日本製鉄 「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」が9社で始動 ~メタネーション技術による船舶のゼロ・エミッション燃料を目指す業界横断の取り組み~

「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」(WG=ワーキンググループ、以下「本WG」)は、株式会社エックス都市研究所、サノヤス造船株式会社、JFEスチール株式会社、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、株式会社商船三井、日揮グローバル株式会社、一般財団法人日本海事協会、日本製鉄株式会社、日立造船株式会社の計9社(註1)が参加し、第一回会合を開催しました。

気候変動の影響が国内外で顕在化する中、脱炭素社会への道筋の一つとして、排出された二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクルが注目を集めています。

本WGは、メタネーション技術(註2)を船舶のゼロ・エミッション燃料(註3)に活用する構想の実現可能性を探ることを目的として、2019年8月に、CCR研究会(註4)に設置されました。本WGの活動を通じ、日本による輸出入の99.6%を担う海上輸送の過程での温室効果ガス排出(=エミッション)をゼロにして、持続可能な社会の形成に寄与することを目指しています。具体的には、メタネーション燃料の原料調達・原料輸送・メタネーション・舶用燃料化によるカーボンリサイクルのサプライチェーンを想定し、本サプライチェーンにおけるCO2排出量の概算を行い、この結果から、実現に向けた技術的課題の洗い出しとロードマップ策定を、上記9社で行います。

活動の最初の段階では、(1)国内の製鉄所から排出されるCO2を分離・回収・液化、(2)液化したCO2を船舶で水素の供給地へ海上輸送、(3)メタネーション反応によりCO2と水素から合成メタンを生成、(4)合成メタンを液化し、舶用燃料とすることを想定しています(図1)。この想定のサプライチェーン上でのCO2排出量の概算値を求めるとともに、技術的課題を洗い出し、活動を次の段階に進めるかどうかとその活動内容を策定します。また、得られた知見は業界内外に広く公開します。

日本製鉄は、高炉一貫製鉄所の脱炭素化に向けた研究開発を長年進めています。特に製鉄所内の未利用の排熱を利用したCO2の分離・回収技術の開発、低コスト化に取り組んできており、その成果は、すでに国内の商業プラントで活用されています。今回、製鉄所から排出されるCO2を分離・回収し、生成した合成メタンを船舶が海上輸送に利用することで、臨海立地であり、原材料の輸入や鉄鋼製品の国内外の輸送のほとんどを船舶で運搬する製鉄業が、鉄鋼サプライチェーン全体でのCO2削減に貢献できる意義は大きいと考えています。

(図1)


(註1)「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」参加社(50音順)


(註2) メタネーションとは、触媒を充填した反応容器内で水素とCO2を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術である。産業施設などから排出され、分離・回収したCO2を利用する。合成されたメタンを燃焼させる際に発生するCO2は、分離・回収したCO2と相殺されると考えられるため、将来的に再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解することによって生成した水素を利用すれば、CO2の排出を大幅に削減したとみなすことができる。

(註3) 国際海運におけるGHG排出対策を検討している国際海事機関(IMO)では2018年4月にGHG削減戦略を採択し、2030年までにCO2の排出量を効率ベースで2008年比40%削減、2050年までにGHG排出の総量を2008年比で半減、および今世紀中のなるべく早期に国際海運からのGHG排出をゼロとするという目標が設定された。メタネーション燃料はゼロ・エミッションを実現する技術となりえるとして注目されている。

(註4) CCR(Carbon Capture & Reuse)研究会は産業界から排出されるCO2を再生可能エネルギー由来水素と組み合わせ、合成メタン等の代替エネルギーを提供することで、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルの対策を提案するとともに、2050年に向けた新たなエネルギー供給システム構築に寄与することを目指し、設立された。
https://ccr-tech.org/


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以 上

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この企業の情報

組織名
日本製鉄株式会社
ホームページ
http://www.nipponsteel.com
代表者
橋本 英二
資本金
41,952,497 万円
上場
(旧)東証1部,名証1部,札証,福証
所在地
〒100-8071 東京都千代田区丸の内2-6-1丸の内パークビルディング
連絡先
03-6867-4111

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