『中央競技団体 ファイナンシャルレポート』(サマリー版)発表 中央競技団体の資産・負債、経常収益・費用を把握

中央競技団体は、収益構造の現状を把握し、東京2020大会後も収益力の向上に
つながる事業計画の策定が重要

「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区赤坂 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、(公財)日本スポーツ協会および(公財)日本オリンピック委員会に加盟する中央競技団体のうち、公益法人格を有する59団体(※)を対象に、過去5年間(2012年度~2016年度)に渡る財務諸表から財務データベースを作成し、現状の分析・把握を試みました。本レポートは基本統計量の紹介を主に、中央競技団体の資産・負債および経常収益・費用の状況を示します。
※閲覧請求時に入手可能な団体数は、年度により異なる。
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【ポイント】

【資産・負債の状況 
2016年度 58団体合計額】
・中央競技団体58団体の資産総額は619億円、1団体あたりの平均資産額は10億6,800万円
・正味財産計は487億円、1団体あたりの平均純資産額は8億4,000万円

【正味財産の状況-経常収益の推移 20122016年度】
・2013年度の54団体の経常収益計は452億7,400万円。「事業収益」320億8,200万円、
「会費収益」55億5,700万円、「受取補助金等」47億700万円。
・2016年度58団体の経常収益計が622億2,800万円。「事業収益」417億4,200万円、
「受取補助金」97億4,500万円、「会費収益」62億7,700万円。
・東京2020大会開催決定の翌2014年度より「受取補助金」の金額が「会費収益」を上回る
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■担当者コメント

 公益法人格を有する中央競技団体の3大収入源は「事業収益」「受取補助金」「会費収益」で、経常収益の9割を構成する。東京2020大会の開催が決定した2013年度以降の推移をみると、特に「事業収益」と「受取補助金」の増加が著しい。ただし、「事業収益」は全ての団体で増収したのではなく、一部のオリンピック競技団体が全体を押し上げている。また「受取補助金」は、オリンピックに向けた強化費増額の影響が大きく、いずれもオリンピック開催がもたらす収益増と考えられる。競技団体は、収益構造の現状を把握したうえで、例えば東京2020大会後の「受取補助金」減少を想定し、自らの事業展開によりどれだけの収益が得られるかを検討するなど、収益構造の変化に備えることが求められる。
 諸外国の競技団体は競技体系を見直すイノベーションに着手し、IOCはアジェンダ2020に基づき都市型スポーツの導入を加速させている。これらは全て次世代の関心を引き付け、スポーツを持続的なものにするための方策である。国内の競技団体もこういった潮流を踏まえた経営方針をもち、収益力の向上につながる事業計画が肝要となる。
 なお本研究では、「流動性」「持続性」「収益性」「効率性」の4指標を用いた財務分析の結果を後日公表する予定である。 
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 主任研究員 吉田智彦


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【資産・負債の状況】

【貸借対照表構成図_58団体合計額】
 中央競技団体の資産と負債の状況を確認するため、貸借対照表構成図を作成した。
2016年度における中央競技団体の資産額をみると、58団体の資産総額は619億円に上り、1団体あたりの平均資産額は10億6,800万円である。このうち、現金預金・有価証券・棚卸資産・その他流動資産(未払金・前払金・立替金・仮払金等)を含む流動資産額は207億円、基本財産・特定資産・その他固定資産(什器備品・敷金・建物付属設備・ソフトウェア等)を含む固定資産額は412億円である。資産のうち、流動資産は現金預金(51%)とその他流動資産(47%)でほぼ全体を構成した。固定資産は事業積立基金や退職給付引当資産などの特定資産が6割を占めた。
 一方、公益法人の特性から保有負債額は低く、短期借入金・その他流動負債(未払金・預り金・前受金・賞与引当金等)を含む流動負債額は111億円、退職給付引当金・長期借入金・その他固定負債(リース債務・長期未払金・預り保証金等)を含む固定負債額は21億円である。負債のうち、流動負債ではその他流動負債が97%、固定負債では退職給付引当金が82%を占め、いずれの負債においても借入金の比率は0.1%にも満たない。
 正味財産計は487億円で、1団体あたりの平均純資産額は8億4,000万円であった。

図表1 公益法人格を有する競技団体の資産・負債状況(公益法人58団体、2016年度)


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【正味財産の状況-経常収益】

 公益法人への移行が進んだ2013年度の54団体の経常収益計は452億7,400万円で、科目別の収益額が大きい順に、大会参加料や指導者講習参加料、広告収入、協賛金収入等を含む「事業収益」が320億8,200万円、競技登録者や社団における会員からの「会費収益」が55億5,700万円、国や他の公益法人等からの「受取補助金等」が47億700万円であった。東京2020大会開催決定の翌2014年度より「受取補助金」の金額が「会費収益」を上回るようになり、以降ほぼ全ての項目で毎年度増加傾向にあった。
 調査対象の最新年度にあたる2016年度には、58団体の経常収益計が622億2,800万円となり、収益額の大きい順に「事業収益」417億4,200万円、「受取補助金」97億4,500万円、「会費収益」62億7,700万円であった。いずれの年度に共通してこれら3つの収入科目が収益全体の9割をしめることから、競技団体の3大収入源といえる。
 また、2013年度と2016年度を比べると約170億円の収益増があり、競技団体の経常収益は過去4年間で大きく成長していることがわかる。特に「事業収益」(約90億円増)と「受取補助金等」(約50億円増)で顕著な増加がみられた。

図表2 競技団体の経常収益計の推移(2012~2016年度)




本研究では、正味財産増減計算書の経常収益の部に係る勘定科目(大科目)に従い、「基本財産運用益」「特定資産運用益」「会費収益」「事業収益」「受取補助金等」「受取負担金」「受取寄付金」「雑収入」「その他の経常収益」の9科目に分類した。その際、たとえば競技登録者からの会費収入を「受取負担金」に計上したりするケースも確認されたが、団体における区分を尊重し財務諸表のとおりに分類したうえで金額を算出している。



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【対象団体】

本研究における財務分析は、統一の公益法人会計基準の導入が必要となるため、公益法人へ移行した下記の中央競技団体を対象とした。(団体名50音順)

【公益財団法人】(30団体)
合気会/日本アイスホッケー連盟/全日本空手道連盟/全日本弓道連盟/日本ゲートボール連合/
日本ゴルフ協会/日本サッカー協会/日本自転車競技連盟/全日本柔道連盟/日本水泳連盟/
全日本スキー連盟/日本スケート連盟/日本相撲連盟/日本セーリング連盟/日本ソフトテニス連盟/日本ソフトボール協会/日本体操協会/日本卓球協会/日本テニス協会/全日本なぎなた連盟/
全日本軟式野球連盟/日本バスケットボール協会/日本バドミントン協会/日本バレーボール協会/日本ハンドボール協会/全日本ボウリング協会/日本野球連盟/日本ラグビーフットボール協会/
日本陸上競技連盟/日本レスリング協会

【公益社団法人】(29団体)
全日本アーチェリー連盟/日本アメリカンフットボール協会/日本ウェイトリフティング協会/
日本エアロビック連盟/日本オリエンテーリング協会/日本カーリング協会/日本カヌー連盟/
日本近代五種協会/日本グラウンド・ゴルフ協会/日本山岳・スポーツクライミング協会/全日本銃剣道連盟/日本スカッシュ協会/日本スポーツチャンバラ協会/日本ダーツ協会/日本ダンススポーツ連盟/日本チアリーディング協会/日本綱引連盟/日本トライアスロン連合/日本馬術連盟/
日本パワーリフティング協会/日本ビリヤード協会/日本フェンシング協会/日本武術太極拳連盟/日本ペタンク・ブール連盟/日本ボート協会/日本ホッケー協会/日本ボディビル・フィットネス連盟/日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟/日本ライフル射撃協会

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【研究概要】

公益法人格の特性を勘案しながらSSFが考える中央競技団体が留意すべき財務指標を示したうえで、公益法人へ移行した59団体の過去5年間(2012年度~2016年度)に渡る財務諸表から現状の分析・把握を試み、今後の財務分析・財務計画に資する資料づくりを目指した。
本レポートは1st Editionとして基本統計量の紹介を主に、中央競技団体の資産・負債および経常収益・費用の状況を示す。

【研究方法】

・(公財)日本スポーツ協会および(公財)日本オリンピック委員会に加盟する中央競技団体のうち、公益法人格を有する59団体を対象とした。※団体名は前ページ参照
・各競技団体の財務諸表は、内閣府公益認定等委員会へ閲覧を請求した。閲覧請求は、2017年9月と11月に二度行い、公益法人への移行時期に関わらず、閲覧が可能な2012年度から2016年度の財務諸表を分析の対象とした。
・閲覧請求時に入手可能な年度別の団体数は、2012年度37団体、2013年度54団体、2014年度57団体、2015年度59団体、2016年度58団体であった。
・財務諸表をもとに、分析のための財務データベースを作成。
・貸借対照表/正味財産増減計算書の勘定科目に任意コードを振り、競技団体の科目設定に従い集計した。

【研究メンバー】

研究担当者
吉田 智彦 笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 主任研究員

共同研究者
三浦 一輝 常葉大学法学部 准教授
武藤 泰明 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授

研究協力
KPMGジャパン スポーツビジネスCenter of Excellence
土屋 光輝 パートナー
得田 進介 アシスタントマネジャー

【笹川スポーツ財団とは】

公益財団法人 笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ分野専門のシンクタンクです。国、自治体のスポーツ政策に対する提言策定や、スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

■公益財団法人 笹川スポーツ財団について

名称  : 公益財団法人 笹川スポーツ財団
代表者 : 理事長 渡邉 一利
所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
設立  : 1991年3月
目的  : スポーツ・フォー・エブリワンの推進
事業内容: ・生涯スポーツ振興のための研究調査
      ・生涯スポーツ振興のための研究支援
      ・生涯スポーツ振興機関との連携事業
      ・生涯スポーツ振興のための広報活動
URL   : http://www.ssf.or.jp/

本件に関するお問合わせ先
この件に関するお問合せ先
笹川スポーツ財団 広報担当:竹下、清水    
TEL:03-6229-5300 info@ssf.or.jp

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この企業の情報

組織名
公益財団法人 笹川スポーツ財団
ホームページ
http://www.ssf.or.jp/
代表者
渡邉 一利
上場
未上場
所在地
〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2日本財団ビル3階
連絡先
03-6229-5300

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