シーメンスの傘下で、最先端エンタープライズアプリケーション開発のグローバルリーダーであるMendix(本社:オランダ ロッテルダム/CEO:ティム・スロック)は本日、業界をリードするローコードプラットフォームの最新版であるMendix 10の一般提供を開始しました。Mendix 10には多数のイノベーションが採用され、企業全体でデジタルソリューションデリバリーのシフトが可能になることから、前例のないあるいは想定外のソフトウェア需要にも対応できるようになります。
Mendix 10について(英語):
https://www.mendix.com/whats-new/
一般的には、あらゆる産業の組織が、ビジネス展開における急速な変化が及ぼす様々な障壁や課題に直面しています。そして多くの組織が短期間のうちに大規模なイノベーションを市場に送り出せるよう、ビジネスモデルを変革しようとしています。先見性の高い企業では、優れた開発者や経営戦略専門家を結集し、デジタルソリューションを再構成していく武器としてのプラットフォームを提供し、組織内さらには拡張したエコシステムを横断する知見やデータを共有できる洗練したライブラリを構築しています。
今回発表したMendix 10は、Gartnerが「コンポーザブル エンタプライズ」と定義するこうした組織への移行を支援するため、AIや機械学習の最新機能、ビジネス部門とIT部門のコラボレーションを促進する多くの新機能を搭載するほか、開発者エクスペリエンスの向上、クラウド開発オプションの拡張、ガバナンスや管理における最新のアプローチを採用しました。
Mendix 10は、組織がフュージョンチームやフュージョン構成のような新しいデジタルデリバリーモデルへのアプローチを、信頼できるプラットフォーム上で実現できるよう設計されています。
MendixのCEOであるティム・スロックは次のように述べています。
「Mendix 10は変革をもたらします。お客様は、デジタル化の絶え間ない需要と、従来の技術および組織構造とのバランスを取ろうとしています。Mendix 10ならば、実用的でアクセスしやすいツールセットと専門知識のエコシステムを利用して、コンポーザビリティといった難しいテーマにも取り組むことができます」
ベータ版を試用したMendixのエコシステムのメンバーのひとつ、Impact Networking社は、マネージドDXを専門とし、1万4,000社の顧客を抱える全米規模のマネージドサービスプロバイダーです。同社マネージドデジタルトランスフォーメーション担当バイスプレジデントであるJon Evans氏は次のように述べています。
「Mendixからは、Impact Networkingのチームのやる気を掻き立てる新機能を備えた重要なリリースが絶え間なく提供されています。MendixのConnect、Workflow、AIによって自社の能力を次のレベルに引き上げることができました。このようなイノベーションはシーメンスに買収されてからも変わらず続いています。シーメンスはR&Dに重点的に投資しており、包括的な製品ロードマップを有しています」
Mendix 10で新たに搭載あるいは拡張強化された諸機能のうち、特に主要なポイントは以下の通りです。
生産性を大きく向上させる強力なローコード統合開発環境
Mendix 10は、市場で最も直観的で強力なローコード統合開発環境(IDE)を提供するために構築された、開発者による、開発者のためのプラットフォームです。ベータ版を試用したお客様は、ユビキタスなGit製品に基づくバージョン管理をはじめとする数々の機能、最新版のRESTコネクターとデータベースコネクター、およびビジュアルデータフィルターや、豊富なプロパティ、設計管理といった多数のQOL機能強化、Start from Spreadsheet、PDFドキュメントジェネレーターの効果を実感しています。
北米トヨタのシニアソフトウェアエンジニアであるJames Payne氏は次のように述べています。
「Spreadsheet to App機能を試し、アプリケーションを開発する際の使いやすさを確かめるために、Mendix 10のベータ版をダウンロードしました。この機能は、ユーザーが仕事で使う必要のあるアプリの構築にかかる時間を短縮するうえで、大きな影響を与えることになるでしょう」
今年後半には、MacOSベースのStudio Pro IDEのベータ版もMendix 10に加わる予定です。また、各開発者が希望するプラグイン、ウイザード、エディタやサードパーティ製品を組み込んでStudio Proを好みの仕様にできる拡張フレームワークも追加されます。
AIとMLを実践配備し、ビジネス価値へ
Mendixは、他社に先駆け、ローコードユーザーにAIとMLを提供し、Mendix 10でもこの分野を牽引しています。従来から、開発のスピードアップや、助言を得るため、Mendix Assistを使用してきたMendix開発者は、今後さらにデータ入力の検証ロジックを生成する最新の「ボット」の支援を受けられるようになります。今年後半、Mendix Assistには、開発時にアドバイスを行う生成ガイダンスの第1世代であるMendix Chatと、IDEに組み込まれ、ドキュメント、フォーラム、サポートから得られたMendixに特化した専門知識に基づいて教育を施した大規模言語モデル(LLM)が追加されます)。来年の早い時期には、AIを使用してアプリケーション要素を生成するための最初のベータプログラムが発表される予定です。
AI/MLのもう一つの投資分野が、AIサービスと機械学習モデルを使った「スマートアプリ」の開発者を対象としたものです。Mendixのお客様の多くが、今年前半にリリースされた一連のAWS Smart Servicesを使用して、洗練されたソリューションを構築しています。一方、Mendix アプリに独自のMLモデルを組み込めるよう切望しているお客様も存在します。Mendix 10に搭載された新しいML Kitにより、開発者は、共通のMLフレームワークを使用して構築されたMLモデルをMendix Runtimeに導入できます。scikit-learnからPyTorch、TensorFlowまで、さまざまなフレームワークで教育されたモデルを、機械学習モデルのオープン標準であるOpen Neural Network Exchange(ONNX)に変換したうえでMendixアプリに直接統合でき、これにより高度な性能とデータセキュリティ、経済的優位性が発揮されます。
Impact Networking社のローコードチームリードであるScott Gaydos氏は次のように述べています。
「Mendix 10で進められている機械学習関連のアップグレードを心待ちにしています。ML Kitを使用して、ユーザーフィードバックに基づき学習する、独自の社内ツールを開発したいと考えています。これにより、従来のツールやサポートが不要になります。これが、Impact Networkingが一企業として目指していることです」
これらの機能をすべて組み合わせることで、開発者の生産性とソフトウェアの品質を可及的に最適化し、さまざまなデータに働きかけ、それらから企業にとっての価値を引き出せるようになります。
コンポーザブルエンタープライズ戦略を支援
ローコードはこれまで想像もできなかったような方法でソフトウェア開発業界を揺さぶっています。コンポーザビリティ、つまり内外の構成要素を組み合わせて、テーラーメイドのアプリケーション体験を構築・再構築することこそがデジタルソリューションデリバリーを待ち受ける次の大きな変化の波であると、Mendixは予測しています。そのため、Mendix 10には、コンポーザブルエンタープライズ戦略を採用する組織をサポートするいくつかの重要なイノベーションが含まれます。
一例として、Solutions Kitの一般提供が始まり、従来の企業のお客様と独立系ソフトウェアベンダーの両方が同キットを利用できるようになりました。Solutions Kitには、アップグレード性や保守性を犠牲にすることなく、カスタマイズや拡張を行えるソリューションの提供を可能にする複数の機能が備わっています。さらに、モジュールの適応性をきめ細かく管理するIP保護と、高度なバージョン管理により変更を保護するライフサイクル管理も含まれます。今年後半には、すべての実装において適応性に関する洞察を提供するAdaptation Insightsの一般提供が開始される予定です。
Adaptation Insightsは、各顧客のニーズに適合したSaaSソリューションを提供できるため、特にISVにとって有用な機能です。また、大企業のお客様は、コンポーザブル戦略を実行に移す際に、この機能を利用しています。たとえば、食料品チェーンを展開するある多国籍企業は、同機能を使うことで、ITの中核部門がコア技術のガバナンスや所有総コスト(TOC)を確保しつつ、地域や事業部門の枠を越えて事業を拡張できると考えています。
コンポーザビリティ支援に向けたもう一つの大きな投資が、Mendix 10で大幅に強化されたMendix Connect統合スイートの大規模なアップグレードです。データカタログ機能が強化され、またMendixの開発チームと信頼できるエコシステムパートナーの双方から提供され、拡充を続ける一連のコネクターとサービスにより、コンポーザブル環境で業務を行う開発者は、必要なデータやサービスに容易にアクセスできます。さらに、Mendix 10ではBusiness EventsやEvent Brokerなどのイベント駆動型アーキテクチャーもサポートされており、開発者のスキルに関係なく、一般的なアクティビティやイベントに即座に対応するソフトウェアを構築できます。
部門間の持続的連携へ躍進
Mendix 10は、長期にわたりビジネス部門とIT部門の連携を推進してきた知見を基に、ソリューションを共同で構築し、提供するのに最適な最新の規格に従い構築されています。Mendix 10では、新しいPortfolio Manager内で、コンサルティングのときと同様、アプリケーションのポートフォリオの優先順位付け、プランニング、追跡、最適化を行うことができます。従来の開発者チームおよび開発者とビジネス技術者からなる最先端の「フュージョンチーム」は、Mendix Epicsを使用して、要件の管理や進捗状況の追跡を行い、アジャイル手法に対応できます。また、Jiraへの既存投資を利用する場合は、新しいJiraコネクターを利用して、進捗状況とバージョンをMendixから直接追跡できます。
MendixのプロダクトマネージャーであるJelena Golubovicは次のように述べています。
「ソフトウェアを記述する人達だけが連携すれば良いわけではありません。今回発表したMendix App Insightは、開発チームとユーザーが共に、ユーザーエクスペリエンスを直接管理できるようにしたものです」
- App Insightsには強力なフィードバック機能が搭載され、ユーザーがアプリケーションについてアイデアや問題を開発者に伝えることができるようになっています。また開発者は、ユーザーとコミュニケーションを取り、それらのコメントをバックログのストーリーに変換できます。
- App Insightsのもう1つの新機能がミニサーベイです。これは、単一質問のプロンプトにより、ユーザーに特定のページへの移動や特定のアクティビティの実行を促し、使用状況に関するデータを積極的に収集するものとなっています。
マルチクラウド機能
Gartnerは、2025年までに、新規のデジタルイニシアチブの95%以上が、クラウドネイティブなプラットフォームで提供されるようになると予測しています。Mendix 10は、企業がクラウドベースのアプリケーションアーキテクチャーの価値を確実に実現できるよう、多彩な関連機能を搭載しています。
第一に、Mendix 10はWebhookのロバストな実装を提供し、DevOpsの専門家はこれを既存のCI/CDパイプラインに統合できます。CI/CDに向けたさらなるローコード化のアプローチを模索している組織のために、2023年末にMendix Pipelinesのベータ版を提供開始します。また、今年後半には、クラウドリソースのセルフサービス管理と、Mendix Cloudに導入されたアプリケーションを対象としたマルチリージョンクラウドフェイルオーバー機能が提供開始される予定であり、日本でも近日中に利用できるようになります。
南アフリカのAl Baraka銀行の最高執行責任者(COO)のMohammed Kaka氏は、最近配信されたウェビナーで次のように述べています。
「クラウド化の動きが南アフリカにまで広がってきていることは、当行にとって大きなメリットです。すでに実証されたMendixの実装のさらなる機能拡充が楽しみです。応答とその充実度という点からも、お客様のエクスペリエンスが大幅に向上するでしょう」
Mendix Cloud Regions: Al Baraka Bank South Africa:https://www.mendix.com/videos/mendix-cloud-regions-al-baraka-bank-south-africa/
AWSでビジネス展開しているお客様は、Mendix 10で多数の追加機能を利用できます。第一に、Mendix 10は、AWS EKS Kubernetesクラスターのシンプルな構成を可能にするリファレンスデプロイメントと、付属のTerraformモジュールを、プライベートクラウドのお客様に提供します。これにより、95を超えるAWSサービスの導入が自動化され、セットアップ時間が40時間から30分に短縮されます。
Mendix 10にはPrivate Mendix Platformも導入されます。Private Mendix Platformは現時点でベータ版として提供中ですが、Mendixプラットフォームのスピードとアジリティを望む一方で、ポリシーや規制遵守のため完全に自動制御された環境を求めるお客様の固有のニーズに対応します。Private Mendix Platformでは、複数のプラットフォームサービスと、人気のソフトウェア開発ライフサイクルツール(バージョン管理やCI/CDなど)に接続するためのコネクターを、設定なしでそのまますぐに使用できます。
これらの機能は、クラウド導入のセキュリティと価値の継続的な推進に向けたFedRamp In-Process Certificationに関する最近の発表に含まれています。
ガバナンスおよび制御機能
Mendix 10では、コンポーザブルアーキテクチャーと導入済みアプリケーションの大規模なポートフォリオを適切にサポートするために、ガバナンスが見直されました。コンプライアンス責任者、最高情報セキュリティ責任者(CISO)、IT幹部など幅広いメンバーからなるMendixの開発チームは、プラットフォームレベルおよびポートフォリオレベルのガバナンスに重点的に投資を行う予定です。
お客様の多くが、既存のIDプロバイダー(IDP)を使って、Mendixの開発環境へのアクセスを管理したいと考えています。Mendix 10では、「Bring your own IDP(自分のIDPを持ち込む)」によりこれに応えます。新しいLandscape Overview機能は、企業の運用リスク管理に貢献します。ポートフォリオ所有者は、CPU使用率やネットワーク接続といったアプリケーションの健全性指標を含むポートフォリオ全体を把握できます。依存関係管理の付随機能は、発表済みのソフトウェアコンポーネントの正確なインベントリーにより、セキュリティリスク管理に対応します。
Al Baraka社のデジタル化担当ゼネラルマネージャーであるHamzah Asmall氏は次のように述べています。
「小規模なセキュリティチームしか持たない当行にとって、大勢のセキュリティ専門家が出動して、一から設定を行わなくてもいいのは助かります。Mendix環境の場合、セキュリティ標準、プロトコル、セットアップを簡単に新しい環境に移行することができます」
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※本プレスリリースは、米Mendix, a Siemens companyが2023年6月27日(現地時間)に米国で発表したプレスリリースを翻訳したものです。原文は、
https://www.mendix.com/press/mendix-10-solidifies-enterprise-low-code-as-the-key-enabler-for-composable-digital-solution-delivery/ よりご参照ください。
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Mendixについて
デジタルファーストの世界では、顧客ニーズは予測され、ツールは業務効率を大きく高め、エンタープライズはデジタルトランスフォーメーション実行しないと生き残れないと信じられています。そんな世界に向かうエンタープライズにとって、シーメンスの事業部門、Mendixは、改革を進めるエンジンになろうとしています。その先進のローコードプラットフォームと幅広いエコシステムは、最先端のテクノロジーを相互に結びつけ、エンゲージメントの向上、業務の合理化、ITの効率化を実現するソリューションをサポートします。Mendixは、抽象化、自動化、クラウド、コラボレーションの4つの柱で、開発者の生産性を劇的に向上させます。Mendixのコラボレーション機能と直感的なビジュアルインターフェイスは、技術者ではない「市民」が開発者となって、それぞれの得意領域の知識からアプリケーションを作成できるようにします。Mendixのプラットフォームは、クラウドネイティブであり、オープンで拡張性が高く、アジャイルで実績も豊富です。アナリストからもリーダーとして、また時代を先取りするビジョナリーとして評価されています。人工知能、拡張現実、インテリジェントオートメーション、ネイティブモバイルなどを支える、Mendixはデジタルファースト・エンタープライズのバックボーンです。Mendixエンタープライズ・ローコードプラットフォームは、46か国の4,000以上の先進企業に採用されています。