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神田外語大学(千葉市美浜区/学長:宮内孝久)は、同大附属図書館において11月1日(木)~16日(金)の16日間、洋学貴重資料の展示会を開催する。同図書館では本年、神田佐野文庫を設置し、7月からの若林正治コレクション蘭学資料を皮切りに、同文庫資料の公開利用を進めている。本展示は最近同文庫から続々発見された新資料や新たに購入した貴重資料を中心に、明治150年・神田佐野文庫公開を記念して開催する。
同大附属図書館神田佐野文庫では、昨年までにドイツ人医師シーボルトが弟子の賀来佐之(かくすけゆき)に宛てた書簡(1828)や蘭学者・前野良沢(まえのりょうたく)が翻訳『火浣布(かかんふ)』(石綿、アスベスト)に使用したと推定されるオランダ語原典『諸術秘蔵』(1719-30)、ロシア漂民大黒屋光太夫自筆ロシア文字(1810年代)などが発見された。また、今夏には、江戸時代ナポレオン伝記の原典「1815ナポレオン戦役記」オランダ語写本や、組織的な近代医学教育を日本で初めて行ったオランダ人医師ポンペ・ファン・メーデルフォールトの解剖学講義録オランダ語写本(秦朴仙筆、1863)が見つかった。
本展示では、明治150年と神田佐野文庫公開を記念して、これらの新発見資料に、新収貴重資料「ジャワ植物図譜」(F.ノローニャ原著・宇田川榕菴・辻蘭室筆写、1816頃)および「1815ナポレオン戦役銅版図入りメダル」を加え、同文庫から中浜万次郎著『英米対話捷径』(1859)、幕府復刻『英吉利文典』(1861)などの貴重英学資料を厳選し、蘭学から英学へ、江戸から明治への文明の転換を外国語学習の観点から回顧する。ほとんどが初公開資料であり、展示を通して広く一般の方々にも貴重資料を知っていただく目的の下で行われる。
また、開催期間中の11月15日(木)には、同大日本研究所客員教授であり京都大学名誉教授の松田清による、洋学貴重資料に関する講演会が開催される予定。事前申込不要・参加費無料。
神田外語大学では、「日本文化に関する国際的および学術的な総合研究ならびに世界に日本研究者との研究協力」を目的とする「日本研究所」を設置している。同研究所は、この目的を達成するため、神田佐野文庫の洋学資料および関連資料を継続的に収集しており、今後も資料研究を進め、その成果を社会的発信に役立てて行く。
※詳細は添付資料参照
<日本研究所主催 講演会「洋学貴重資料にみる絵と言葉~江戸から明治へ~」開催概要>
【日 時】 2018年11月15日(木) 14:50~16:20
【場 所】 神田外語大学4号館4-101教室
※アクセス
http://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/access/
【内 容】
島国イギリスがインド大陸支配により経済発展を始めた 1770年代に、欧州では「アジアの英国」日本への関心が高まりました。一方、当時勃興した蘭学により、鎖国日本は本朝・唐・天竺の文明観から脱却し、幕末の開国は欧米モデルの文明開化の出発点となりました。明治150年を迎えて、神田佐野文庫の洋学貴重資料をもとに、江戸から明治への文明転換期を考察します。
【講 師】 神田外語大学 日本研究所 松田清・客員教授
【参加対象】 神田外語大学学生、一般の方
【定 員】 400名
【参加費】 無料 事前申込不要
【展 示】
場所:神田外語大学7号館 図書館 グループ室5
期間:11月1日(木)~16日(金)10:00~16:00 ※日曜日は休館
【講演会・講師プロフィール】
●松田 清(まつだ きよし)
1974年 名古屋大学大学院文学研究科 修士課程退学
2007年 京都大学博士
京都大学名誉教授
2015年 神田外語大学 日本研究所 客員教授
[著書(共著も含む)]
『洋学の書誌的研究』(2000年第19回新村出賞受賞)、『講談社オランダ語辞典』、『山本読書室資料仮目録』、『杏雨書屋所蔵宇田川榕菴植物学資料研究』
<参考>
●前野良沢(1723-1803)
蘭学者。豊前国中津藩(現在の大分県中津市)の江戸詰の藩医。「解体新書」の主幹翻訳者。
●諸術秘蔵(しょじゅつひぞう)
アムステルダムの医師ウィリアム・ファン・ラーナウ(1673-1724)が1719年1月から1723年2月まで編集刊行した半月刊の博物雑誌『コンスト・カビネット』。全9冊。『諸術秘蔵』は蘭学者宇田川玄随が名づけた書名。古代ギリシャ・ローマから18世紀初めまでの西洋博物書の内容を分かりやすく紹介した啓蒙書。文化年間になると、幕府天文台の蘭学者馬場佐十郎が本書をもとに『泰西七金訳説付録』(文化十二1815)を翻訳した。
●火浣布(かかんふ)
火で洗うことのできる布、の意味。アスベスト(石綿)の漢名。
●F.ノローニャ(1748~1788)
スペイン人植物学者フランシスコ・ノローニャ。インドネシア植物研究の開拓者。
●宇田川榕菴(1798~1846)
蘭学者。日本最初の西洋植物学書『植学啓原』(1833)、ラヴォアジエ化学を初めて紹介した化学書『舎密開宗』(1837)を著した。また、シーボルトと学問交流を深め、近代的な植物画にも優れた。
●辻蘭室(1756~1836)
医師。京都におけるオランダ語学の先駆者。
●ヨハネス・ポンぺ・ファン・メーデルフォールト(1829-1908)
オランダ海軍の二等軍医。幕末日本に5年間(1857~62)滞在し、オランダ医学を伝えた人物。日本で初めて基礎的な科目から医学を教え、現在の長崎大学医学部のルーツである伝習所付属病院を作る。
●秦朴仙(はたぼくせん、?~1866)
越前勝山藩の藩医。1861年~1865年の4年間、佐倉順天堂に留学し、蘭医佐藤舜海(尚中)に学んだ。
【取材受付】
ご取材は随時お受けいたします。ご取材希望の際は、下記までご連絡をお願いいたします。
【お詫びと訂正】本文1行目に、オランダ人とありましたのはドイツ人の誤りでした。お詫びして訂正します。(2018/11/5 16:30)
▼本件に関する問い合わせ先
学校法人佐野学園 学園広報部
関根勇人
住所:東京都千代田区内神田2-13-13
TEL:03-3258-5837
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メール:media@kandagaigo.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/