◆減少が危ぶまれる食卓のお馴染み◆ 関西大学化学生命工学部の日下部りえ准教授らが、謎多い「サンマが育つ過程」を詳細に解明 ~原腸形成中に体節形成開始/初期発生に大きな特徴~

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 関西大学化学生命工学部の日下部りえ准教授の研究室は、環境水族館アクアマリンふくしま、国立遺伝学研究所との共同研究により、サンマ(Cololabis saira)の受精卵から稚魚までの初期発生過程を詳細に観察し、その特徴的な発生スケジュールを明らかにしました。本研究は受精直後からの細胞の変化や、さまざまな臓器の形成を観察し、その特徴を他の魚種と比較した初めての報告となります。この成果は、米国の国際学術誌『Developmental Dynamics』に2026年9月22日付で掲載されました。
【本件のポイント】 ・サンマが受精卵から稚魚になる過程を、詳しく観察することに成功 ・サンマでは、原腸形成の途中から体節形成が始まるという特徴を発見 ・魚類の形態の多様性や、環境変化と水産資源の減少との関係解明につながると期待
 
■ 背景  サンマは日本人にとって身近な魚ですが、近年漁獲量の減少が懸念されています。また、その初期発生については、メダカやゼブラフィッシュなどのモデル魚類と比べて研究が進んでいませんでした。一方、サンマは成長が速く、孵化後わずか数か月で大きく成長するという特徴を持っています。こうした「速い成長」がどのような発生過程と関係しているのかを理解するためには、まず、受精卵から体が形づくられていく過程を知る必要があります。   ■ 研究手法  サンマは非常に繊細な魚で、光や音、空間の狭さなどの刺激に弱く、人工的な飼育は世界でもアクアマリンふくしまでしか実現していません。この水族館では、水槽の形状や大きさ、餌の種類や給餌の頻度、明るさや水温など、あらゆる条件を工夫して、卵から孵化した個体を成魚に育てることに成功しました。また、この成魚たちに卵を産ませて、次の世代を育てる「水槽内繁殖」を軌道に乗せています。  本研究ではこのような飼育体制を活かし、サンマの受精卵を人工受精によって得るほか、飼育下で産卵された卵も用いて、受精後の胚を経時的に観察しました。そして卵割、原腸形成、体節形成、尾部の形成、眼や耳胞、心臓などの器官形成、色素細胞の形成、孵化に至るまでの形態変化を記録しました。また、孵化後の幼生についても成長や形態の変化を追跡しました。さらに、得られた発生段階をメダカやゼブラフィッシュなど、これまで発生研究で広く用いられてきた魚類と比較することで、サンマに特徴的な発生スケジュールを明らかにしました。   ■ 研究成果  本研究により、これまで詳しく知られていなかった、サンマの受精卵から孵化後の稚魚までの発生過程を、連続した発生段階として詳細に記録することができました。特に注目されるのは、体節が形成され始める時期です。体節は、将来の脊椎や骨格筋など、体幹の基本構造をつくる重要な組織です。メダカやゼブラフィッシュなどでは、原腸形成が終わった後に体節形成が進行します。一方、サンマでは原腸形成がまだ約50%しか進んでいない段階で、体節形成が始まりました。その後も原腸形成と並行して体節数が増加していきました。また、脳や心臓、胸鰭などの器官も早い時期からつくられていくことがわかりました。  このように、サンマでは胚の体づくりが比較的早い段階から進行することが明らかになりました。一方で、最初は1個の細胞である受精卵が、2個、次に4個…と分裂していく「卵割期」の進行はメダカよりゆっくりで、サンマの初期発生は単純に「すべてが速い」わけではなく、発生過程の各段階で異なる時間的特徴を持つことがわかりました。   ■ 本研究の意義および今後への期待  サンマは日本人にとって身近な魚である一方、受精卵からスタートしてどのように育っていくのかについては、十分な研究が行われていませんでした。本研究は、サンマの初期発生を詳細に記載し、他の魚類と比較できる基礎的な知見を提供したものです。  特に、原腸形成と体節形成が重なるという特徴は、サンマを含むダツ目魚類がどのような発生プログラムを持っているのかを理解する上で重要な手がかりとなります。また、本研究で確立した発生段階の情報は、今後、サンマの成長や形態形成を遺伝子・分子レベルで研究するための貴重な基盤となります。  孵化後のサンマは非常に速く成長し、約半年で20 cmを超える大きさの成魚になります。本研究で解明された特徴的な初期発生過程と、その後の急速な成長との関係を探ることは、魚類の成育や形態の多様性への理解を進める上で、非常に興味深い課題です。  今後、サンマの発生過程で働く遺伝子や分子メカニズムを、他の魚類と比較することで、サンマが持つ独自の生態・成長特性がどのように生み出されるのかを明らかにできると考えられます。また、本研究で得られた発生学的な知見は、サンマの生活史や、気候変動がサンマに与える影響を理解するための研究基盤となります。こうした研究を通じて、資源としてのサンマの特徴をより深く理解することが、将来的にはサンマ資源の持続的な利用や安定供給につながると期待されます。   ■ 論文情報  Rie Kusakabe, Sinya Yamauchi and Shigehiro Kuraku. (2026) Embryonic and larval development of the Pacific saury Cololabis saira: Distinctive characteristics of a rapidly growing beloniform fish. Developmental Dynamics. http://doi.org/10.1002/dvdy.70188 ※本研究は、 日本学術振興会科学研究費補助金 (22K06243、25K09654)、三菱財団自然科学研究助成、ノバルティス財団研究奨励金の支援を受けました。 以 上    ▼本件の詳細▼ 関西大学プレスリリース https://www.kansai-u.ac.jp/ja/assets/pdf/about/pr/press_release/2026/No31.pdf   ▼メディア関連の方▼ ※取材をご希望の方は、お手数ですが、下記お問合せ先までご連絡をお願いいたします。 ●機関窓口  ・環境水族館アクアマリンふくしま 広報室/メール:kikaku@aquamarine.or.jp  ・情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 広報室/メール:prkoho@nig.ac.jp 【研究に関するお問い合わせ先】  関西大学化学生命工学部 日下部りえ 准教授   E-mail:kusakabe(at)kansai-u.ac.jp ※(at)は@に置き換えてください。 ▼本件に関するお問い合わせ先 (発信元)総合企画室 広報課 小林、伊地知 住所:大阪府吹田市山手町3-3-35 TEL:06-6368-0007 FAX:06-6368-1266 メール:kouhou@ml.kandai.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
関西大学
ホームページ
https://www.kansai-u.ac.jp/
代表者
高橋 智幸
上場
非上場
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〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3-35
連絡先
06-6368-1121

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