2026年09月30日
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科
AGC株式会社
株式会社 東芝
アンリツ株式会社
NECネッツエスアイ株式会社
電波反射板と分散型アンテナシステム(DAS)を活用した高速道路向けローカル5G通信エリア拡張技術を実証
~道路外への電波漏洩を抑制しながら通信エリアを効率的に拡大~
■発表のポイント
- 電波反射板とDASを組み合わせ、高速道路内のローカル5G通信エリアを効率的に拡大。
- カーブや高低差がある約200mの実フィールドで、通信エリアの拡大と道路外への電波漏洩抑制効果を評価。
- 基地局・アンテナの設置数を抑えつつ、自動運転支援、インフラ点検、遠隔監視などの高速道路DXを支える通信基盤への適用可能性を確認。

実証フィールドの概要
■概要
東京大学大学院工学系研究科中尾研究室、AGC株式会社、株式会社東芝、アンリツ株式会社およびNECネッツエスアイ株式会社は、高速道路環境において、道路外への不要な電波漏洩を抑制しながら、道路内のローカル5G通信エリアを効率的に拡大する技術の実証を行いました。
本実証では、分散型アンテナシステム(Distributed Antenna System、以下 DAS)と電波反射板を組み合わせ、実フィールドにおける道路内の通信エリア拡大効果と、道路外への不要な電波漏洩の抑制効果を評価しました。
実証の結果、DASによる道路内の線状通信エリアの形成に加え、電波反射板を活用することで、日照、景観および視認性を維持しながら通信エリアを効率的に拡大するとともに、道路外への不要な電波漏洩を抑制できることを確認しました。本成果は、自動運転支援やインフラ点検、遠隔監視など、高速道路におけるローカル5Gの活用拡大に寄与することが期待されます。
■発表内容
近年、ローカル5Gは、自動運転支援、インフラ点検、遠隔監視など、多様な産業分野での活用が期待されています。高速・大容量かつ低遅延な通信環境を構築することで、車両や道路設備から得られる情報をリアルタイムに収集・共有でき、高速道路の安全性向上や維持管理業務の効率化につながると考えられます。
一方、高速道路のような高架構造物や遮音壁が存在する環境では、電波が遮蔽され、道路内の一部区間で通信品質が低下する可能性があります。また、ローカル5Gは利用エリアを限定して運用することが前提であるため、道路外への不要な電波漏洩を抑制しながら、道路内に安定した通信エリアを効率的に形成するための電波伝搬最適化技術の確立が求められています。
DASは、複数地点にアンテナを配置して電波を効率よく放射することで、道路内の通信エリアを拡大する技術です。また、電波反射板「Radivia®」は、電波の進行方向を制御して必要なエリアへ効率的に電波を届けるとともに、道路外への不要な電波漏洩を抑制する部材です。これらを組み合わせることで、基地局やアンテナを大幅に増設することなく、安定した通信エリアを効率的に形成・拡大できるため、通信インフラの導入コスト削減に寄与します。
そこで本実証では、約200mの高速道路試験区間にDASを設置し、その中間地点に透明な電波反射板を設置しました。この反射板は視認性による安全確保や沿線への日照、景観への配慮を目的として高速道路の遮音壁への適用を想定したものです。DASから送信した電波を反射板によって道路反対側へ反射させ、通信エリアの拡大効果と道路外への電波漏洩の抑制効果を評価しました。
その結果、DASによって道路内に線状の通信エリアを形成できることを確認しました。さらに、電波反射板を用いて電波の進行方向を制御することで、基地局やアンテナを大幅に増設することなく、通信エリアを拡大するとともに、道路外への不要な電波漏洩を抑制できることを実フィールドで確認しました。
今後は、本実証で得られた知見を活用し、高速道路環境におけるローカル5Gの高度化および社会実装への貢献を目指します。
写真:高速道路におけるDASおよび電波反射板を用いた実証実験の様子
a:道路外への電波漏洩を抑制し、道路内の通信エリアを拡張する反射板
b:DASによる線状の通信エリア拡大
c:高速道路上における電波伝搬測定
■各機関の役割
- 東京大学大学院工学系研究科中尾研究室:ローカル5G技術提供
- AGC株式会社:電波反射板「Radivia®」提供
- 株式会社東芝:DAS提供、電波測定車提供、無線局免許取得
- アンリツ株式会社:測定器提供、測定技術提供
- NECネッツエスアイ株式会社:基地局提供