2020年はお風呂タイムを使った“風呂活” 8割以上が感じている慢性疲労をリフレッシュするための正しい「入浴法」とは? スポーツイヤーのバスタイムには浴槽ストレッチを実践してパフォーマンスアップ!
監修 国士舘大学教授 須藤明治先生
湯まわり設備メーカーの(株)ノーリツ(本社:神戸市、代表取締役社長:國井総一郎、資本金:201億円、東証一部上場)は、文部科学省スポーツ庁が実施している「スポーツエールカンパニー」※1に2019年12月に認定されました。スポーツイヤーとなる2020年を迎え、運動を積極的にしている「アクティブ層」(889名)と、消極的な「パッシブ層」(891名)に疲労回復方法に関する実態調査を実施しました。今回の調査で明らかとなった「疲労回復と入浴方法」との関連性について、日本における水中運動の第一人者として多方面で活躍している、国士館大学体育学部教授の須藤明治先生に、お話を伺いました。※1の説明は5ページ目に記載<スポーツイヤー突入!疲労+入浴の実態>
■疲労回復には「入浴」を活用!入浴方法で実は差が出る回復具合
- 日常的に疲労を感じている人は、アクティブ層では88.2%なのに対し、パッシブ層では82.2%と、運動に積極的なアクティブ層の方が疲労を感じているという実状が窺えます。グラフ(1)
- 疲労回復方法のトップ5は、アクティブ層では「マッサージ」「運動」「ストレッチ」を抑えて「入浴」を挙げる人が62.0%と最も多く、パッシブ層でも「睡眠」の次に51.6%の人が「入浴」を挙げています。グラフ(2)さらにアクティブ層、パッシブ層共に入浴の目的を「疲労回復のため」と6割以上が回答しており、どちらの層にとっても「入浴」は疲労回復方法として定番化している実態が窺えます。参考グラフ(5)※参考グラフはPDF参照
- アクティブ層、パッシブ層ともに共通しているのは、シャワー浴派に対して浴槽入浴派が約6割を占め、冬は「40~42℃」、夏は「38~40℃」に設定した浴槽に、10分~20分近く全身浴をしている人が多い(約7割)という入浴方法です。参考グラフ(1)(2)(3)(4)
- その一方で大きく異なるのは、浴槽入浴⇔冷水シャワーを複数回続ける「温冷交代浴」を実践している人が、アクティブ層では39.9%いるのに対し、パッシブ層では僅か7.1%しかいないという点です。グラフ(3)
- 入浴後の疲労回復の実感値として、アクティブ層では70.5%が実感しているのに対し、パッシブ層では40.1%に留まっています。グラフ(4)「温冷交代浴」への取り組みの違いが疲労回復度合いにも大きく影響し、積極的に実践する人が多いアクティブ層は、疲労回復を実感していることが窺えます。
慢性疲労や運動疲労の軽減が期待できる効果的な入浴方法に加え、日常時や運動時のパフォーマンスアップにつながる入浴中のストレッチ方法について須藤明治先生に教えてもらいました。
■まずは知っておきたい浴槽入浴の3つのメリット
浴槽入浴にはシャワー浴では得られない「温熱効果」「水圧効果」「浮力効果」3つの効果があり、疲労回復には浴槽入浴がおすすめです。
■入浴前・中・後の心得
<入浴前>
・冬場は急激な気温の変化で起こるヒートショックに注意し、脱衣所や風呂場を暖めましょう。
・入浴中は発汗などで体内の水分が失われ脱水症状を起こす可能性があるため、入浴前にコップ一杯のお水を飲みましょう。
・食後すぐの入浴は消化活動を妨げてしまう可能性があるため、食前の入浴がおすすめです。
<入浴中>
・浴室環境によって浴槽の湯温は前後しますが、冬場は38~39℃程度、夏場は36~37℃程度がおすすめです。特に冬場は40℃以上の熱めの湯温でも問題ありませんが、後述の浴槽ストレッチをする場合は、血流が良くなるため39℃程度まで下げることをおすすめします。
・浴槽に浸かる時間は、12分から20分未満を目安としましょう。長時間の入浴は、めまいやのぼせの原因になったり、副交感神経系が抗進してしまい心停止や意識の低下を招くことにもつながるので注意しましょう。
<入浴後>
・お風呂から出た後に再発汗で体が温まるため、その後クールダウンする時間が必要です。そのため、眠る1~2時間前に入浴を済ませておきましょう。就寝時に体温を下げることが、質のよい眠りには重要です。
■疲労回復レベルが高いのは半身浴より全身浴
浴槽入浴にはみぞおちのあたりまで浸かる「半身浴」と、肩まで浸かる「全身浴」がありますが、浴槽に深く浸かるほうが「水圧」も「浮力」もより強く受けることができます。「水圧」は水位が深くなるほど高まり、全身浴では一般的に半身浴の約4倍の水圧がかかることになります。「浮力」は身体を水中に沈めるほど身体の重みを感じなくなります。つまり、全身浴のほうが、浴槽入浴効果を発揮することができるのです。但し、体力に自信のない人は半身浴をおすすめします。
■アスリートも実践している「温冷交代浴」
温冷交代浴とは、温かいお湯に浸かる温浴と、冷水を浴びる冷浴を交互に行う入浴方法のことをいいます。温浴は副交感神経、冷浴は交感神経をそれぞれ刺激するため、交互に行うことで自律神経のバランスを整え、免疫力を高めます。また血管の拡張と収縮により、血流が促進されることで、老廃物が除去しやすくなり、疲労回復にはとても効果的です。温冷交代浴は、アスリートが取り入れている入浴方法として注目されていますが、冷水シャワーを使用することで、自宅で気軽に実践することができます。但し、体力に自信のない人は無理をしないようにしましょう。
<温冷交代浴のやり方>
- 15分程度、浴槽で温まります。
- 浴槽から出て冷たいシャワーを足から胸あたりまで掛けます。
- 再び浴槽へ5分程度浸かった後、冷たいシャワーを浴びます。
- 浴槽入浴→冷水シャワーを交互で4セット程度行います。
<リフレッシュ&パフォーマンスアップに取り入れたい入浴方法>
日常的に身体を動かすときは、主に身体の表面に近い部分に存在するアウターマッスルを使っています。一方、インナーマッスルは深層部にある筋肉で、肩関節、股関節、脊柱にあり、身体を支えるのに重要な役割を果たしています。インナーマッスルを鍛えることによって、関節が正常な位置に整えられ、運動能力の向上=パフォーマンスアップが期待できます。インナーマッスルを鍛えるには、水中の「浮力」を活用することで負荷が少なくなり、無理なく取り組めます。
下半身のインナーマッスル強化
<レベルアップ編>
下半身のインナーマッスル強化
2)息を吸いながら元に戻し、息を吐きながら脚全体を逆側に倒す。繰り返し往復を8回程度行う。
パッシブ層 (運動はほぼ実施していない)891人(20代222人、30代223人、40代224人、50代222人)
「スポーツエールカンパニー」とは、「働き盛り世代」のスポーツ実施を促進し、スポーツに対する社会的機運の醸成を図ることを目的として、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業を文部科学省スポーツ庁が認定するものです。当社は、社内スポーツ大会や始業前に簡単にできる体操の紹介など、従業員に対する積極的な健康促進の働きかけが評価され、2019年12月に認定されました。今後も、安全で健康に配慮した職場づくりを通して、スポーツ推進に取り組んでまいります。