低中所得国における新型コロナウイルスの予防および治療の研究促進を目指すCoalitionの設立
<2020年4月2日 DNDi が発表したプレスリリースの参考和訳です>
医療リソースの乏しい環境下における新型コロナウイルス感染に対応するため、30を超える国の70以上もの組織の科学者、医師、資金提供者、政策立案者が集結し、国際的な同盟 (Coalition) を立ち上げました。COVID-19 Clinical Research Coalitionと名付けられたこのCoalitionは、新型コロナウイルスが既に脆弱な保健システムに甚大な影響をもたらし、そこで暮らす脆弱な人びとへの健康上の多大なる影響が懸念される分野において、必要とされている新型コロナウイルスの研究を加速させることを目的としています。
本日、ランセット誌で公表されたコメントで、Coalitionのメンバーは、悪化する新型コロナウイルスの世界的大流行 (パンデミック) に効果的に対処し、医療リソースの限られた環境に適した研究を加速させるためには、アフリカ、ラテンアメリカ、東欧、および幾つかのアジア諸国を支援する国際的な研究協力と調整が早急に必要であると訴えています。
このCoalitionにより、かつてない多数の保健専門家たち (公的な研究機関、保健当局、学術機関、非営利の研究開発機関、NGO、国際機関、資金提供機関等) が共に、医療リソースの乏しい環境に対する新型コロナウイルスの解決策を見出していくことを表明しました。
新型コロナウイルスに対する重要な研究であるSOLIDARITY trialが、世界保健機関 (WHO) の主導により、かつてない世界的な取り組みとしてすでに始動しています。しかし、ランセット誌コメントの著者らは、およそ600の登録がある新型コロナウイルスの臨床試験のうち、医療リソースの乏しい環境下では、ほんのわずかの試験しか計画されていないことを示しました。彼らは、そのような環境下における新型コロナウイルスの研究を加速させるために、技術や専門性、臨床試験の能力を共有することを約束しています。
この挑戦の規模はいかなる組織であっても単独で成し得る範囲を明らかに超えています。このCoalitionは調整の取れたアプローチを進めることで、すべての地域からすべてのデータを、即時に統一された方法で収集し、蓄積し、共有することができます。これにより各国やWHOは迅速に、科学的根拠に基づく政策や実務上の決定を下すことができます。
「我々は、医療リソースの乏しい環境下での臨床試験に関する多国間および多分野が有する既存の専門性を活かし、新型コロナウイルスへの世界的な対応におけるWHOの調整的な役割を支援するこのCoalitionの設立を歓迎します。」とWHOのチーフサイエンティストであるサウムヤ・スワミナサン (Soumya Swaminathan) 医師は述べています。「本日、世界各地が感染の震源地となっていますが、我々は医療リソースの限られた環境下での大流行が引き起こす結果に、今すぐ備える必要があります。さもなくば、より多くの命が失われることになります。」
Coalitionのメンバーは医療アクセスを確保するための明確な関与を呼び掛けています。そうすれば、有効な新たな治療が、医療リソースの乏しい環境においてもできる限り速やかに入手可能となり、適正な価格で容易にアクセスできるようになります。
現在のところ、70以上もの組織がこのCoalitionに参画し、現有能力で貢献可能な他の組織に対しても参画を呼び掛けています。COVID-19 Clinical Research Coalitionの更なる詳細につきましては、info@covid19crc.org までお問い合わせください。
以上
<報道関係問い合わせ先>
特定非営利活動法人DNDi Japan
中谷 香
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