監 修:ボディメンテナンスセラピスト・美脚トレーナー 久 優子
女性の健康力向上を通した社会の活性化への貢献を目指す『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』(代表: 対馬ルリ子/産婦人科医)では、新型コロナウィルス感染拡大以降、長期化する在宅ワークの実態とそれに伴う足の不調について、首都圏在住の女性519人を対象に調査を実施しました。
■緊急事態宣言期間中の歩行時間、在宅ワークスタイルの実態
2回目の緊急事態宣言となる2021年1月7日から3月21日の期間中、
1日の歩行時間が「30分未満」の人は全体の4割、「1時間未満」の人も含めると7割を占める結果となりました。(グラフ⓵)
厚生労働省では健康維持のために、女性の場合1日8,300歩の歩数目標を推奨しています。
*1
10分で得られる歩数を1,000歩と換算すると、目標歩数を達成するためには1時間半近く歩くことが求められますが、今回の調査結果では
目標歩数をクリアしている人はわずか2割に留まる結果となりました。
*1厚生労働省・健康日本21
緊急事態宣言期間中に在宅ワークをしていた人(272名)の6割以上は「1日平均5時間以上座っている」と回答しており、歩行不足に加えて、長時間座り続けている実態が明らかとなりました(グラフ⓶)。
また、自宅での仕事スタイルは、半数以上が「デスク・テーブルと椅子で仕事をしている(53.3%)」という結果、次いで「ローテーブルで床に座って仕事をしている(26.8%)」、「ローテーブルとソファで仕事をしている(12.9%)」という結果でした(グラフ⓷)。
■7割以上は“足のべスポジ迷子”状態? “むくみ”“冷える”などの不調も
新しい働き方として定着しつつある在宅ワークでの姿勢について確認したところ、イラストのような“ねじり巻きスタイル”“椅子で正座スタイル”“フラミンゴスタイル”など、
クセのある座り方をしている人が79.4%*2もいることが分かりました。
周りの視線が気にならない在宅ワークでは、ついつい自分にとって楽な姿勢をとってしまいがち。
座り慣れていない環境で足のベストポジションが定まらない “ベスポジ迷子”に陥り、血めぐりが悪くなってしまっている様子が窺えます。
*2 床で横座り、体育座り、あぐらなどの姿勢を含む
また、
調査結果から在宅ワーク中に様々な足の不調を感じている実態がわかりました。
特に、
「むくみ」「冷え」「疲れ」の症状が多く、はっきりと「感じていることがあった」と、「なんとなく感じることがあった」を合わせると、
いずれも8割以上の人が感じている結果となりました。(グラフ⓸)
在宅ワーク中の足の不調について、足のケアで身体を整える独自のボディメンテナンスメソッドを確立した久 優子さんは次のように述べています。
「長時間、椅子に座り続けていると、足首、膝、脚の付け根(鼠径部)など屈折する部分の血めぐりが悪くなってしまいます。すると途端に老廃物が溜まり、むくみや冷えを引き起こしてしまいます。また、
クセのある座り方を続けていると、ゆがみを生じさせるだけでなく、全身の血行不良を招き、足の不調を増長させてしまうのです。」
■久々の出社時や外出時、こんな経験をしたら足の不調が蓄積しているサインかも・・・・
久々の出社日や外出した時に、歩く距離や経路は変わっていないのに、なんとなくいつもと違う足の症状を感じたことはありませんか。歩行不足や座りっぱなしの状態が長引く中で気づきにくくなっている、足の不調のサインを見逃さないようにしましょう。
自宅時間が増えている中での足の不調の原因と対策について、久優子さんにお聞きしました。
<原因編:なんとなく不調の原因は歩行不足と座りっぱなしによる血行不良。
第二の心臓「ふくらはぎ」のケアがカギに。>
本来、「第二の心臓」とも呼ばれる“ふくらはぎ”の筋肉がポンプの役割をしていることにより、全身の血液を効率よく循環させています。ところが、ずっと同じ姿勢(座りっぱなしや立ちっぱなし)や歩く時間が減少した現在のような状況では、“ふくらはぎ”の筋肉を動かすことが少なく、血液が心臓に戻りにくくなるため、足だけでなく全身の血めぐりが悪くなります。
血めぐりが悪い状況、つまり血行不良をわかりやすく“水を撒くホース”に例えてみましょう。
ホースの内部が汚れていたり、折れたり、つぶれたりしていると水の流れが悪くなるのが想像できると思います。その状況が座りっぱなしの姿勢で起こっていると言えます。
歩行不足と座りっぱなしのダブルパンチで、足の不調を引き起こしているのです。
<対策編:血めぐりアップには“ふくらはぎ”の「温め&プッシュケア」>
1.“ふくらはぎ”のケアには蒸しタオルや温熱シートで温めを
座りっぱなしの状態が長く続くと、室内でも足は冷えやすくなります。
足を触った時に「冷たい」と感じたり、「手の温かさが気持ち良い」と感じたりするようなら冷えている証拠。
全身に血液を流すポンプの役割を持つ“ふくらはぎ”を、蒸しタオルや温熱シートで温めましょう。
座りっぱなしやクセのある姿勢で血行が悪くなってしまった“ふくらはぎ”を温め、血めぐりを促すことで、足のむくみや冷えは解消されます。
また、久しぶりに外出してよく歩いた日や立ちっぱなしの日などは、帰宅後に冷却シートを使うと心地よくふくらはぎをケアできるのでおすすめです。
2.“ふくらはぎ”と足首のマッサージでアップ
足がむくみ、だるさを感じたら、めぐりが悪くなっている証拠なので“ふくらはぎ”を集中的にケアしましょう。
不調を感じたら、仕事中でも椅子に座ったままでできる方法、押すだけの簡単な方法などで気軽にケアしましょう。実は、
めぐりアップのためには足裏のケアも大切ですので、“ふくらはぎ”と足裏をセットでケアすると、効果的です。ケア後に足を触ってみて、温かく感じたり、柔らかく感じたりしたら、めぐりが良くなったサインです。
3.炭酸入浴で全身の血めぐりアップ
家で過ごす時間が長くなる環境では、入浴を仕事とプライベートの切り替えタイミングにするのもよいでしょう。
全身を効率的に温めるには炭酸入浴が効果的です。炭酸ガス入りの入浴剤を使用すると、炭酸ガスが温浴効果を高めて皮膚の毛細血管を拡張して血めぐりがよくなるので、疲れやだるさ、冷えなどに効きます。
38~40度の温度で10分以上、全身でゆっくり浸かるとよいでしょう。
久 優子(ひさし ゆうこ)
ボディメンテナンスセラピスト・美脚トレーナー
1974年生まれ。脚のパーツモデルを経て、ホリスティック医学の第一人者である帯津良一医師に師事。予防医学健康美協会・日本リンパセラピスト協会・日本痩身医学協会で認定を受け講師として活動。その後もさまざまな分野で独自の研究を重ね、現在のボディメンテナンスメソッドを確立。マイスナス15kgの ダイエットに成功した経験を生かし、「足首」のケアをもとに「足首の関節を柔らかくすることから身体を整える」美メソッドを考案。
著書に『1日3分!足首まわしで下半身がみるみるヤセる』(PHP研究所)、『脚からみるみるやせる2週間』『押したら、ヤセた。』(共に宝島社)『下半身からみるみるやせるおうちダイエットBOOK』『脂肪ただきハンマーダイエット』(共に講談社)ほか多数。
<意識調査概要>
◎調査方法:インターネット調査
◎調査期間:2021年3月26日~3月27日
◎調査対象:首都圏の20歳~49の女性 519名
◎調査内容:在宅ワーク中の仕事スタイルに関する意識調査
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●ウーマンウェルネス研究会supported by Kaoとは
『ウーマンウェルネス研究会supported by Kao』は、現代女性のライフステージごとに異なる様々な心身の不調を解消し、女性が健康で豊かな生活を送り充実した人生を実現することを願って、医師や専門家、企業が集い2014年9月1日に発足いたしました。女性のウェルネス実現のために、公式サイト「ウェルラボ」(
http://www.well-lab.jp/)やイベントなどを通じて、女性が知っておきたい健康の基礎知識や不調への対応策など、心身の健康に役立つ情報を発信します。
●ウーマンウェルネス研究会の概要
・発足日: 2014年9月1日
・医師・専門家(50音順)(敬称略)
対馬 ルリ子 (産婦人科医、対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長)
小島 美和子 (管理栄養士、有限会社クオリティライフサービス 代表取締役)
川嶋 朗(統合医療医、東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授)
中村 格子 (整形外科医、スポーツドクター、医療法人社団BODHI理事長)
福田 千晶 (産業医、内科医・リハビリ医、人間ドック専門医、健康科学アドバイザー)
渡邉 賀子 (漢方専門医、麻布ミューズクリニック名誉院長)
・協賛:花王株式会社、パナソニック株式会社 (あいうえお順)
・Webサイト: 『ウェルラボ』:
http://www.well-lab.jp/ (2014年9月11日OPEN)
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