特殊金属加工スペシャリストチーム「Demold」、安全性や安定性を確保した加工難度の高い条件下で精微な形状を具現化

富士ホールディングス株式会社

株式会社オカムラの展示品制作に協力

 富士工業株式会社(神奈川県相模原市/厨房機器製造・販売/代表取締役社長 柏村浩介、以下FUJIOH※1)の特殊金属加工スペシャリストチーム「Demold」は、株式会社オカムラの展示品制作に協力しました。加工難度の高い条件下で精微に作られた本展示品は、日本製鉄株式会社主催「ブリキのリデザイン展」で披露されました。

※1 FUJIOHは、富士工業グループの企業ブランドです。
 
Demoldが制作協力した展示品
左:「en」 右:「CONI」

 今回、Demoldは株式会社オカムラがデザイン・出展した展示品2点の制作工程を担当しました。板厚わずか0.23mmのブリキ材を使用したため、加工時に変形しやすく慎重な取り扱いが必要でしたが、高精度な曲げ加工技術を駆使し、要求される品質を確実に満たしました。また、金属を曲げる際には、元の形状に戻ろうとする現象が生じることがあり、戻りを見込んだ角度で曲げることで設計通りの形状を実現しました。
 さらに、展示に際しては安全性や安定性の確保が不可欠であり、加工難度は一層高まりました。これに対してDemoldでは、寸法誤差が製品精度に影響することを踏まえ、専用治具の製作や加工速度の調整など、入念な加工条件を検討しました。これらの工夫により課題を克服し、滑らかな曲線と均一な仕上がりを実現しました。
 近年、アルミやプラスチックなど代替素材の普及により、容器としてのブリキの需要は縮小しています。しかし、環境優位性の高いブリキは容器以外の分野でも活用が期待できる素材です。今回の制作協力を通じて、ブリキの用途を空間デザインの領域へ拡張し、持続可能性と造形美を両立しました。

■制作協力品概要
「en」…光の反射や周囲環境の写り込みが印象的な、空間全体を円でデザインしたオブジェ。端部を丸く曲げるカール加工を施すことで、触れた際の安全性と構造的強度を確保し、円形状を安定して保持することを可能にしています。一方、カール加工を加えることで円形を歪みなく形成することが難しくなり、接合部に生じる段差の解消も課題となりました。これに対し、Demoldは専用治具を製作した上で、緻密な調整を重ねた曲げ加工をおこない、端部のカールが崩れることのない美しい円形状となめらかな接合部を実現しました。本作品は、従来歪みやすいとされてきた円形状において安定保持と美観を両立し、空間演出に新たな可能性を提示しています。

「CONI」…ブリキを円錐状に巻き上げた脚を持つテーブルは、金属光沢の美しさと強度の高さを兼ね備えています。しかし、わずか0.23mmのブリキは変形しやすく、通常の加工では歪みや折れが発生する課題がありました。Demoldは、この課題を解決するために円錐形状を維持する専用治具を制作し、美しい仕上がりを実現しました。

 Demoldは、独自の加工技術でこれまでにない金属表現を提供します。今後も新たな価値創出のため、加工手法の開発に取り組んでいきます。
 
左:展示の様子 中央:「en」のアップ 右:「CONI」のアップ


■「en」詳細
使用技術:レーザー、ベンダー、3本ロール
材質:ブリキ
板厚:0.23mm
寸法:Φ2100mmxD300mm、Φ1600mmxD300mm
クライアント:日本製鉄株式会社
デザイナー:株式会社オカムラ

■「CONI」詳細
使用技術:レーザー、ベンダー、3本ロール
材質:ブリキ
板厚:0.23mm
寸法:Φ480mmxH760mm、Φ300mmxH470mm(円錐部分)
クライアント:日本製鉄株式会社
デザイナー:株式会社オカムラ

■「ブリキのリデザイン展」について
日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2025」内で開催された「ブリキのリデザイン展」は、『造形思考』をコンセプトに掲げ、日本製鉄とインダストリアルデザイナーの米田充彦氏(ATSUHIKO YONEDA DESIGN代表)によって企画されたものです。本展覧会では、日本製鉄株式会社とアーキテクトやインハウスデザイナーのコラボレーションにより、ブリキが持つ「輝度」「軽さ」「加工性」を活かした独創的な作品が展示され、ブリキの新たな可能性が提示されました。また、社会における脱炭素化のニーズの高まりを踏まえ、展示品には環境負荷の低減効果に優れたブリキである、日本製鉄株式会社のGXスチール※2「NSCarbolex® Neutral※3」が使用されました。

開催期間:2025年10月31日(金)~11月9日(日)
会場:兜町Keshiki内 "AA" 東京都中央区日本橋兜町6-5 兜町第6平和ビルB1
公式WEBサイト:https://www.designart.jp/designarttokyo2025/exhibitions/10791/

※本展示会は終了しました。現時点で「en」「CONI」の次回展示の予定はございません。

※2 鉄鋼メーカーによる追加的な(スコープ1の)直接的排出削減行動による大きな環境負荷の低減があり、排出削減行動に伴う環境価値を一定のプレミアムとして経済価値化することを前提に、削減証書とともに供給する鋼材です。
※3 日本製鉄が実施した追加性のある削減プロジェクトによるGHG(Green House Gas温室効果ガス)排出削減量又はCO2排出削減量を組織内でプールし、その削減量を任意の製品に配分して証明書と共に供給する鉄鋼製品であり、一般社団法人日本鉄鋼連盟が制定するガイドラインに準拠しています。


■株式会社オカムラについて
自分らしく活きる人を増やし、笑顔があふれる社会へ。株式会社オカムラは人を想い、人が活きる場を創ります。創業以来、ものづくりに対する高い志を持ち、オフィスから商業施設、病院、学校、そして物流施設まで、多様な場づくりへと事業を展開しています。

事業概要:スチール家具全般の製造・販売/産業機械その他の製造・販売/金属製建具取付工事の請負/建築業に関わる付帯工事・設計・製造・販売/商品陳列機器その他の製造・販売/各種セキュリティ機器に関わる付帯工事・設計・販売/各種医療機器その他の機械器具の設計、製造ならびに販売/事務所の環境向上と事務・生産効率向上に関する情報の提供とこれに関連する機器の製造・販売
代表者:代表取締役 社長執行役員 中村 雅行
創業:1945年10月
公式Web サイト:https://www.okamura.co.jp/

■「Demold」について
Demold は、FUJIOHのレンジフード開発で培った金属加工技術と提案力で、お客様のイメージを具現化するスペシャリストチームです。今までの金属加工技術では考えられなかった多彩な表情の演出を、金型コストを必要最小限に抑える技術を駆使して、多くの建築内外装に採用いただいています。
Demold Webサイト:https://www.fujioh.com/demold/

■過去実績
夢洲駅
担当箇所_天井パネル
使用技術_自在成形
クライアント_株式会社大阪港トランスポートシステム
設計_大阪市高速電気軌道株式会社、株式会社安井建築設計事務所
製造メーカー_森村金属株式会社「UBシステム天井仕様」
材料_長田通商株式会社 バンドクサルデコール SP-07
製作月_2025.01
 
銀座シャンデリア
担当箇所_アルミ押し出し成型パネル レーザーカットパネル
使用技術_逐次成形 微細加工
クライアント_三越伊勢丹
基本設計_三越伊勢丹プロパティ・デザイン
施工会社_鹿島建設 /旭ビルウォール
製作月_2020.08
 
三井ガーデンホテル銀座築地
使用技術_自在成形
デザイン_ZADESIGN.inc
撮影_YAMAMOTO KEITA photographic record
製作月_2024.08

 
ヒルトン広島
担当箇所_レーザーカットパネル、十字架
使用技術_微細加工/板金設計
インテリアデザイン_Hirsch Bedner Associates
アートコーディネート_インターカルチャーアート
製作月_2022.06
 
※ 富士工業株式会社は富士ホールディングス株式会社の100%子会社です。

【富士工業グループ会社概要】
事業概要:一般家庭用/業務用厨房機器の企画・開発設計・生産・販売・アフターサービス
代表者:代表取締役社長 柏村浩介
創立:1941年12月
所在地:神奈川県相模原市中央区淵野辺2丁目1番9号
従業員数:941名(役員、アルバイト・契約社員等を除く)
グループ会社:富士ホールディングス株式会社
富士工業株式会社
富士工業販売株式会社
フジテックメンテナンス株式会社
株式会社ヒートアンドクール
Fujioh International Trading Pte. Ltd.
芙子帝風商貿(上海)有限公司 (Fujioh Trading Shanghai Co.,Ltd.)
Fujioh Marketing Malaysia Sdn. Bhd.
台灣富士皇股份有限公司(Fujioh Marketing Taiwan Co., Ltd.) 
[関連会社]アリアフィーナ株式会社
公式Web:https://www.fujioh.com
 

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