の違いが明確に
PwC Japanグループ(グループ代表:久保田 正崇、以下「PwC Japan」)は本日、「持続可能な成長と企業価値の向上に向けたCFO意識調査」の最新結果(以下「本調査」)を公開しました。本調査では、CEOが変革能力(イノベーション力)や生成AIの可能性に目を向け、企業が長期的に至るべき「目指す場所」を描く一方、CFOは大胆な変革とコア事業の維持との間で適切なバランスを取りながら「目指す場所にどのように至るか」を設計する指揮者の役割を重視していることがわかりました。
PwC Japanは、経営環境の不確実性が高まる中で、「持続可能な未来に向けてCFOにはどのような変革や役割が求められているのか」を解き明かすことを目的に、2024年よりCFO意識調査を実施しており、今回が2回目となります。本調査は日本企業・日本経済が置かれた状況に基づいた設問を通じて、国内大手企業を中心にCFOが直面する課題や「管掌範囲と経験範囲の違い」、「CEOとの意識の違い」、「AI活用状況」などを多角的に分析しました。
AIの進化や浸透は、経済や産業に大きな影響を与えるファクターであり、PwCでは、AIが今後10年間で世界経済の生産量を大きく押し上げる可能性があると指摘しています(※)。PwCが2026年1月に発表した「第29回世界CEO意識調査」の結果からは、AIの活用で先行する企業と後れを取る企業の差が広がりつつある様子が見て取れます。また、同調査では日本のCEO(139名)が、自社の変革能力やAIを含むテクノロジーへの対応に着眼していることがわかっており、CEOは生成AIを「未来を引き寄せる大胆な変革」の一助として重視していることがうかがえます。
一方、CFO組織におけるAI活用は広がりを見せているものの、CFOの多くはAIを「効率化ツール」と捉え、長期目線での企業価値向上につながる分析や洞察への活用は少ないことが浮かび上がりました。現状では短期の目線で、「今を突破する高速な変革」の手段と位置付けていることが読み取れます。
※PwCの調査レポート「Value in Motion」:https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/2025/value-in-motion.html
AIの導入は世界経済を再構築し、2035年までに全世界のGDPを15%押し上げる可能性を示唆
調査結果の主なポイントは以下のとおりです
- CFOの最大の懸念は、「大胆な変革とコア事業のバランス」(31%)。CEOの最大の懸念は、「自社のイノベーション力」(58%)。CEOとCFOでは懸念事項が異なる
- 「税務」を管掌範囲とするCFOは93%にのぼる一方、実務経験を持つCFOは28%に留まる。経済環境を踏まえて「キャッシュ創出機能」となり得る税務でCFOは経験不足
- 今後「価値創造」が最も求められるとするCFOは80%。そのうち、「統制・コンプライアンス」を2位に挙げたCFOが29%、「トランザクション処理」を2位に選ぶCFOが23%で、「守り」機能が計52%と次点となった。CFOは必ずしも「攻め」機能に傾倒している訳ではない
- CFO組織における対外的な業務や非定型業務でのAI活用は、「法的文書・契約書の作成」(20%)、「各種開示資料の作成」(20%)、「外部環境から自社業績への影響分析」(13%)と限定的
不確実性とインフレの中で高まるCFOの「バランス感覚」
本調査によると、CFOの最大の懸念は、「大胆な変革とコア事業のバランス」(31%)で、既存の収益源や事業の安定性を損なわずに変革を進めることを最大の課題と捉えています。「効率的な運営と予期せぬ事態への耐性の両立」(20%)や「不確実な未来に向けたイノベーション力の確保」(20%)への関心も高く、CFOがレジリエンスと持続的成長を両立させる“経営の要”を志向していることがわかりました。
一方、PwCが2025年9月から11月にかけて実施した「第29回世界CEO意識調査」での同様の質問への日本のCEOの回答結果を見ると、自社のイノベーション力に対する懸念が58%で最も多く、AIを含むテクノロジーの変化に自社の変革が追い付くのかについての懸念が53%となっています(※)。CEOは変革能力の不足やAIの進化から遅れることへの危機意識が高い一方、CFOは財務健全性やバランスを重視していることが読み取れます。
※第29回世界CEO意識調査(日本分析版):https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/ceo-survey.html
図表1:CEOとCFOの役割意識
また、昨今のトレンドであるAI活用においても、本調査では、CFO組織がAIを活用する領域は「各種報告資料の作成」(60%)、「不正検知・チェック業務」(33%)、「IRや株主総会向けの想定問答集の作成」(28%)が中心で、不確実性が高い経営環境下では不可欠となる「外部環境から自社業績への影響分析」(13%)への適用は限定的であることがわかりました。CEOがAIを「未来を引き寄せる大胆な変革」の一助と見ているのに対して、CFOは「今を突破する高速な変革」として活用しており、CEOとCFOで期待役割の違いがAI活用の範囲に表出しています。
CFOの管掌範囲と経験範囲のギャップが顕在化
CFOの役割が高度化する一方で、税務など一部領域では十分な専門経験・実務経験が限られていることがわかりました。「税務」を管掌範囲とするCFOは93%にのぼる一方、戦略的に活用すれば「キャッシュ創出機能」となり得る「税務」機能でありながら、実務経験があるCFOは28%にとどまり、また事業部門経理や海外事業管理で移転価格を担当したCFOは17%に過ぎず、税務に直接的な経験を持たないCFOも少なくありません。「税務」機能を経営に活用しきるケイパビリティがCFOには不足している、と読み取れます。
「管掌範囲と経験範囲の違い」は、CFOのキャリアパス設計や人材育成が現状の期待役割に追いついていないことを示しており、組織体制および人材戦略の見直しが求められています。
図表2:CFOの管掌範囲と経験範囲のギャップ
「価値創造」と「統制・コンプライアンス」を同時に背負うCFOの未来像
PwC JapanはCFO意識調査にて、価値創造とインサイト・予測を「攻め」、統制・コンプライアンスとトランザクション処理を「守り」と定義しております。
今後CFOに求められる役割として「価値創造」を最重要とするCFOは80%と多数を占めます。そのうち、「統制・コンプライアンス」を2位に挙げるCFOが29%、「トランザクション処理」を2位に選ぶCFOが23%と続きます。また「統制・コンプライアンス」もしくは「トランザクション処理」を1位として挙げるCFOも17%存在します。
この結果は、CFOにとって価値創造が重視されつつも、業務基盤となる統制やトランザクション処理が依然不可欠であることを示しています。加えて、法規制の強化や情報開示の高度化を背景に、正確性・説明性・信頼性(Trust)に対する意識が高まっていることも推察されます。
これらのことから、価値創造やインサイト予測の一部であるFP&A(Financial Planning and Analysis)など「攻め」の改革の前提には、「守り」の役割による信頼性(Trust)の確保が不可欠であり、CFOが「攻め」に傾倒し過ぎることなく、「守り」とのバランスを意識していることがうかがえます。
図表3:今後CFOに期待される役割
変革を牽引するCFOに向けた3つの提言
調査結果を踏まえ、PwC Japanは以下を提言します。
1. 「前提が変化すること」をふまえた変革推進
不確実性が高まる環境で、CEOが描く「目指す場所」に対し、CFOが「目指す場所にどのように至るか」を設計する指揮者の役割を果たすためには、前提や制約の因果関係をすべて解き明かしてから動くのではなく、一定の損失や手戻りを許容しつつ進める姿勢が求められます。すなわち「Start anywhere(先ず隗より始めよ)」の視点で着手し、手戻りや失敗を含めて過程で生まれる学びや蓄積されたケイパビリティは、変革を前進させるアセットとして取り込むことが重要です。
2. CFO組織がユースケース選定を主導するAI活用
AIは、従来型のDX推進と異なり、局所的なプロセス標準化やデータ標準化を要請しつつも、分散されたデータやプロセスも統合・処理が可能です。そのため「必要な箇所だけ整備して、あとはAIと現場で対処する」という試行錯誤型のアジャイル運営を通じて「集中と分散」の両立が可能なテクノロジーといえます。人材不足を「課題ではなく与件」と捉えるべき人口動態において、CFO組織は「守り」領域に対するAI活用に留まらず、「洞察・インサイト」などの「攻め」領域にも積極的に活用を推進すべきです。その過程では、CFO組織自らがAI活用を主導し、課題認識を踏まえて、活用可能なユースケースを選定し、「成功体験」を積み上げることが活用範囲の拡大につながると考えます。
3. CFO組織の未来予想図を踏まえた機能と人材の変革推進
環境変化や「管掌範囲と経験範囲の違い」を踏まえると、これからのCFO組織は、従来の「カネ担当」ではなく、「価値創出の指揮者・プロデューサー」として機能を発揮できるような機能配置や組織設計が要諦になるといえます。CFO組織に期待される機能・役割が変化することはCFO組織の人材育成にも影響を与えます。今後求められるCFO組織の人材育成は、経理財務領域の専門知見に留まらず、戦略や法務、哲学や歴史、資本市場や他部門・事業の動向の理解、ならびに変革を推進するプロジェクト管理やチェンジマネジメントのスキルが重要になります。指揮者として企業経営やビジネス全体を「多角的に捉えること」「連鎖的に捉えること」を意識した人材育成が不可欠です。
【持続可能な成長と企業価値の向上に向けたCFO意識調査 2025年版について】
調査期間:2025年9月1日〜10月17日
対象:国内上場企業(プライム市場)および大手企業のCFO・財務/経理責任者
調査方法:ウェブアンケートシステムによる回答
回答社数:141社
以上
PwCについて:https://www.pwc.com
PwCは、クライアントが複雑性を競争優位性へと転換できるよう、信頼の構築と変革を支援します。私たちは、テクノロジーを駆使し、人材を重視したネットワークとして、世界137の国と地域に364,000人以上のスタッフを擁しています。監査・保証、税務・法務、アドバイザリーサービスなど、多岐にわたる分野で、クライアントが変革の推進力を生み出し、加速し、維持できるよう支援します。
PwC Japanグループについて:https://www.pwc.com/jp
PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社の総称です。各法人は独立した別法人として事業を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanグループでは、監査およびブローダーアシュアランスサービス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、そして法務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、弁護士、その他専門スタッフ約13,500人を擁するプロフェッショナル・サービス・ネットワークとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。
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