帝京平成大学薬学部薬学科の鈴木達彦准教授は、著書『腹診のエビデンス〔江戸版〕』(2019年、医聖社、並木隆雄監修/鈴木達彦編集)における学術的価値が評価され、2019年度の日本東洋医学会奨励賞を受賞した。
日本において伝統的に行われていた漢方治療では、治療薬を選ぶ際に腹部を触診したり按圧したりすることで、腹部の状態を観察していた。このような腹診は、江戸時代中頃から現代に至るまで、多くの漢方医がエビデンスを残してきた。
しかし、江戸時代の腹診所見を体系的に整理したものは今までになく、かつての優れた臨床上の経験は現代に正確に伝わっていなかった。
このたび日本東洋医学会奨励賞を受賞した『腹診のエビデンス〔江戸版〕』では、今日用いられている全ての保険収載漢方処方の腹診所見を、江戸時代の文献から網羅的に抽出し、今日との比較をしている。
本書の成果により、今まで生かされていなかった貴重な所見を容易に参照することが可能になり、漢方処方の運用に大いに寄与することが期待される。
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