自動運転化、EDRの普及にも対応 事故対応をより効率的で安心に
ボッシュ株式会社 (東京都渋谷区渋谷代表取締役社長:クラウス・メーダー、以下ボッシュ)は、安全運転支援システムの増加や自動運転社会の本格化に備え、大手損保会社と板金・整備工場との連携を強化した事故対応の新しいビジネスモデル、「CDR+ADASビジネス エコシステム」を5月に開催された「第36回オートサービスショー2019」で発表しました。「この新ビジネスモデルは、より効率的な事故対応と明確な原因解析に貢献し、事故車の正確な車両修理と整備に貢献します」とオートモーティブアフターマーケット事業部テクニカルサービス&サポート部 ゼネラルマネージャーの里 廉太郎は述べました。
ボッシュの提案する新ビジネスモデル、「CDR+ADASビジネス エコシステム」
ボッシュは板金整備工場と大手損保会社との連携を強めた新しい事故対応のビジネスモデルである「CDR+ADASビジネス エコシステム」を提案しており、ボッシュの整備工場ネットワークである「ボッシュ カーサービス」のいくつかの店舗において既に導入を始めています。従来の損保会社による事故対応は、事故調査、損害査定後、板金・整備工場による修理というプロセスでしたが、今回の「CDR+ADASビジネス エコシステム」では最初と最後に新しい工程が加わります。まず最初に、板金・整備工場が損保会社から事故車の入庫誘導を受け、デジタル事故解析ツールCDR(クラッシュ データ リトリーバル)を使って、車のフライトレコーダーに例えられる車載のEDR(イベントデータレコーダー)に記録された事故時の走行状況のデータ抽出を行い、損保会社にレポートします。損保会社はそのデータを活用しながら事故調査、損害査定、を行った後、板金・整備工場が車両を修理し、さらに新しく、ADAS(先進運転支援システム)のエーミング(0点調整)を行ってからオーナーの元に車両が戻されるプロセスになります。
「CDR+ADASビジネス エコシステム」のメリット
これまでは、ボッシュのCDR導入を始めた大手損保会社では交通事故が発生した場合、事故の過失割合を決めるためにCDRアナリストの資格を持ったアジャスターが派遣され整備工場または板金工場に調査に出向いていました。今後、事故調査におけるCDR/EDRの活用が増えることが見込まれており、CDRアナリストの増員が必要となります。ボッシュの新ビジネスモデルではより多くの板金・整備工場がCDRアナリストの資格を取得し、アジャスターに代わって事故車両のEDRデータを抽出することで損保会社の業務を効率化し事故当時者への保険金支払いまでの時間短縮に貢献できると考えます。そして、人を介さずCDRで読み出されたEDRの事故の客観的なデータを活用することで、事故当時者の証言の喰違いを回避することができ、事故原因解析の公平性と透明性が保たれ、同時に事故解決の時間短縮を図る事ができるため既に大手保険会社では導入が進んでいます。特にドライバーが100%操作する車と、車両システムが運転操作を担う車両が混在するこれからの車社会では事故の原因が車両システムに起因するのか、ドライバーに起因するのかを特定することが困難になるため、データによる客観的な事故解析の必要性は高まると考えます。さらに、事故車両の修理を行った後に、現在では約90%以上の新車に搭載されているADASであるセンサー、カメラ、レーダーを正確にエーミング(0点調整)することで、整備不備によるシステムの「パフォーマンスの低下」や「制御の停止」といった問題を避け、オーナーは安心して車両を受け取る事ができます。
板金・整備工場の改革が必須となる背景
ボッシュがこのような新ビジネスモデル導入の必要性を提唱する背景には、車社会の変化に伴って板金・整備工場を取り巻く環境が変化し、以下のような改革が必要となるからです。まず車両システムの進化に伴って、従来車両の知識と修理、整備経験だけでは対応できなくなるため新しい車両システムと整備の知識とツール、正しい整備環境が必要になります。そして、進化した車両に正確な整備が施されなかった場合は事故や不具合に繋がる可能性があり、板金・整備工場がその責任を課せられるケースが発生するため、すべての整備記録を証拠として保存する必要があります。既にアメリカでは整備不備による事故で整備工場に数億円の賠償が課せられた例があります。さらに、カーシェアの普及による国内保有台数の減少によって入庫台数が減少すると予想されているため、それを補填する新しいサービスやビジネスモデルを開拓する必要があります。
ボッシュが提供するトータルサポート
ボッシュはこれらの状況の対応策とした新ビジネスモデル導入に際して必要となる、CDRアナリスト、ADASエキスパート認定制度とツール、車両システムトレーニング、ワークオーダー兼作業記録管理ソフトウェアの提供、またそれぞれの資格や作業の品質を保つための資格更新制度と作業環境の監査のシステムを設けトータルサポートを行っています。これらのシステムやツールを紹介したボッシュ 里 廉太郎は「今後、事故調査におけるCDR/EDRの活用が拡大すると、過去の板金・整備作業の状況が明らかになるため、正確な修理や整備を証明するための作業記録やエビデンスが重要となってきます」と強調しました。また、「自動運転社会の課題と対策」というテーマで行われたゲストスピーカーによるトークセッションの中で、モータージャーナリストであり、内閣府の SIP自動走行システム推進委員等を歴任している岩貞るみこ氏は、「今後、車両はシェアが進むため、全体の車両台数は減少し現在約90,000軒
※1ある板金・整備工場は淘汰されていきます。しかし、一台の車両を使用する頻度と共有する人数が増えるため、いつ、だれが、どのような状況で不具合が発生したのかを明確にし、正確な整備を施し、記録を残すニーズは増加します」と加えました。 さらに、既に導入を始めたボッシュカーサービス加盟店舗のオーナーは整備工場の立場から「100年に1度と言われる車業界の変化に適応し整備業者としてビジネスを継続するための対応策は、数日で完結できるものではありません。今から準備を始める必要があります」と展示会に参加している整備業界の方々へ呼びかけました。そして、あいおいニッセイ同和損害調査株式会社のシニアコンサルタントの石川 明男氏は、「損保会社として、お客様に安心・安全を提供するため、板金・整備工場でのADASのエーミング(0点調整)は必須となります」と損保会社の立場からその必要性を訴えました。
※1 ボッシュ調べ
オートサービスショー2019 トークセッションの様子
【ボッシュCDR (クラッシュデータリトリーバル)とは】
EDRデータを読み出し、事故の証拠データとしてレポート出力を行うツールです。ボッシュは2017年10月から日本でCDRアナリストトレーニングを導入し、あいおいニッセイ同和損保など大手損保各社、自動車メーカー各社、司法機関、研究機関、でCDRが採用されています。EDRに記録された事故の際の車両速度、アクセル、ブレーキ操作、ステアリング操舵角、シートベルト、事故の衝撃、その方向など最大60種
※2の情報を短時間でレポート化します。そのため、既存の事故調査方法に加え、CDRでのデータ解析により、さらに透明性を持った事故原因の考察を行うことができます。実際に2017年10月からボッシュのCDRを導入したあいおいニッセイ同和損保では、2018年9月末までに194件のEDRデータが収集され、調査時間の短縮、調査の精度の向上に役立てられました。
※2 メーカー、年代によって異なります。
CDRとは?
【EDR (イベントデータレコーダー)とは】
EDRとは、車両に純正搭載されているデバイスもしくは機能。一定以上の衝撃が加わった場合、そこから5秒間さかのぼり車両の速度、ブレーキ操作、ステアリング操舵角、衝突の大きさ、シートベルトの装着状況、エンジン回転数、アクセル開度、シフトポジションなど、メーカー、年代によりますが最大60種の情報
※3を時系列で記録します。そしてEDRの記録したデータはボッシュ CDRで読みだすことが可能です。現在の事故調査方法に加えてEDRデータを活用することでより公平性、透明性の高い事故調査が可能となります。
※3 メーカー、年代によって異なります。
【ボッシュ カー サービス(BCS)とは】
ボッシュカーサービスは1921年に始まり、98年の歴史を持つグローバルな整備工場のネットワークで、全世界の150の国と地域に16,000店舗以上の店舗を展開し、世界トップクラスの自動車機器サプライヤーとして車の進化に伴った新しい整備の在り方を常に研究開発しています。日本では約190店舗が加盟しており、ボッシュが定めた認定試験の合格者である「ボッシュ システム テクニシャン」が在籍しています。
ボッシュ オートモーティブ アフターマーケット事業部
オートモーティブ アフターマーケット事業部(AA)では、乗用車及び商用車向けに、幅広い車両診断・修理機器ラインナップおよび修理工場向けの新品またはリビルト補修パーツをアフターマーケット市場とボッシュのサービスショップを通して世界に展開しています。
ボッシュはOEM製品の補修部品をはじめ、ボッシュがアフターマーケット用のアクセサリーおよび補修サービスパーツを開発、製造し、世界150カ国に18,000人以上の従業員とグローバルなロジスティックネットワークを有し、650,000点に及ぶ異なった補修パーツをお客様へより早く確実にお届けしています。そして車両診断機器事業として、オートモーティブ アフターマーケット事業部では、車両診断及び修理技術、診断機器用ソフトウェア、サービストレーニングと各種情報を提供しており、さらに当事業部では、世界最大級となる独立系修理工場ネットワークであるボッシュカーサービスを17,000店舗世界に展開し、同時に1,000店舗以上の「Auto Crew」をパートナーの修理工場ネットワークとして展開しております。
さらに詳しい情報は www.bosch-automotive-aftermarket.comを参照してください。
世界のボッシュ・グループ概要
ボッシュ・グループは、グローバル規模で革新のテクノロジーとサービスを提供するリーディングカンパニーです。2018年の従業員数は約41万人(2018年12月31日現在)、決算報告での売上高は785億ユーロ(約10兆円*)を計上しています。現在、事業はモビリティ ソリューションズ、産業機器テクノロジー、消費財、エネルギー・ビルディングテクノロジーの4事業セクター体制で運営しています。ボッシュはIoTテクノロジーのリーディングカンパニーとして、スマートホーム、スマートシティ、コネクテッドモビリティ、さらにコネクテッドインダストリーに関する革新的なソリューションを提供しています。ボッシュはセンサー技術、ソフトウェア、サービスに関する豊富な専門知識と「Bosch IoT cloud」を活かし、さまざまな分野にまたがるネットワークソリューションをワンストップでお客様に提供することができます。ボッシュ・グループはコネクテッドライフに向けたイノベーションの提供を戦略的な目標に定め、革新的で人々を魅了する全製品とサービスを通じて生活の質の向上に貢献します。つまり、ボッシュはコーポレートスローガンである「Invented for life」-人と社会に役立つ革新のテクノロジーを生み出していきます。ボッシュ・グループは、ロバート・ボッシュGmbHとその子会社440社、世界約60カ国にあるドイツ国外の現地法人で構成されており、販売/サービスパートナーを含むグローバルな製造・エンジニアリング・販売ネットワークは世界中のほぼすべての国々を網羅しています。ボッシュの未来の成長のための基盤は技術革新力であり、世界125の拠点で約6万9,500人の従業員が研究開発に携わっています。
ボッシュの起源は、1886年にロバート・ボッシュ(1861~1942年)がシュトゥットガルトに設立した「精密機械と電気技術作業場」に遡ります。ロバート・ボッシュGmbHの独自の株主構造は、ボッシュ・グループの企業としての自立性を保証するものであり、ボッシュは長期的な視野に立った経営を行い、将来の成長を確保する重要な先行投資を積極的に行うことができます。ロバート・ボッシュGmbHの株式資本の92%は慈善団体であるロバート・ボッシュ財団が保有しています。議決権の大半はロバート・ボッシュ工業信託合資会社が保有し、株主の事業機能を担っており、残りの株式は創業家であるボッシュ家とロバート・ボッシュGmbHが保有しています。
*2018年の為替平均レート、1ユーロ=130.92534円で計算
さらに詳しい情報は 以下を参照してください。
ボッシュ・グローバル・ウェブサイト (英語)
www.bosch.com
ボッシュ・メディア・サービス (英語)
www.bosch-press.com
ボッシュ・メディア 公式ツイッター (ドイツ語)
https://twitter.com/BoschPresse
ボッシュ・ジャパン 公式ウェブサイト (日本語)
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ボッシュ・ジャパン 公式ツイッター (日本語)
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ボッシュ・ジャパン 公式フェイスブック (日本語)
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ボッシュ・ジャパン 公式YouTube (日本語)
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