世界初、古典新星V339 Delの爆発初期の爆発放出物の空間分布を明らかに -- 京都産業大学



京都産業大学・神山天文台の研究グループは、独自開発した可視光・高分散偏光分光器VESPolA(ベスポラ)を用いて、古典新星V339 Delの爆発初期における爆発放出物の空間分布を世界で初めて明らかにした。
本研究成果は、2019年2月19日に米国天文学会学術雑誌「The Astrophysical Journal」のオンライン版に掲載された。




 望遠鏡の空間分解能は望遠鏡の口径に比例して良くなるため、理論的には大きい望遠鏡を用いれば細かい構造を分解して見ることができる。しかし実際には、地球の空気が邪魔をして画像はぼやけてしまい、細かく見るのにも限界がある。この問題の解決方法の一つが、「高分散偏光分光観測」である。「偏光分光観測」とは、光の持つ「波の性質」である偏光を、波の「波長」(波の山と山の間の距離)ごとに詳細に測定する特殊な観測技術であり、「高分散」とは波長を細かく分けることを意味する。この観測手法により、普通の撮像観測(画像)では単なる「点」としてしか写らない非常に遠方の天体でも、空間的な広がりや構造を解明することが可能になる。

 そこで、京都産業大学・神山天文台の研究グループは、神山天文台の口径1.3m荒木望遠鏡に取り付けた可視光・高分散分光器VESPolA(下図)を用いて、2013年8月14日に「いるか座」に現れた新星(V339 Del)を爆発翌日から7日間にわたって毎晩観測した。その結果、新星爆発発生直後の放出物の様子を明らかにした。新星爆発物は、ゆっくりと膨張するトーラス状(あるいはドーナツ状)の爆発放出物と、後から速い速度で球対称に膨張してくる成分の2つからできているようである。これら2つの成分は、爆発から2〜3日後には衝突を起こし、その結果、後から出てきた球対称な膨張成分はトーラスの空いている方向から双極的に吹き出すことになったと考えられる。激しい衝突が起こると、新星からガンマ線など高エネルギーの電磁波が放射されることが分かっており、これまでの古典新星V339 Delに関する先行研究と矛盾することのない結果であった。

 このように高分散偏光分光観測によって、新星爆発初期の詳しい構造が明らかになったのは、世界で初めての成果である。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学


関連リンク
■神山天文台、古典新星V339 Del爆発の見えない姿を世界で初めて暴く!
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20190215_859_nova.html

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