ADASの音声出力システムに最適!再生音異常検知機能を搭載した車載音声合成LSI「ML2253xシリーズ」を開発

~車載音声出力システムの飛躍的な品質向上に貢献~

<要旨>
ロームグループのラピスセミコンダクタ株式会社(以下、ラピスセミコンダクタ)は、ADAS(先進運転支援システム)やAVAS(車両接近通報装置)の音声出力システムに最適な、車載音声合成LSI 「ML2253xシリーズ」を開発しました。

ラピスセミコンダクタの音声合成LSIは、通信インターフェイス、ロジック、メモリ、アンプを全て内蔵していることから、メインマイコンに依存しない音声出力システムを構築することができ、ソフトウェア設計の工数を削減できるため、車載アプリケーションでの採用が進んでいます。

また、「ML2253xシリーズ」は、上記に加えて、メインマイコンなどにエラー信号を発信することができる「再生音異常検知機能」を搭載しました。これにより、音飛びなどの再生音異常を検知できるため、車載音声出力システムのさらなる品質向上に貢献します。さらに、出荷後の音声データの書き換えに対応し、高音質と省メモリを両立する「HQ-ADPCM」圧縮方式を採用するなど、開発機器の利便性向上にも貢献する機能を搭載しています。

なお、新製品は2020年4月よりサンプル出荷(サンプル価格1,300円/個:税抜)を開始しており、2020年7月から量産を開始する予定です。また、本ニュースリリースに合わせて、本製品の開発キット、リファレンスボードをチップワンストップ、コアスタッフオンラインにて販売しています。

ラピスセミコンダクタは、今後も音声合成LSIを開発し、音に関わる設計者の設計工数削減と社会の安心・安全をサポートすることで、多くの人が暮らしやすい社会の実現に貢献していきます。

<背景>
近年、ADAS(先進運転支援システム)などにより、歩行者や搭乗者に、自動車の状態や存在を周知することが重要になっており、自動車メーカーでは効果音や音声を使って警告や通知を行う、音声出力システムの開発が進められています。音声出力システムは自動車の安全性を確保する上で重要な役割を果たすため、確実に音声を発生させる必要がありますが、従来構成である音声ミドルウェアの音声再生は、部品点数が多くなることに加えて、メインマイコンに高負荷がかかるため、リスク回避の対策やシステム変更時のソフトウェア対応に多大な工数が必要でした。

新製品は、メインマイコンのソフトウェア設計を低減しながら音声出力システムを構築できることに加えて、再生音異常検知機能により音声不具合を検知することで、音声出力システムのさらなる品質向上に貢献します。


<新製品の特長>
1. 再生音異常検知機能により、音声出力システムの品質向上に貢献
新製品「ML2253xシリーズ」は、再生音異常検知機能を新たに搭載しました。再生音異常検知機能は、スピーカ出力のアナログ信号を再デジタル化し、LSI内部の再生データと比較することで、設定値以上の異常検知時にエラー信号をメインマイコンへフィードバックします。これにより、音声出力システムの品質向上に貢献します。


2. メインマイコンからのフラッシュメモリ書き換え機能により、出荷後も音声書き換えが可能
従来のROMライターからのオンボード書き換え機能に加え、メインマイコンからの書き換え機能を新たに搭載しました。メインマイコンからSPI I/F経由で内蔵フラッシュメモリ(ML22Q53xシリーズ)もしくは外付けフラッシュメモリ(ML22530シリーズ)へのデータ書き込みが可能となり、開発中の音声データ書き換えはもちろん、製品出荷後でも音声データの書き換えが可能です。この機能により、今後インターネットとの接続が進み、IoT化する次世代自動車にも対応していくことが可能です。

3. HQ-ADPCM方式による圧縮で、高音質と省メモリを両立
新製品は圧縮方式にHQ-ADPCMを採用することで、高音質と省メモリというトレードオフの関係にある2つを両立しています。従来圧縮方式においては、効果音や音楽を圧縮した際の劣化が激しく、圧縮しないPCM方式を採用するしかありませんでした。一方、新製品においては、HQ-ADPCMを採用したことにより、メモリ容量を従来圧縮方式の1/5に圧縮しても、聞きやすい音で再生可能です。なお、音声データのHQ-ADPCMへの変換は、サウンドデバイスコントロールキットに含まれる、Speech LSI Utilityを使うことで可能です。


HQ-ADPCM は,「Ky’s」の高音質音声圧縮技術です。
「Ky’s」は,国立大学法人九州工業大学の登録商標です。

4. 車載向けLSIに求められる各種機能の搭載
新製品は、車載に求められる高温動作(105℃)や車載向け部品信頼性規格「AEC-Q100(※1)」に対応しています。また、従来機種から搭載されていたショート検知、高温エラー検出、コマンド転送エラー検出などの異常検知機能も搭載しており、こちらも車載音声出力システムの信頼性向上に貢献します。


<車載機器向けML2253xシリーズ ラインアップ>


<サポート>
ラピスセミコンダクタでは、音声データの作成から音声合成LSIのROMデータの作成・書き込み・試聴までを一貫して行える開発ツール「SDCK3」を用意しています。SDCK3と別売りのリファレンスボードを組み合わせることで、ハードウェアからソフトウェアまで一連の評価が可能です。

■音声合成LSI 商品サイト
https://www.lapis-semi.com/jp/semicon/speech/

■音声合成LSI サポートサイト
https://www.lapis-semi.com/cgi-bin/MyLAPIS/regi/login_J.cgi
(サポートサイトへのログインは登録が必要です)

<インターネット販売について>
新製品及び開発サポートキットは日本、中国のネット各社において順次インターネット販売を開始します。

※リファレンスボードの音声合成LSIはソケットで実装されており、購入時の製品をメモリ容量違いの同シリーズ品に差し替えて検討することができる。

<販売計画・用途>
  • 商品名:ML2253xシリーズ
  • サンプル出荷:2020年4月から(販売中)
  • サンプル価格(参考):1,300円から(税別)
  • 量産開始予定:2020年7月から順次開始
  • 用途:車載機器全般

<用語説明>
※1) AEC-Q100
大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーで構成された団体(AEC:Automotive Electronics Council)で作られた車載向け集積回路(IC)の信頼性の業界標準規格です。欧米では車載向け電子部品の規格として広く採用されています。

※2) シリアルオーディオI/F(I2S)
IC間でデジタル音声データをシリアル転送するための規格。

ロームグループのラピスセミコンダクタは、低消費電力技術、高周波回路技術、デジアナ混載技術、メモリ設計技術などを得意技術とし、これら技術でロジック、メモリ、表示ドライバといったLSI商品を創出しています。また、お客様が設計し当社の工場で製造するファンダリサービスも主軸の一つで、お客様の様々なご要求にお応えします。
「品質第一」を企業目的に掲げ、お客様のニーズを満足する商品を創出し、国内だけでなく世界規模でグローバル社会に貢献しています。

本件に関するお問合わせ先
ラピスセミコンダクタ株式会社  ニュースリリース担当
〒222-8575 神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-8
電話:(045)476-9212

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この企業の情報

組織名
ローム株式会社
ホームページ
https://www.rohm.co.jp/
代表者
松本 功
資本金
86,969,000,000 万円
上場
(旧)東証1部
所在地
〒615-8585 京都府京都市右京区西院溝崎町21
連絡先
075-311-2121

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