世界最小級に伝送損失を低減した低クロストークマルチコアファイバを開発

~現行の海底ケーブルサイズのまま超長距離伝送を実証~

● 総務省委託プロジェクトのもと、海底ケーブル用大容量光ファイバと光増幅用ファイバを開発
● 独立した4つのコアを持つ光ファイバを用いて、太平洋横断距離を上回る光信号伝送が可能なことを実証
● コア数増大に対応したマルチコア増幅器開発を含め総合的に海底システムの空間多重化を推進

 古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)と株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市2丁目1番15号、代表取締役所長:中村元)は、総務省委託研究 研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」、技術課題II「マルチコア大容量光伝送システム技術」の取り組みの一部として、世界最小級に伝送損失を低減した低クロストークマルチコアファイバの開発に成功し(古河電工)、独立した4つの各コアを用いて、太平洋横断を上回る距離で、超高速な光信号の光ファイバ伝送に成功しました(KDDI総合研究所)。
 今回実現した伝送ファイバの特性、本ファイバを使用した伝送特性、ならびに将来の実用化に必要不可欠となるマルチコア増幅器の最新状況を12月6日(ベルギー時間)からオンラインで開催される第46回欧州光通信学会(ECOC2020: The 46th European Conference on Optical Communication)にて報告します。

■背景
 5GやIoTなどによる新規アプリケーションに加えCOVID-19によるテレワーク需要の増大により、世界中のデータトラフィックは増大の一途をたどっています。これに加えてデータセンタ間の通信需要の増大により、国際通信を担う光海底通信の容量は増大を続けています。この需要に対応するために、ケーブル内のファイバ心数を増大させる空間多重システムの採用が進んでおり、ケーブルの外径サイズは、敷設工事の困難さや、コスト上昇の観点から現状以上に拡大することは現実的でなく、ケーブルの外径サイズをそのままにケーブル内の心数を増やすことは必要不可欠となってきています。

■内容
 マルチコアファイバ(MCF)は通常光ファイバと同一の形状にて光が伝搬するコアの数を複数実装したファイバです。今回開発したMCFは4つのコアを搭載しており、通常の光ファイバよりも4倍の容量を伝送可能とします。MCFではファイバ内のコア間の信号干渉であるクロストークが課題であり、低損失かつ低クロストークなMCFの実現は困難でしたが、ファイバ構造と製法の最適化により、通常の海底伝送用光ファイバと同等でかつ低クロストークなMCFの中では世界最小級損失の0.155dB/kmを実現しつつ、-60dB/100km以下の低クロストーク性も確保したMCF開発に成功しました。
 本ファイバの適用先としては長距離海底光ケーブルが想定され、その最大距離は太平洋横断級の9,000kmがその指標として挙げられています。今回開発した光ファイバを適用することにより、超高速な光信号を12,000km以上の伝送が可能なことを実証しました。
 光海底システムの要素としては増幅器の省電力化も大きな課題であり、省電力光増幅器としてマルチコア増幅器の開発も進めています。今回開発した低損失マルチコアファイバとマルチコア光増幅器の技術を活用した空間多重光海底システムを推進してまいります。


海底ケーブルイメージ


ケーブル構造例


マルチコアファイバの構造
通常光ファイバと同様の外径


クロストーク
 マルチコアファイバにおいて、信号を入力したコア以外のコア(隣接コア)から出力される不要な雑音成分。雑音の発生により通信の品質が劣化するため、クロストークの低減が好ましい。
 (クロストーク -60dB; 出力光に対してクロストーク光の強度が百万分の1)


■総務省委託研究概要
名称:ICT重点技術の研究開発プロジェクト
   新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発(JPMI00316)
   技術課題II「マルチコア大容量光伝送システム技術:OCEANS」
実施期間:平成30年度~令和3年度

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この企業の情報

組織名
古河電気工業株式会社
ホームページ
https://www.furukawa.co.jp/
代表者
小林 敬一
資本金
6,939,500 万円
上場
(旧)東証1部
所在地
〒100-8322 東京都千代田区大手町2丁目6番4号常盤橋タワー
連絡先
03-6281-8500

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