デザイン研究・デザイン振興の助成事業「2027年度デザイン助成プログラム」の募集を開始
- 2026年10月20日
- 15:05
- 公益財団法人日本デザイン振興会
- 公共・政治
最優秀賞は、12月12日に決定

| 応募カテゴリー | 作品タイトル | 御名前 | |
| 1 | 物のデザイン | ひらがなび | 杉 明香里 |
| 2 | 物のデザイン | Shabon Jirushi | ZHANG RUI |
| 3 | 物のデザイン | inner scape | 吉川 慶治郎 |
| 4 | 場のデザイン | 恐竜の住む工事現場 | 前田 あさひ |
| 5 | 場のデザイン | 迎えるその時までに | 川合 沙羅 |
| 6 | 情報のデザイン | bit-knit | 覚井 彩恵 |
| 7 | 情報のデザイン | Living Lens | 大平 麻以 |
| 8 | 仕組みのデザイン | 虫秘茶|昆虫の消化から、新しい食の可能性を拓く | 丸岡 毅 |
| 9 | 仕組みのデザイン | 卵コミュニケーション | 大砂 百恵、錦古里 大河、 後田 将人、渡辺 風樹 |
| 1:ひらがなび | ||
| 杉 明香里(大同大学情報学部情報デザイン学科 既卒) | ||
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■応募概要 「ひらがなび」は、文字の正しい書き順を遊びながら学べる幼児期に向けた知育玩具である。ひらがなの書き順に沿って球が転がる構造により、球の動きを目で追うことで、文字の書き順を理解できる。球の転がりにより、視覚的に文字の形と書き順を理解できる新たな文字学習ツールである。 |
■優秀賞選出、評価理由 ひらがなのかたちをした器の中を、小さな球が書き順どおりに転がっていく。つい転がしたくなる仕掛けがあり、つい目で追いたくなる現象を通して書き順が自然と印象に残る。球を走らせる物理的な条件と、遊びやすさや美観といった体験的な条件を、ひとつのプロダクトにうまくまとめている。画数の多い漢字なら塔のように背の高い姿になるのだろうか、透明にしても面白そうだ、そんな想像も掻き立てられる。書き順を憶える道具という枠を超えて、新しい意味が見出されていく予感がある。 |
| 2:Shabon Jirushi | ||
| ZHANG RUI(多摩美術大学大学院美術研究科統合デザイン専攻 M1) | ||
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■応募概要 手の動きから生まれる、さまざまなシャボン玉のかたち。円筒状の道具を、スタンプを押すようにシャボン液の液面に置き、持ち上げると、思いがけず目の前にシャボン玉が現れる。並べたり組み合わせたりして、卓上での楽しみが広がっていく。シンプルな操作がもたらす驚きは、シャボン玉の物理現象への興味を引き出し、観察や理解へとつながる。 |
■優秀賞選出、評価理由 なんて鮮やかで瑞々しい発想だろう。アイデアを目にした瞬間、その確かな観察眼に目を奪われた。世の中には、つくってみないとわからないことがある。よく知っている身近な物事こそ、観察することを怠り、発見を見落としがちである。この作品は、シャボン液に円で構成されたパーツを置いて持ち上げるだけだが、そこから私たちの「知らない」をしっかりと見つけ出すことに成功している。連結するシャボン玉には、細胞の動きのような生命感があった。こういう柔らかな思考の持ち主が、今後どんな活躍をするのだろうか。作者の未来を、勝手ながら楽しみにしている。 |
| 3:inner scape | ||
| 吉川 慶治郎(多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 既卒) | ||
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■応募概要 本作は、プロダクトの機能だけでなく、形や物質性、内部構造、そこに現れる現象から生まれる豊かさを探るための除湿装置です。ペルチェ式除湿機の内部機能を取り出し、風・水・熱・電気の流れとそれらを支える構造を再構成し、結露によって生まれる水滴や内部パーツを隠さず、機能の過程そのものを心地よさとして感じられる形を探りました。 |
■優秀賞選出、評価理由 非常に美しいデザインである。あえて除湿機の部品を隠すことなく機能順に配置することで物理現象が露わとなり、視覚的な理解へと導くアプローチが極めて秀逸である。一見ラフに見える部品レイアウトも実際は丁寧に配置されており、結果として建築などの構造物を思わせるような美しい佇まいを兼ね備えることに成功している。理屈を超えた高い魅力は、次代のプロダクトデザインに必要とされる条件を示しているようでもある。空間に作用する機能表現のあり方として、プロフェッショナルにも新鮮な驚きを与える優れた提案である。 |
| 4:恐竜の住む工事現場 | ||
| 前田 あさひ(東京工芸大学芸術学部デザイン学科 既卒) | ||
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■応募概要 私は、工事現場の騒音が恐竜の鳴き声のように聞こえる。工事現場を恐竜が住むジャングルに見立てることで、マイナスなイメージを持たれる工事現場を、通りかかる人が想像を膨らませ、ワクワクできる場所へと捉え直す。交通誘導や警備で使われる資機材を恐竜やその住処としてデザインし、工事現場に新たな見方や楽しみ方を生み出す。 |
■優秀賞選出、評価理由 どこにでもある工事現場の風景は、普段であれば「そういうものだ」と見過ごしてしまう。しかし、そこに恐竜が住んでいるという見方を一度与えられると、次に別の工事現場を見たときにも、その向こうに同じような世界が広がっているのではないか、と想像できるようになる。何気ない日常の風景、安全を守るサインにすぎないものが造形の対象になりえ、この作品を通して世の中を楽しく見せてくれる目線を与えてくれるプロジェクトだと思った。 |
| 5:迎えるその時までに | ||
| 川合 沙羅(武蔵野美術大学造形学部建築学科 4年) | ||
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■応募概要 武蔵野美術大学100周年事業のキャンパス計画に伴い、ゼミ室からいつも見えていた大きな欅が切られた。生え残った切り株と並べられた丸太を見た時、欅に対して複雑な感情が生まれた。この切り株も工事のために壊される予定で、その時この欅は本当に死ぬことになる。迎えるその時までに、この欅に思いを馳せながら撫で愛でたい衝動に駆られた。 |
■優秀賞選出、評価理由 キャンパス内の伐採された欅の切り株を見て「撫で愛で続けたい」という作者のフェティッシュが感じられ、またどこかに共感性がある仕上がりに、審査する側としてもささやかな興奮を覚えた。人間の都合により植えられ、また切られた自然に対して、忘れてはならない自然に対する愛着と誠実さを呼び起こしてくれた素晴らしい作品。 |
| 6:bit-knit | ||
| 覚井 彩恵(愛知県立芸術大学大学院美術研究科デザイン領域 M1) | ||
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■応募概要 「bit-knit」は、ニットに潜むデジタルな構造を、3Dプリンターによって再解釈した造形作品です。編み目の反復をプログラミングで再構築し、出力後に人の手で成形することで、デジタルとクラフトを融合しました。対立して語られがちなテクノロジーと手仕事の境界を捉え直し、両者が地続きにある新しいものづくりのあり方を提案します。 |
■優秀賞選出、評価理由 まず一見した際の作品の力が強い。知っているようで知らない存在感をもっている。デジタルとクラフトの間にいつしか横たわる価値観の境界を問い、軽やかに繋げる本作品は、まさに作品の第一印象こそ主題そのものであり、作者の世の中に対する問いかけの強さだけではなく、その具現化と表現の高さが統合された素晴らしい作品である。3Dプリント出力後にさらに熱など加える事例はこれまでもあるが、その結果がニットらしさに直結している点も見応えがある。 |
| 7:Living Lens | ||
| 大平 麻以(東京大学大学院学際情報学府先端表現情報学専攻 M2) | ||
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■応募概要 水は、ふれた瞬間にかたちを変え、まわりの環境に呼応して、その瞬間だけのかたちを作ります。本作では、水の振る舞いに機械制御を重ねて「動くレンズ」として扱い、水が本来もつ柔らかさや揺らぎを宿した光のプロダクトを作りました。仮想的な表現があふれる現代、本物の素材とそれを取り巻く環境から立ち上がる、生きた光の現象を提示します。 |
■優秀賞選出、評価理由 情報のデザインを考える中で、そもそも情報とは何か?という根源的な問いをひらくデザインが、本作の最大の魅力である。Electrowettingによって生み出される水の現象を、電気による直接制御の中に閉じ込めず、自然に存在するさまざまな情報にひらいている。また、そこから生まれる水滴の振る舞いを、光を介して感受できる存在へと変換するアプローチは、技術の中に閉じていた情報を、私たちが生きる世界の現象として立ち現れさせている。その点に大きな評価が集まった。 |
| 8:虫秘茶|昆虫の消化から、新しい食の可能性を拓く | ||
| 丸岡 毅(京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻) | ||
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■応募概要 虫秘茶は、蛾の幼虫が植物を消化する過程で起こる成分・香りの変化を、新しい食の生成プロセスとして捉えた取り組みである。植物と昆虫の組み合わせから異なる風味を探索し、化学分析でその変化を検証。得られたフンを茶として製品化し、国内外のレストランで提供することで、生態系が持つ変換の力を食のデザインへと展開している。 |
■優秀賞選出、評価理由 食の概念を変えるかもしれない。植物と昆虫の相互関係に着目し、昆虫の代謝の力を食のデザインへ取り込んだ仕組みは、まさに発明といえる。化学分析による検証や共同研究、有名レストランでの提供まで一貫して試行したプロセスが高く評価された。また、洗練されたビジュアルのクオリティも魅力的な世界観になっており、「食とは?」という定義を問う、深い示唆を含んだ取り組みになっており、新たな食文化としての広がりに大いに期待したい。 |
| 9:卵コミュニケーション | ||
| 大砂 百恵(小樽商科大学商学部経済学科 3年) 錦古里 大河(北海道情報大学通信教育部総合情報学部 3年) 後田 将人(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 M2) 渡辺 風樹(京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科建築学専攻 既卒) |
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■応募概要 餌に昆布を混ぜた鶏の卵を、漁師におすそ分けすると、後日、新たに生かせそうな昆布が持ち込まれる「卵コミュニケーション」。漁村のおすそ分け文化を手掛かりに、自然な交換を促す「昆布カード」と交流拠点「卵布」を作った。制度により活用が難しかった昆布の可能性を引き出し、地域のルールを尊重しながら、資源が動く仕組みをデザインした。 |
■優秀賞選出、評価理由 廃棄昆布という課題に対し、合理的思考だけでは到底たどり着けない独創的な発想で、地域の中に活用の仕組みを見事に生み出した。廃棄昆布をめぐるシビアな現実さえも、軽妙に伝える語り口にも親近感が湧く。特定の地域や共同体の中でこそ成立するであろうニッチな仕組みではあるが、その限定性はむしろ固有の文脈に根ざした強みともいえる。既存の枠にとらわれない実験精神を、今後の展開への期待も込めて高く評価したい。 |