Venatorx PharmaceuticalsとGARDPによる、治療の困難な院内感染症に対する新しい抗菌薬開発に関する提携



· 医療現場における重篤な細菌感染症は、後遺症や死亡の要因となっています。
· 死亡した新型コロナウイルス (COVID-19) 患者の半数に細菌感染が存在したことが研究によって示されており、共同研究の重要性が高まっています。


米国ペンシルベニア州マルバーンおよびスイス・ジュネーブ、2020年4月29日-Venatorx Pharmaceuticalsとグローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ (GARDP) は、セフェピム-タニボルバクタム (以前のcefepime/VNRX-5133) の開発と利用を加速するための協力を本日発表しました。セフェピム-タニボルバクタムは、第4世代セフェム系抗菌薬であるセフェピムと、カルバペネム耐性腸内細菌 (CRE) およびカルバペネム耐性緑膿菌 (CRPA) に対するセフェピムの活性を増強させる新規広域βラクタマーゼ阻害薬であるタニボルバクタムとの治験用の合剤です。

GARDPはVenatorxと共同で、セフェピム-タニボルバクタムの開発を完了する予定です。これには、すでに進行中の複雑性尿路感染症 (cUTI) に対する第3相試験の他、多剤耐性菌感染症の成人患者を対象とした臨床試験、重篤な細菌感染症の小児 (新生児を含む) にセフェピム-タニボルバクタムを使用できるようにするための臨床試験などが含まれます。

VenatorxはGARDPと協力し、世界中でセフェピム-タニボルバクタムが手頃な価格で入手できるように尽力します。Venatorxは、臨床使用が承認された際にセフェピム-タニボルバクタムを、低所得国および低中所得国の大半において販売する独占的権利をGARDPに付与しました。

世界保健機関 (WHO) は、CREとCRPAを、グローバルヘルスにおける最大の脅威であり、新しい抗菌薬を至急必要とする「危機的レベル」の病原体として特定しました。これらの病原体は、医療現場において最も一般的であり、また後遺症や死亡の主要原因の1つとなっています。細菌は、創傷や手術部位、人工呼吸器、およびカテーテルから体内に入り、肺、尿路、腹部、および血流感染症を引き起こすことがあります。

院内感染症は、ヨーロッパにおいて年間37,000例の死亡の原因とされており、米国においては年間98,000例の死亡の原因とされています。低・中所得国における入手可能なデータは限定されているものの、院内感染はより大きな負担となっていることが指標によって示されています。
これらの感染症の原因となる病原体の多くは、第一選択の抗菌薬に対する耐性が増しており、多くの場合治療には、通常は多剤耐性感染症を含む最も重篤な感染症のために残しておくべきカルバペネム系抗菌薬が用いられます。しかしながら、1980年代にこのクラスの抗菌薬が導入されて以来、病原体によるカルバペネム耐性の獲得はますます進んできました。

「抗菌薬耐性の脅威は増大しており、新型コロナウイルス (COVID-19) などの世界的大流行によって深刻化しています」とVenatorx Pharmaceuticalsの社長兼CEOであるChristopher J. Burns博士は述べています。「入院を要したCOVID-19患者の98%の治療に抗菌薬が併用されており、死亡患者の50%に二次的細菌感染も認められたことが、ランセット誌に掲載された最近の研究によって示されています。有効な広域抗菌薬の必要性 (注射用、経口用ともに) は、かつてないほど高まっています。GARDPと当社のパートナーシップは、我々が確実に第3相臨床試験を通じてセフェピム-タニボルバクタムの開発を進め、小児を含む治療の困難な細菌感染症にかかりやすい患者がこの薬剤を入手しやすくするための重要な局面に入りました。」

「高所得国では、毎年10万人を超える人々が院内感染によって亡くなっており、低・中所得国における負荷が有意に高いことは指標によって示されています。」とGARDP代表のManica Balasegaram医師は述べています。「我々とVenatorxとの協働により、非常に必要とされている成人および小児の薬剤耐性菌感染症に対する治療薬の開発を加速させることができます。重要なこととして、我々は協力し、住む場所にかかわらず、必要な人すべてが確実にこの治療薬を利用できるよう尽力します。COVID-19と同様に、薬剤耐性は、静かに進行し、国境で止まることのない、健康安全保障上の危機です。どんな国や、企業、組織であっても、単独で薬剤耐性と戦うことはできません。協力し合ってこそ戦うことができるのです。」

以上


セフェピム-タニボルバクタムについて
タニボルバクタムは、以前はVNRX-5133と呼ばれていた化合物で、セリンおよびメタロβラクタマーゼの両方を阻害する、臨床開発後期段階の唯一の既知βラクタマーゼ阻害薬 (BLI) です。タニボルバクタムは、第4世代セファロスポリン系抗菌薬であるセフェピムと併用すると、クラスA、B、C、およびDのβラクタマーゼ (BL) の発現によってアミノグリコシド剤、キノロン剤、およびベータラクタム剤に対する多剤耐性 (MDR) を獲得したカルバペネム耐性腸内細菌 (CRE) およびカルバペネム耐性緑膿菌 (CRPA) などのグラム陰性菌に対する抗菌活性が増強されます。これには、基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ (ESBLs) 類、AmpCβラクタマーゼ類、およびESBL類と、AmpC、KPC、OXA、NDM、およびVIMを産生する病原体が含まれます。Venatorx Pharmaceuticalsがスポンサーとなるセフェピム-タニボルバクタムは、有効でない治療が続いた結果、良好な臨床転帰が望めない高リスク患者において、現在利用可能な治療薬よりも好ましい広域抗菌活性を提供できる可能性があります。

現在、Venatorxは、複雑性尿路感染症 (cUTIs) 患者を対象としたセフェピム-タニボルバクタムの第3相臨床試験への参加者登録を進めています。このプロジェクトの全体または一部は、米国保健福祉省国立衛生研究所国立アレルギー感染症研究所 (契約番号HHSN272201300019C)、ウェルカム・トラスト (助成番号360G-Wellcome-101999/Z/13/Z)、および米国保健福祉省事前準備・対応担当次官補局・生物医学先端研究開発局 (契約番号HHSO100201900007C) からの連邦資金による資金提供を受けています。

Venatorx Pharmaceuticalsについて
Venatorxは、多剤耐性細菌感染症と治療困難なウイルス感染症の治療のための新規抗感染症薬の創製と開発に特化した民間製薬企業です。Venatorxは2010年に設立され、世界クラスの社内研究・創薬組織を構築し、複数の研究プログラムにまたがる100を超える特許を申請しています。Venatorxは、米国国立衛生研究所 (NIH) の米国国立アレルギー感染症研究所 (NIAID)、ウェルカム・トラスト、米国保健福祉省 (HHS) の事前準備・対応担当次官補局 (ASPR) の一部である生物医学先端研究開発局 (BARDA)、米国国防総省の国防脅威削減局 (DTRA)、およびCARB-Xからの多額の資金援助、ならびにVersant Ventures、Abingworth、およびForesite Capitalからの未公開株式投資を受けています。www.venatorx.com

GARDP(Global Antibiotic Research and Development Partnership) について
グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ (GARDP) は、健康への最大の脅威となる薬剤耐性感染症に対する新しい治療法の開発に取り組む非営利団体です。GARDPは、世界保健機関 (WHO) とDrugs for Neglected Diseases initiative (顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ:DNDi) によって2016年に設立され、WHOの薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランの重要な役割を担っています。住む場所にかかわらず、抗菌薬を必要とする人すべてが有効で手頃な価格の治療を受けられるようにするために設立されました。性感染症、新生児敗血症、および入院した成人および小児の感染症を中心に、2025年までに薬剤耐性感染症を克服するための5つの新しい治療法を開発することを目指しています。GARDPは、ドイツ、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、南アフリカ、スイス、イギリスの各政府、ならびに国境なき医師団 (MSF)、民間財団から資金提供を受けています。https://gardp.org/

本件に関するお問合わせ先
communications@gardp.org

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組織名
特定非営利活動法人DNDi Japan
ホームページ
https://www.dndijapan.org
代表者
山田 陽城
上場
非上場
所在地
〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-1パークウエスト3階
連絡先
03-6258-0303

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