アストラゼネカのLokelma 血液透析治療中の末期腎不全患者さんに対する 高カリウム血症の治療効果を示す

後期第III相DIALIZE試験結果を発表
主要評価項目である血液透析前の血清カリウム値を
正常域に維持した患者さんはプラセボ投与群の1%に対し、Lokelma投与群では41.2%

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年6月14日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2019年6月14日、血液透析治療を受けている末期腎不全(ESRD)患者さんに対するLokelma (一般名:ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物、開発コード:ZS、以下、本剤)を使用した高カリウム血症治療の有効性および安全性について比較検討した、後期第III相DIALIZE試験の良好な結果を発表しました。

高カリウム血症は、循環器、腎および代謝疾患に伴い血清カリウム値が上昇した重篤な病態です。

DIALIZE試験は、血液透析患者さんを対象とした高カリウム血症治療薬を評価するための初の無作為化多施設共同二重盲検プラセボ対照後期第III相試験です。本試験では、高カリウム血症を有する血液透析患者さん196人を対象に、本剤の有効性および安全性をプラセボ群と比較検討しました。患者さんは8週間の治療期間において、血液透析を行わない日に1日1回、本剤を投与する群またはプラセボを投与する群に割付されました。 なお、8週間のうち前半の4週間を用量調整期間(5gから開始、血清カリウム値に応じて1週間隔で最大15gまで5gずつ漸増)、後半の4週間を評価期間として一定用量を継続して投与しました。

本試験では、高カリウム血症を有する血液透析患者さんに対して、最大透析間隔後の透析前血清カリウム値の測定を評価期間中に4回行いました。そのうち4-5 mmol/Lを3回以上維持し、緊急処置を必要としなかった患者さんは、本剤投与群で41.2%でした。これに対し、プラセボを投与した患者さんにおいて同様な結果が得られたのは1.0%であり、本剤は統計的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。

なお、本試験における本剤の安全性プロファイルは、これまでの高カリウム血症患者さんを対象とした試験(透析治療中を除く)と一致していました。

今回の結果は、ハンガリーのブダペストで開催された第56回欧州腎臓学会議/欧州透析移植学会議 (ERA-EDTA)のLate-Breaking-Abstractとして発表され、Journal of the American Society of Nephrologyに同日掲載されました。

アストラゼネカのシニアバイスプレジデント兼バイオ医薬品研究開発部門後期循環器・腎・代謝領域責任者のElisabeth Björkは次のように述べています。「今回の良好な試験結果は、ESRDを有する高カリウム血症の患者さんの血液透析治療期間中、透析と次の透析までの間、本剤が血清カリウム値を正常に維持できることを示しています。高カリウム血症は多くの患者さんに影響を及ぼし、その治療においてもアンメットニーズの高い病態です。本剤は高カリウム血症の治療において、重要な役割を果たす可能性があると考えています」。Zucker School of Medicine at Hofstra/Northwell(ニューヨーク州グレートネック) の教授であり、DIALIZE試験の治験責任医師であるSteven Fishbaneは次のように述べています。「世界中で推定200万人が末期の腎疾患を患っており、そのような患者さんは高カリウム血症のリスクが高いと言われています。多くの患者さんは、血液透析中であっても高いカリウム値を示しており、治療を受けずにいると生命の危険にさらされます。今回の試験結果は、医療従事者および患者さんにとって重要な知見を示すものであり、治療のパラダイムシフトを起こす可能性があります」。

高カリウム血症は、心血管や腎臓、代謝性の疾患に伴う病態であり、血中のカリウムレベルを上昇させ得るレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬のような薬剤の使用によっても起こることがあります1,2,3,4。また、多くのESRD患者さんは、血液透析治療を行っているにもかかわらず、高カリウム血症を伴っています5,6。高カリウム血症の有病率および重症度は、透析間隔が長くなると高くなるため、次の透析治療までの日数が長くなる最大透析間隔後に最も高くなります。
 
本剤は選択性の高い経口高カリウム血症治療薬で、現在米国およびEUにおいて高カリウム血症を有する成人の治療薬として使用されています。DIALIZE試験で使用された用法・用量は、米国およびEUで現在承認されている内容と異なるため、本試験のデータは用法・用量の変更を支持するデータとして使用されます。

なお、本剤は本邦では未承認です。

                                            以上
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高カリウム血症について
高カリウム血症のリスクは、慢性腎疾患(CKD)、心不全(HF)、糖尿病などの一般的な併存疾患と関連していますが、これらの疾患治療では、血中のカリウムレベルを上昇させ得るレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤の使用がガイドラインで推奨されています。その結果、高カリウム血症の再発を予防するために、ガイドラインに推奨されるRAAS阻害薬の減量、または治療の中止を余儀なくされることがあります。高カリウム血症は、慢性腎疾患、心不全のいずれか、もしくは両疾患の既往がある患者さんの23〜47%に発症し、それぞれの患者数は世界中で2億人および6,400万⼈と推定されています。

Lokelmaについて
不溶性かつ非吸収性のジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物で、選択性の高いカリウム排出剤として作用する、経口懸濁用の粉末製剤です。本剤は無味無臭で室温保存できる経口投与製剤です。高カリウム血症の患者さんを対象に、3つの二重盲検プラセボ対照試験および1つの12カ月非盲検試験を実施しています。 

アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域(CVRM)について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、CVRM 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。

References
1. Kosiborod M, Rasmussen HS, Lavin P, et al. ‘Effect of Sodium Zirconium Cyclosilicate on Potassium Lowering for 28 Days Among Outpatients With Hyperkalemia.’ JAMA. 2014. doi:10.1001/jama.2014.15688.
2. Packham D, Rasmussen HS, Lavin P, et al. ‘Sodium Zirconium Cyclosilicate in Hyperkalemia.’ New Engl J Med. 2015; 372:222-31. doi:10.1056/NEJMoa1411487.
3. Ash S, Bhupinder S, Lavin P, et al. ‘A phase 2 study on the treatment of hyperkalemia in
patients with chronic kidney disease suggests that the selective potassium trap, ZS-9, is safe and efficient.’ Kidney Int. 2015; 88:404-411. doi:10.1038/ki.2014.382.
4. National Kidney Foundation. ‘Clinical Update on Hyperkalemia." 2014. Accessed 5 January 2017.
https://www.kidney.org/sites/default/files/02-10-7260%20Clinical%20Bulletin.pdf.
5. Csaba P et al. Serum and Dialysate Potassium Concentrations and Survival in Hemodialysis Patients. Clin J Am Soc Nephrol. 2007:2: 999-1007.
6. Evans KJ, Greenberg A. Hyperkalemia: A review. J Intensive Care Med. 2005;20:272-290.

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

本件に関するお問合わせ先
お問い合わせ先
アストラゼネカ株式会社
東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館
コーポレート・アフェアーズ統括本部:杉本・池井
JPN.Ex.Comm@astrazeneca.com
Tel: 03-6268-2605

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組織名
アストラゼネカ株式会社
ホームページ
https://www.astrazeneca.co.jp/
代表者
ステファン・ ヴォックスストラム
上場
海外市場
所在地
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3番1号グランフロント大阪タワーB

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