第3回「三井ゴールデン匠賞」 審査員の選出による「グランプリ」を秋山眞和氏、一般投票による「モストポピュラー賞」をタヤマスタジオ株式会社が受賞

三井グループ24社で構成する「三井広報委員会」は、日本の伝統工芸の持続・発展に貢献する業界関係者・団体を表彰する第3回「三井ゴールデン匠賞」において、2月10日に発表した受賞者5組(個人および団体)の中から、審査員の厳正なる選定による「グランプリ」と、一般投票で最も得票数の多かった「モストポピュラー賞」の受賞者を各1組ずつ決定いたしました。

栄えある「グランプリ」は、宮崎県で宮崎手紬(綾の手紬)を手掛ける 秋山眞和氏(所属:綾の手紬染織工房)、「モストポピュラー賞」は、岩手県で南部鉄器を手掛ける タヤマスタジオ 株式会社(代表:田山 貴紘)が各々受賞されました。

秋山眞和氏は、古代からの染色方法を解明した上で、もともと織物産地ではなかった地域で産業化への道を拓いた実績が審査員から高く評価され、グランプリに選定されました。タヤマスタジオは、若手職人が製作の全工程に関われる鉄瓶「あかいりんご」の企画によって、伝統技術が継承できる仕組みを創り出したことに加え、現代の生活にもマッチする斬新なデザインの製品を生み出したことが一般の方からも支持され、モストポピュラー賞に選出されました。

以下に、受賞者全5組のコメント・講評をお知らせいたします。

※贈賞式を3月23日に予定しておりましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止、および参加者の健康を考慮し中止いたしました。

【 第3回 「三井ゴールデン匠賞」 グランプリ 受賞者コメント 】

■秋山 眞和 氏
所属:綾の手紬染織工房(宮崎手紬(綾の手紬)/宮崎県
この度は、このような素晴らしい機会に表彰していただき、本当にありがとうございます。グランプリと聞いて、大変驚きました。
宮崎県の綾町は、もともと織物の伝統が無い町でしたが、そこでイチから試行錯誤したのが、結果的に良かったのではないかと思っています。
ものづくりには伝統が必要ですが、そのためには作り手が次代へ繋いでいく必要があります。三井ゴールデン匠賞は、そのような取り組み自体に関心を持ってもらえる契機となるもので、そんな機会を作っていただいたことを大変嬉しく思います。
また伝統を繋ぐ上では、昔のものを直接引き継ぐのではなく、その時代に生きる人々の生活に役立つものを作ることが大事だと考えています。その意味で、天然の染めには、奥行きのある色の美しさだけでなく、人々の健康にも役立つ面など、まだ大きな可能性があると思っています。これからも、そういった将来的な希望につながるものづくりに邁進できればと思います。

【 第3回 「三井ゴールデン匠賞」 モストポピュラー賞 受賞者コメント 】

■タヤマスタジオ 株式会社
代表:田山 貴紘(南部鉄器/岩手県)
この度は、素晴らしい賞に選んでいただき誠にありがとうございます。この度の取り組みは、伝統工芸を次代に繋ぐために、多様な世代の職人から、業界外の企画者まで、あらゆる方々との協力によって実現しました。それを評価いただき、また一般の方々からの支持もいただけたということで、社会から受け入れられつつあると感じられ、大変嬉しく思っています。
作品ではなく、取り組みを評価する三井ゴールデン匠賞の存在は、伝統工芸に携わる方々にとって大きな励みになると思います。それは結果的に、伝統文化の価値を高めることにも繋がりますし、その輪が広がって、全国に「日本は個性に溢れた面白い国だ」という自負が育っていけば、誇りを持って世界にチャレンジしていけるようになると思います。
また、我々が手掛ける南部鉄器の他にも、日本には様々な価値を持つ伝統工芸があると思います。今回評価された取り組みの要素や考え方を、他の産地とも協同して広めつつ、これからの自分たちのものづくりの指針としていければと思います。

【 第3回 「三井ゴールデン匠賞」 受賞者コメント 】

■株式会社 大直
代表:一瀬 美教(市川和紙/山梨県)
この度は受賞の機会をいただき、誠にありがとうございます。関係者一同、非常に喜ばしく感じています。
伝統工芸は今、技術や流通、生活の変化など、いろいろな意味で大きな変革期を迎えています。このようなかで、何を表現したいか、何を考えて作っているか、それをきちんと形にする、そして多くの人の生活の中で役に立っていくことが大事だと思っており、それは私たちが常に追い続けているテーマでもあります。
今回評価いただいたことは、大きな自信につながりました。今後一層、こだわりのあるものづくりに取り組んでまいります。


■株式会社 堤淺吉漆店
代表:堤 卓也(漆精製・販売/京都府)
この度は誠にありがとうございます。過去の体験から、漆や伝統工芸のことを必要とする人にきちんと届けられれば、世の役に立てるという想いを持っていた中で、こうした賞をいただき、広く知られるきっかけができたことをうれしく思っています。
また、材料屋としての、私たちの取り組みを評価していただいたことも、大変ありがたく思います。これからも、漆の可能性を探求し、何ができるかという意識を常に持ち続けることで、ものづくりの多様性に少しでも応えられる漆づくりに努めていきたいと思います。


水落 良市 氏
所属:三条製作所(越後三条打刃物/新潟県)
この度は、このような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。大変光栄なことでございます。
日本剃刀は、感覚的・科学的なアプローチで連綿とその製造技術が受け継がれてきた刃物です。昨今は海外からの注文が過半数を占めており、ありがたいことに非常に幅広い方々から支持されていると感じております。一方、日本剃刀は扱いに繊細な面もあることから、使っていただける方が減ってきているのも事実です。貴重な技術ですので、この後も若手の方に引き継いでいただいて、日本剃刀というものがあるということを世の中に知ってもらい、絶やさないでもらえればありがたいなと思っております。


【 第3回 「三井ゴールデン匠賞」受賞者 講評 】

●宮崎県綾町を、新たな染めの産地に! 古来の染色を再現し、それに合う糸を作るための養蚕まで独自に研究

グランプリ:秋山 眞和(あきやま まさかず)
所属:綾の手紬染織工房 宮崎手紬(綾の手紬)/宮崎県
「幻の色」とされていた貝紫による古代からの染色方法を解明、日本産巻貝を用いて還元建て染めに成功。さらには、貝紫の発色にふさわしい絹糸を求め、材料となる「小石丸」の養蚕から手がける秋山氏。困難を乗り越え理想とする原材料を生み出し、工芸らしいプロセスを積み重ねて織り上げられた風合いは独特の魅力にあふれ、海外へも価値が伝わるものである。また、宮崎県綾町というもともと織物産地ではない場所で産業化への道を拓いた実績も「未来へのタネをまいたといえる」と、30年以上に亘る熱意と姿勢が高く評価された。

若手職人が全工程に携われる工芸品を創出し、後進育成に貢献! 職人の就労環境の整備や、組織編成も推進
モストポピュラー賞:タヤマスタジオ 株式会社 ※団体として受賞
代表:田山 貴紘 南部鉄器/岩手県
南部鉄器の伝統工芸士である父・田山和康氏(田山鐵瓶工房 代表)を顧問にその技術を受け継ぎながら、職人の就労環境の整備、多様なメンバーの組織編成など人材育成面での取り組みが高く評価された。特に、技術を習得するには10年はかかるといわれる南部鉄器の製造において、若手職人でも全工程にかかわれるよう加飾面での工程を減らした鉄瓶「あかいりんご」の企画は、安価な代替品と競うための工程短縮とは違い、量産材料の使用、機械化に頼らざるを得なかった状況を大きく変え、従来の伝統工芸品と機能的に劣らない品を仕組みの工夫により提供可能にし「今後の展開が期待される」と好評だった。

伝統的な和紙技術を活かし、若者に支持されるバッグやペンケースを開発!デジタル化による、職人作業の効率化も
株式会社 大直(おおなお) ※団体として受賞
代表:一瀬 美教 市川和紙/山梨県
「紙という伝統工芸の英知を残しながら、魅力的なプロダクトとして進化している」と、好評を得た大直。生産量が最盛期の3分の1にまで減少していた市川和紙を復興すべく、破れにくい障子紙「ナオロン」を開発。さらには、ナオロンをくしゃくしゃにすることで風合いを出し、工業デザイナー・深澤直人氏と和紙製品「SIWA」を共同開発。日用品として展開し高い完成度でブランドを確立した。当事業を担当する従業員を新たに確保するなど、地域雇用にも貢献。商品開発、デザインノウハウを社内で蓄積、社外デザイナーとの連携、海外展示会出展等の海外事業のノウハウも蓄積し、持続的に事業継続をするために務める。一方で、伝統的なものづくりを継承するクラフトブランド「めでたや」とのバランスのよさも注目された。

●環境に配慮した、サステナビリティの高い漆を開発・提供! 漆の耐久性を大きく向上し、スポーツ用品に応用も
株式会社 堤淺吉漆店(つつみあさきちうるしてん) ※団体として受賞
代表:堤 卓也 漆精製・販売/京都府
漆の原材料店として、国内外の漆の特徴を見極めニーズにあわせて精製・調合する技術の高さは業界で欠かせない存在、と高く評価された。1999(平成11)年には、紫外線や雨風に強い高分散精製漆「光琳」を開発。日光東照宮・平成の大修理など重要文化財建造物の修復に採用される。一方で、若い世代が中心となり、2016(平成28)年からは漆を次世代へとつなぐプロジェクト「うるしのいっぽ」を開始。東京オリンピック種目にも選ばれたサーフィン、BMX(自転車)、スケートボードなどスポーツ用具分野の漆塗装の可能性、環境への配慮、サスティナビリティの高さを提案。まさに、新しい工芸の姿といえる。

鍛冶技術の真髄を極める和剃刀を製作! 若手職人の指導や、工芸・技術を広める活動にも積極的に取り組む
水落 良市(みずおち りょういち)
所属:三条製作所 越後三条打刃物/新潟県
古くから金物の産地として知られる三条でも高い技術を持ち、老若多くの職人にとって「精神的支柱」といわれる水落良市氏。「世界の鍛治職人イワサキ」と呼ばれた岩崎重義氏のもとで修行を積む。和剃刀を専門で製造できる職人は全国でも類を見ず「つけ替え刃が主流となったなかで和剃刀の需要は小さいかもしれないが、間違いなく鍛冶の真髄のひとつ」と、高評価を得た。若手鍛冶職人志望者の受け入れも熱心に行っている。


【 審査員による全体講評 】
回を重ねるにつれて応募数が増加し、想像を超えるようなジャンルからの応募も目を引いた第3回三井ゴールデン匠賞。素晴らしい工芸品およびその取り組みはもとより、これまでは裏方とされてきた材料・素材を扱う専門店や組合、工芸を世に知らしめるギャラリーやメディアなど、実に今現在の工芸の多様性を感じるエントリーだった。
新しい審査員を迎え、白熱した審査会。結果、従来にはなかった違うジャンルのエントリーも多く残り、20年代にふさわしい、未来に向けたフレッシュな賞となったのではないだろうか。


【 第3回三井ゴールデン匠賞 について 】
伝統工芸界には、後継者不足など課題があるなか、日本の伝統を継承しながら未来につながるものづくりに真摯に取り組み、さらに発展させている伝統工芸の担い手がいらっしゃいます。本賞は、日本の伝統を次世代につなぐ取り組みを応援するものです。
■主催:三井広報委員会
■後援:経済産業省、一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会
■賞の種類/賞金:
・三井ゴールデン匠賞:各50万円
・グランプリ:50万円(三井ゴールデン匠賞と合わせて計100万円)
・モストポピュラー賞:20万円(三井ゴールデン匠賞と合わせて計70万円)
■モストポピュラー賞 一般投票受付:~2020年3月10日(火)
■贈賞式、グランプリ・モストポピュラー賞発表:2020年3月23日(月)

【 審査基準 】
「技術・技能」、「持続性」、「貢献度」の3項目を審査基準とし、
その視点から未来につながる取り組みを評価しています。
審査項目においては、「貢献度」を最も重視しています。
<技術・技能> 優れた技術・技能を有している
<持続性> 時代の変化に沿って自身の取り組みを次世代につなげている
<貢献度> 自身の取り組みが、伝統工芸の産業および産地の発展に寄与している

【 審査員 】
赤沼 多佳(公益財団法人 三井文庫 三井記念美術館 参事)
イェンス・イエンセン(英国『Wallpaper*』誌 ジャパン・エディター)
菅野 康晴(『工芸青花』 編集長)
外舘 和子(工芸評論家・多摩美術大学 教授)
水野 学(クリエイティブディレクター、good design company 代表)
矢島 里佳(株式会社和える 代表取締役)
山田 遊(株式会社メソッド 代表取締役、バイヤー、監修者)

【 三井広報委員会について 】
三井広報委員会は、三井グループ企業24社で構成し、様々な文化活動および広報活動を通じて、国際交流や地域社会の活性化に貢献するとともに、社会の繁栄と福祉に寄与し、三井グループのより一層のイメージ向上を目指しています。

<主な活動>
「三井ゴールデン匠賞」の提供
「三井ゴールデン・グラブ賞」の提供
「三井ゴールデン・グラブ野球教室」の開催

三井広報委員会公式サイト:https://www.mitsuipr.com/
三井ゴールデン匠賞公式サイト:https://mgt.mitsuipr.com/

会員会社一覧
三機工業 新日本空調 三井住友建設 サッポロホールディングス 東レ 王子ホールディングス デンカ 三井化学 日本製鋼所 三井金属 東洋エンジニアリング 三井E&Sホールディングス 商船三井 三井物産 三越伊勢丹ホールディングス 三井住友海上 三井住友銀行 三井住友ファイナンス&リース JA三井リース 大樹生命 三井住友トラスト・ホールディングス 三井不動産 三井倉庫ホールディングス エームサービス

本件に関するお問合わせ先
<報道関係者からのお問い合わせ先>
「三井ゴールデン匠賞」広報事務局 株式会社プラップジャパン 丸山、竹之下
TEL:03-4570-3191 / FAX:03-4570-3189 / Email:mgt_pr@ml.prap.co.jp

この企業の関連リリース

この企業の情報

組織名
三井広報委員会
ホームページ
https://www.mitsuipr.com
代表者
三井広報委員会 事務局
上場
非上場
所在地
〒107-0052 東京都港区赤坂3-11-3赤坂中川ビル3F
連絡先
03-3505-6406

検索

人気の記事

カテゴリ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 機能と特徴
  • Twitter
  • Facebook
  • デジタルPR研究所