腹膜透析という治療法 / 腎代替療法を知る(2)在宅透析PD(CAPD・APD)

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前回に引き続き、今回もさまざまな種類の腎代替療法をご紹介します。特に今回は、在宅で行う透析について、腹膜透析を中心に、名古屋大学腎臓内科・CKD講座の安田宜成先生にお話を伺いました。抜粋してご紹介します。

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日本では多くの患者さんが施設で透析治療を受けていますが、在宅で透析治療をする患者さんもおられます。日本透析医学会の調査によると2013 年末に透析治療を受けている患者さん314,180 人のうち、腹膜透析(PD)の患者さんは9,245 人(2.9%)、在宅血液透析を受けている患者さんは461 人(0.1%) でした。腹膜透析患者数は横ばいですが、在宅血液透析患者さんの数は2003 年末の110 人からかなり増えています。


■腹膜透析とは
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今回は腹膜透析を中心に勉強してみましょう。腹膜透析は、お腹(腹腔内)に透析液を入れたり(注入)、出したり( 排液) して、腹膜にあるお腹の血管を通じて、体にたまった老廃物や過剰な水分を除去する透析治療です(図)。尿毒素などの老廃物は、腹膜を通じて血液から透析液に移動(拡散)します。また体内の余分な水分は、透析液に含まれるブドウ糖の浸透圧により、血液中から透析液へ移動します(除水)。

透析液の注入、排液は、お腹の中に入れたカテーテルという管を使っておこないます。このため腹膜透析を始める前に、カテーテルを留置する手術が必要になります。標準的な腹膜透析治療では、1 回約1.5 〜2 リットルの透析液を1 日に3 ~ 4 回出し入れします。

会社で勤務している患者さんの場合、朝起きてから1 回、昼休みに職場で1 回、夜に自宅に帰ったら1 回、寝る前に1 回というように、患者さん自身が透析液の出し入れをして治療します(持続携行式腹膜透析CAPD)。また夜寝ている間に機械を用いて自動的に透析液を出し入れすることもできます(自動腹膜透析APD)。

■腹膜透析の利点と問題
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 腹膜透析の場合、安定していれば月に1 〜2 回程度の受診ですみますし、自分の生活スタイルに合わせた治療が可能ですから、旅行や出張もしやすくなります。また腹膜透析では、お腹の透析液へと、持続的に老廃物や余分な水分を捨てることができるため、体内の状態を一定に保つことができる体にやさしい治療です。

血液透析よりも尿量が保たれます。塩分の制限は厳格におこなう必要がありますが、水分やカリウムの食事制限もゆるやかです。このように腹膜透析は血液透析より優れる点がいくつもありますが、自己管理をきちんとおこなえないと、いろいろな問題が起きます(合併症)。一番注意が必要なのは感染症です。

お腹の中への透析液の出し入れの際にバイ菌が入ってしまうと腹膜炎になりますから、透析液の出し入れを決められた手順で清潔におこなうことが大切です。お腹からカテーテルが出ているところ(出口部)を清潔に保つ必要があります。また腹膜透析を続けると少しずつ腹膜の働きが低下してしまいますから、数年~ 10 年くらいすると腹膜透析だけでは治療が不十分になり、血液透析や腎移植が必要になります。

腹膜を長持ちさせるためには、腹膜炎にかからないこと、しっかりと減塩して、ブドウ糖の濃度の高い透析液を使用しなくても良い状態を維持することが大切です。

―後略―

※この記事は、会報誌『そらまめ通信 Vol.83 診察室から』からの抜粋です。

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