- CEOの50%が、AIを実質的な生産性向上に寄与する最大の要因として挙げる一方、23%はその成果を測定可能な財務成果につなげることに苦慮している。
- AI投資の費用対効果(ROI)の測定に確信を持ち、AIのコストとリターンをリアルタイムで把握できているCEOは、わずか16%にとどまる。
- CEOの72%が、人材・スキル不足は、資金の確保よりも深刻な成長の障壁になるとみている。
EYは、最新のM&Aに関する調査レポート「EY-Parthenon CEO Outlook調査 2026年10月期」(以下、「本調査」)を発表しました。本調査は、世界21カ国・地域のCEO 1,200人を対象に実施され、現状や将来に対するCEOの見解を評価・分析しています。
本調査によると、地政学的な不確実性やマクロ経済成長の鈍化、急速な技術革新が続く中でも、CEOは引き続き、自社の成長を自ら生み出すことに注力しています。その原動力となっているのが、AI導入による生産性の向上です。一方で、その生産性向上の成果を測定可能な事業価値へと結び付けることが次の課題となっています。この課題に対応するには、オペレーティングモデル、人材、資本配分について戦略的に意思決定を行う必要があります。
AIによる生産性向上、その先へ
AIは企業の生産性向上を支える重要な原動力として存在感を高めています。本調査では、過去12カ月間で生産性向上に最も大きく貢献した要因として、半数(50%)のCEOがAIを挙げ、業務プロセス改革(46%)を上回りました。さらに、約半数(48%)のCEOは、こうした成果を短期的な効率化にとどめるのではなく、生み出された余力を将来の成長を支えるイノベーションや変革の取り組みに再投資しています。
このようにAIの導入が加速する中、企業の関心は効率化から価値創出へと移っています。しかし、CEOはAIによる具体的な業務改善を実感する一方、その成果を意義ある成長や収益性の向上につなげることに苦慮しています。レガシーシステムや組織運営の複雑さ、規制要件が引き続き障壁となっており、CEOの約4分の1(23%)が、AIによる成果は最終的な財務成果として十分に表れる前に吸収されてしまうことが多いと回答しました。こうした調査結果は、企業の競争力を巡る課題が、もはやAIで生産性を向上できるかどうかではなく、その成果をいかに効果的に持続可能な事業価値へと結び付けられるかに移っていることを示しています。
AI投資のROI測定を巡る課題
CEOは依然として、AI投資の効果を測定・定量化することに苦慮しています。本調査では、CEOの半数超(56%)がAI投資のコストとリターンを一定程度、信頼性をもって把握できていると回答した一方、ROIを明確かつリアルタイムで把握できているCEOはわずか16%にとどまりました。また、約4分の1(24%)は、AI関連のコストをある程度追跡できているものの、AI投資全体のROIを評価する能力には限界があると回答しています。こうした調査結果は、AI導入の進展と、企業がAIによる価値創出を測定する能力との間にギャップが生じていることを浮き彫りにしています。
EY-ParthenonのGlobal Vice ChairであるAndrea Guerzoniのコメント:
「AIは生産性向上という具体的な成果をもたらしています。しかし、生産性の向上だけでは戦略として成り立ちません。CEOには、そうした成果を測定可能な価値と競争優位に転換することが求められます。今後は、人とテクノロジーの協働のあり方を再設計し、オペレーティングモデルを変革するとともに、資本の配分先を的確に判断する企業が、長期にわたり持続可能な成長を実現し、競争で一歩先を行くでしょう」
人材・スキル不足が成長の足かせに
CEOの大半は、AIを単に人員規模を調整するための手段というより、人材や働き方の変革に関わる課題と捉えています。実際、回答者の80%は、今後3年間でAIが人員規模以上に、従業員の役割や求められるスキル、働き方に大きな影響を及ぼすと考えています。
一方で、AI活用に向けた人材面の準備不足が大きな懸念となっています。本調査では、約半数(47%)が、自社におけるAIスキルの育成が技術革新のスピードに追い付いていないと回答しました。また、72%が、今後3年以内に人材・スキル不足は資金の確保よりも深刻な成長の障壁になると予想しています。本調査からは、多くの企業でAIの導入が急速に進む一方、その可能性を最大限に引き出すために必要なスキルや能力の育成に苦慮していることが明らかになっています。CEOの33%が、リスキリングを生産性向上の重要な要因として挙げていますが、生産性向上による成果を人材育成に再投資していると回答したCEOは、わずか15%にとどまっています。これは、長期的な成長を維持するためには、AIと人材の双方に投資する必要があることを示しています。
事業ポートフォリオの最適化を通じた成長
成長は引き続き優先課題ですが、CEOは事業ポートフォリオを通じた成長の実現に当たり、これまで以上に選択肢を慎重に見極めています。その際、実行リスクを抑えながら、スピード、統制、コスト、柔軟性のバランスを取ることを重視しています。また、単一の成長手段に依存するのではなく、イノベーション、アライアンス、パートナーシップ、買収、事業売却を組み合わせることで、能力を強化し、資本をより効果的に配分しています。実際、CEOの69%が、成長戦略において、急速な市場拡大よりも既存事業の強化を重視していると回答しており、不確実性が続く中で、着実かつ持続的な成長を志向していることがうかがえます。
調査対象となったCEOのほぼ全員(96%)が、今後12カ月以内に何らかのディールを実施する意向を示しており、M&A(合併・買収)(51%)に加え、戦略的アライアンス(60%)や合弁事業(47%)にも積極的に取り組む考えです。また、CEOは事業売却を優先事項に位置付けており、投下資本の回収、事業ポートフォリオの複雑さの軽減、戦略的な重点領域の明確化を図るため、51%が今後12カ月以内に事業売却を実施することを計画しています。この割合は2026年5月比で9ポイント、前年同期比で19ポイント上昇しました。
AIの活用はディール業務でも広がっています。本調査では、46%のCEOが一部のディール業務でAIの試験導入を進めているほか、45%は複数または大半のディール業務でAIを活用していると回答しました。CEOがAI活用に最も期待しているのは、ディールの価値を早期に見極めること(45%)で、意思決定の高度化やディール実行の迅速化(35%)がこれに続きます。AIを活用することで、企業は機会を早期に特定し、より効果的な投資を行うことができます。市場やテクノロジーが変化し続ける中、CEOにとって重要なのは、こうした変化に迅速に対応できる企業をつくることです。
Guerzoniは次のようにコメントしています。「企業の成長には、事業ポートフォリオを戦略的に運営することがますます重要になっています。買収や提携、事業売却を活用して能力を強化し、資本を効果的に配分するとともに、変化に迅速に対応することが求められます。ただし、AIが事業のあり方を変える中、事業ポートフォリオに関する意思決定を他の要素と切り離して行うことはできません。今後は、AIを単に導入するだけにとどまるか、それともテクノロジー、人材、事業ポートフォリオの最適化を一つの戦略的変革アジェンダとして捉え、AIを持続的な価値創出に活用できるかが、企業の競争力を左右するでしょう」
EY-Parthenon CEO Outlook調査(2026年10月期)については、下記からご覧いただけます。
https://www.ey.com/ja_jp/ceo/ceo-outlook-global-report
これまでのEY-Parthenon CEO調査については、下記からご覧いただけます。
https://www.ey.com/ja_jp/ceo-survey
※本ニュースリリースは、2026年10月1日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
https://www.ey.com/en_gl/newsroom/2026/10/ai-drives-productivity-but-ceos-struggle-to-turn-gains-into-grow
本調査について
EYは、Financial Times Groupの専門的調査・コンテンツマーケティング部門であるFT Longitude[MK1]に委託し、2026年8月から9月にかけて、世界各国・地域の大手企業のCEO 1,200人を対象に匿名のオンライン調査を実施しました。本調査は、世界の主要企業に影響を及ぼすトレンドや動向についての示唆と、将来の成長および長期的価値創造に関するCEOの見通しを明らかにすることを目的としています。回答者は、21カ国(ブラジル、カナダ、メキシコ、米国、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、英国、オーストラリア、中国、インド、日本、シンガポール、韓国)、および5つのセクター(消費財・ヘルスケア、金融サービス、工業・エネルギー、インフラ、TMT〈テクノロジー、メディア・エンターテインメント、テレコム〉)にわたっています。回答企業の年間の全世界売上高の構成は、5億米ドル未満(19%)、5億米ドル以上9億9,990万米ドル以下(20%)、10億米ドル以上49億9,990万米ドル以下(31%)、50億米ドル以上(30%)です。
〈EYについて〉
EYは、クライアント、EYのメンバー、社会、そして地球のために新たな価値を創出するとともに、資本市場における信頼を確立していくことで、より良い社会の構築を目指しています。 データ、AI、および先進テクノロジーの活用により、EYのチームはクライアントが確信を持って未来を形づくるための支援を行い、現在、そして未来における喫緊の課題への解決策を導き出します。 EYのチームの活動領域は、アシュアランス、コンサルティング、税務、ストラテジー、トランザクションの全領域にわたります。蓄積した業界の知見やグローバルに連携したさまざまな分野にわたるネットワーク、多様なエコシステムパートナーに支えられ、150以上の国と地域でサービスを提供しています。
All in to shape the future with confidence.
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本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したもので、顧客サービスは提供していません。
〈EY-Parthenonについて〉
EY-Parthenonは、変革戦略、トランザクション、コーポレートファイナンスを独創的に組み合わせることで、単なる机上の空論ではない実際に機能するソリューションを提供しています。
私たちは絶えず複雑さを増す世界を前に、EYが提供する包括的なサービスラインアップを活用しながら、未来に対応する戦略コンサルティングです。職能領域に関する深い知識とセクターごとの専門性を備え、革新的なAI技術と投資家の視点を組み合わせることで、CEOをはじめとする経営層、投資機関、政府機関といったパートナーと共に、一歩ずつ、確信を持って未来を形作る支援をします。
EY-ParthenonはEYにおけるブランドの一つであり、このブランドの下、戦略コンサルティングサービスをEYメンバーファームが世界各地で提供しています。詳しくは、ey.com/ja_jp/services/strategy/parthenonをご覧ください。