血友病に対する皮下注射用新規化合物「BAX 499」の前臨床試験データおよび遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子の第I相試験データを国際血栓止血学会(ISTH)において発表

バクスター株式会社

(この資料は、米バクスターインターナショナルインクが2011年7月26日に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。) 2011年7月26日、日本・京都発 バクスターインターナショナルインク(NYSE:BAX)は、血友病に対する皮下注射用新規化合物「BAX 499」の一連の試験結果を、京都で開催された第23回国際血栓止血学会(ISTH)において発表しました。「BAX 499」は、血液凝固プロセスの制御に関与する経路を新たに標的とした新規化合物です。現在、血液凝固異常症である血友病AおよびBの治療薬として臨床開発の初期段階にあります。発表されたデータは、この経路が血友病治療に有効な標的である可能性を示すものでした。 血液凝固カスケードにおいて重要な役割を果たす、組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor, TFPI)に特異的に作用し、その活性を低下させる皮下投与療法として、「BAX 499」の第I相臨床試験を実施しています。このインヒビターの活性を抑制することにより、血友病患者における血液凝固を促進できる可能性があります。 ■組織因子経路インヒビター(TFPI)を標的とする「BAX 499」 国際血栓止血学会において口頭発表を行った「血友病治療の候補薬としてのアプタマー、組織因子経路インヒビター」では、血液凝固に必須なたん白であるトロンビンの生成における「BAX 499」の効果を測定することにより、in vitroにおいて「BAX 499」がTFPIの活性を抑制するかを評価しました。このin vitroモデルでは、「BAX 499」の濃度の上昇とともにトロンビンの生成量と速度が改善し、その最大値においては、通常の血液凝固パターンと類似したトロンビン生成が確認されました。 「複雑な血液凝固異常症の治療への新たなアプローチについて知見を広めることができました。「BAX 499」の試験結果は、血友病に対する皮下投与療法の標的として、組織因子経路インヒビターが妥当であることを示唆するものでした。引き続き研究開発を進め、新たな結果が得られれば発表していきます」と、バクスターのバイオサイエンス事業部グローバル研究開発・メディカルアフェアズ担当バイスプレジデントであるハルトムート・エーリック(Hartmut Ehrlich, M.D.)は述べています。 国際血栓止血学会では、TFPIに対する「BAX 499」の抑制効果の評価、TFPIの生物活性の考察、TFPIの活性を抑制する「BAX 499」の特殊な作用機序の考察についても発表しました。また、「BAX 499」以外に、ペプチドによるTFPIの遮断に関する前臨床試験の結果も発表しました。 ■「BAX 499」について 「BAX 499」(以前は「ARC19499」と表示)は、TFPIの活性を特異的に抑制する完全合成化合物です。小型の化合物であることから、皮下投与時の高い生体内利用率が期待されます。「BAX 499」アプタマー第I相臨床試験は、2010年8月に英国において開始し、2011年後半に終了する予定です。 ■遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子(rVWF)の試験結果 国際血栓止血学会において、フォンヴィレブランド病(VWF)に対する遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子(rVWF)の安全性と有効性を評価した試験結果も発表しました。遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子の臨床開発は、現在当社以外では実施されていません。既存のヒト血漿由来のフォンヴィレブランド因子製剤とは異なり、遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子は、血液由来成分を含有していません。 第I相試験では、32人のフォンヴィレブランド病患者において、既存の標準治療薬である血漿由来のフォンヴィレブランド因子(pdVWF)を対照に、遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子(rVWF)の安全性、忍容性および薬物動態を評価しました。4種類の用量のrVWF(2IU, 7.5IU, 20IU, 50IU VWF: RCo/kg)を用量漸増法により独立した試験群に投与しました。第I相試験の最終結果は中間報告の内容と一致するものとなり、重篤な有害事象は認められず、1型および3型フォンヴィレブランド病患者において12件の非重篤な有害事象が報告されました。遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子(rVWF)/遺伝子組換え型第VIII因子(rFVIII)と血漿由来フォンヴィレブランド因子(pdVWF)/血漿由来第VIII因子(pdFVIII)の薬物動態の比較は、無作為化クロスオーバー方式により行い、国際血栓止血学会において発表したデータは、rVWFの薬物動態がpdVWFの薬物動態と類似していることを示すものでした。rVWFの安全性と有効性をさらに評価するために、より大規模な第III相試験を実施する必要があり、2011年後半、被験者の登録を開始する予定です。 ■遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子(rVWF)について 当社の遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子製剤は、血漿およびアルブミン等のヒトまたは動物由来たん白を全く添加しない製法プラズマ/アルブミンフリー製法により製造されています。遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子の臨床開発は、現在当社以外では実施されていません。当社の遺伝子組換え型フォンヴィレブランド因子製剤は、2010年11月に欧州委員会(EC)および米国食品医薬品局(FDA)より、希少疾病用医薬品の指定を受けています。 ■ISTH優秀ポスター賞の受賞 治療歴のない血友病患者(PUPs)を対象とした、バクスターの血友病A治療用遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤「アドベイト」の日本における製造販売後調査に関するポスター発表(筆頭演者:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科瀧正志教授)が、国際血栓止血学会の優秀ポスター賞を受賞しました。ポスター発表した製造販売後調査の中間報告では、アドベイトの臨床診療における安全性、忍容性、有効性が示されました。 ■若手研究者を対象としたISTH Young Investigators Awardの受賞 バクスターは、出血性疾患の治療に寄与する画期的な治療薬を開発するため、若手研究者による研究とイノベーションを推進しています。本年は、国際血栓止血学会において高い評価を得た抄録を発表した若手研究者に贈られる「Young Investigators Award」を、バクスターの研究者3人が受賞しました。 ●カタリーナ・スタイニッツ(Katharina Steinitz):博士課程学生、バクスター・イノベーション社(オーストリア・ウィーン)血友病・血液学部門免疫学部所属 「免疫応答vs.第VIII因子に対する耐性-血友病Aに関する緊急課題への新しいアプローチ」 ●クリストフ・ホフバウワー(Christoph Hofbauer):博士課程学生、バクスター・イノベーション社(オーストリア・ウィーン)血友病・血液学部門免疫学部所属 「重症血友病A患者の第VIII因子インヒビター産生の制御における第VIII因子特異的CD4+T細胞の重要性」 ●アレクサンドラ・シヴィッツ(Alexandra Schiviz):バクスター・イノベーション社(オーストリア・ウィーン)生物学的製剤部門薬理学・毒物学・前臨床開発部マネジャー 「血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)マウスモデルにおけるバクスターの遺伝子組換え型ADAMTS13の有効性」 ■血友病AおよびBについて 血友病は、主として男性に発症する遺伝性の血液凝固異常症であり、血液が凝固するために必要な凝固たん白を十分に産生することができない疾患です(1)。血液凝固第VIII因子が欠乏しているのが血友病A、第IX因子が欠乏しているのが血友病Bです(1)。血液中の血液凝固因子が不足すると、止血に時間がかかり、関節内出血などにより激しい痛みや関節症をともなう可能性があります(1)。また、適切な治療が施されなければ、生命の危険にさらされる恐れもあります(1)。血友病は遺伝性の疾患ですが、患者の約30%は家族歴がなく、遺伝子の突然変異に起因します(1)。世界血友病連合によると、全世界に40万人以上の血友病患者がいるとされ、人種や経済圏に関係なく発症します(2)。日本には、4,394人の血友病A患者および952人の血友病B患者がいると報告されています(4)。 ■フォンヴィレブランド病について(3) フォンヴィレブランド病は、出血性疾患のひとつで、血液が凝固するために必要な凝固たん白であるフォンヴィレブランド因子の欠乏または機能障害に起因し、男女ともに罹患します。罹患率は1%程度と推計されていますが、症状が軽度である場合が多いため、フォンヴィレブランド病の罹患を自覚している患者は限られています。フォンヴィレブランド病罹患者の約90%は診断されていないとの報告もあります。 ■バクスターについて バクスターインターナショナルインク(NYSE: BAX)は、血友病や免疫不全、感染症、腎疾患、外傷などに対する医薬品・医療機器を開発および製造販売し、患者さんの救命や生命維持に貢献しています。多様性に富んだグローバルヘルスケア企業として、医薬品、医療機器、およびバイオテクノロジーの専門技術を活用し、世界の医療の向上に寄与する製品を創出します。 ■バクスター株式会社について バクスター株式会社は、腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に特化した世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。医薬品、医療機器、バイオサイエンステクノロジーを中心とした医療サービスを患者さんや医療現場に提供し、医療に新たな価値を創造します。 This release includes forward-looking statements concerning Baxter's clinical efforts with respect to BAX 499, an investigational compound for potential subcutaneous hemophilia therapy, and recombinant von Willebrand Factor (rVWF), a recombinant replacement protein currently in clinical development for the treatment of von Willebrand disease, including in each case expectations with respect to related clinical trials. The statements are based on assumptions about many important factors, including the following, which could cause actual results to differ materially from those in the forward-looking statements: timely submission and approval of anticipated regulatory filings; the successful initiation and completion of additional clinical studies; additional clinical results validating the use of BAX 499 to treat hemophilia; additional clinical results validating the safety and efficacy of rVWF as a treatment of von Willebrand disease; satisfaction of regulatory and other requirements; actions of regulatory bodies and other governmental authorities; and other risks identified in Baxter's most recent filing on Form 10-K and other SEC filings, all of which are available on the company's website. Baxter does not undertake to update its forward-looking statements. 1. Frequently Asked Questions About Hemophilia. World Federation of Hemophilia. Accessed on: 6 July 2010. Available at: http://www.wfh.org/2/1/1_1_Hemophilia.htm . 2. What is Hemophilia? World Federation of Hemophilia. Accessed on: 6 July 2010. Available at: hhthttp://www.wfh.org/2/1/1_1_Hemophilia.htm . 3. What is Von Willebrand Disease? World Federation of Hemophilia. Accessed on: 6 July 2010. Available at: http://www.wfh.org/2/1/1_2_VWD_What-is-VWD.htm . 4. 2010年度厚生労働省委託事業「血液凝固異常症全国調査」
本件に関するお問合わせ先
バクスター株式会社
コーポレートコミュニケーション部
TEL:03-6204-3680 

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